SIKE
登場人物
星野京子
右京貞治
星野(父)
星野(母)
老人
おじいさん
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「小説を書き始めてから三年が経つ。いまだに衰えないからだを見ても自身が人外であることの証明になるだろう」
小説は彼女の言葉に話を聞くとどおでも良いと返答された。杉並木を駆け巡るホトトギスのさえずりに合わせて秋の愁の匂いを手繰り寄せた。眠くなると彼女は眠る平日の午後三時ぐらいだろうか。畳の真ん中に据え付けてある堀コタツに足を延ばして、彼女はぶっきらぼうに答えた。 外は紅葉の真っ最中で彼女も外に出て遊びたいと感じていたから襖の奥に座敷を敷いて彼女のことを話していた。「紅葉が激しくなりましたからお外で遊んできてください」私は彼女に答えた。「はい、お母さま」お母様もけなげに笑う。「にしても彼女のことをよくご存じでしたね」母は言った。「父が同居人に海老を持ってくださった時に彼女のことを話していたからです」娘は存外言い慣れた雰囲気を出していた。「父と話してきましょうか」娘が言うが母はしかめっ面をするだけだった。「よう、帰ったか」父が道楽から帰った。「お父さん、どうでしたか」母が言った。「よう、父が言った」その荒れた大地は何だ。母は焦っているようにも見えたし、どこか憂いているようにも見えた。しかし下駄を履いて外に出ると声の主が姿を現した。同じ下駄を履いていたが丸顔で食い扶持にも困っていそうな男であった。「貴方はだれですか」平静を装ってはなした。「おう、お前が娘っ子か」「それよりも、その腕の筋肉は大丈夫なのですか」平素、筋肉質な男を見るのが初めてであったのでその肉の太ましさに若干驚いていた。「大丈夫さ、紅葉を取っていたらこうなったのさ」男は腕の筋肉へふんだんに力を込めると力こぶが二頭筋の前で盛り上がった。「まあすごい」女は手を叩いた。「そうだろ、結構努力したのだぞ」男は最後の話まで聞き終わると娘に近づいた、娘も最初は興味本位で近づいたが途端に彼の銀色の目を見ると仰け反った。「すまねえ、エリアに近づきすぎたかな」彼は頭を下げると謝罪した。彼女はとうとう言ってしまった。神経末梢系の中枢から来る直感的な信号を受信したからだった。「大丈夫さ。それよりもお前の名前は」男が聴いた。「星野京子です」星野は答えた。「俺は右京貞治て名前だ」右京は右手を差し出した。「京で繋がってるな」右京は右手を差し出した。「いえ、私は握手しないので」右京の太まし腕は京子の右手を掴むことは無かった。
(命題)
がさつのことを話してたからか彼女のことを話していると彼女のことをそれよりもその腕の筋肉下駄を履くと彼女のことを話していると星野であると感じてた。大丈夫さ「貞治はどこから来たの」星野は聞いた。「どこから来たのかわからない」貞治は尻の付け根を欠いた。「今では普及したけれど位置情報アプリとかを使うとか」普及したその言葉を彼は聞くことはなかった。
「どこから行けばいいでしょうか」「横を右に沿って歩いたところにあります」「彼女のことを話していると私の事をはなしていた」快活に述べたと自負じているかのように胸を張る。「ならば右の端にある看板を見ればいいのでね」「そうです」彼女のが話していることを話しながら胸を張っていた。彼が耳を軽く引っ張ると右横の獣道に似た道を通って行った。貞治が走るのは紅葉の葉で敷き詰められた段組みであった。紅葉の葉で敷き詰められていたが貞治にも京子も分かっていた。
「石は付け根の部分が丸っこくて京子さんの腕よりもなめらかだでした」「そんなことどうでもいいけれどさっきの石の付け根の部分を彼女が話をしていると女性が居たと言ったわね」「メインのスイッチは彼女に話をしていた」「女性の顔は何だったの」
貞夫は彼女のことを星は夢を見ながらも体のだるさに抗え滑ず床で眠りよどんだ。
葉が舞落ちるよりも速く貞治が帰り私の後ろに居るのはこのときのために話をしていたが冷や汗が止まらなかった。紅葉がすぐるの前を直進すると枯葉が落ちて来たような言葉が聞こえて来た。右京はヒヤリ背筋が凍る体験をすると貞夫と話していた口の中へ団子を詰めた。私の事を彼に看板を見てもらうために行くべき場所は伝えた。
「石は坊さんのようだな」
それは彼女が座に座っているのと同じ格好をしていた。
「坊さんも女の子のことがすきなんだな」
貞治はひそかに笑った。
東を見るともう夕暮れであることがわかる。彼女から夕時までに帰ることを約束していたのだった。私は着た道を戻ろうとしたが、そこに道がないことが分かった。今までも道はなかったが獣道のような場所であることから大通りということではなかった。
「なら左から行けばいいや」
道の中を進んで行くと二本のコンクリートで敷き詰められた道路に出た。
「京子!」
日の入りが近づいていくごとに蛙、ホトトギスの群衆の誰かが返事をすることになる。
「誰も返事を返してくれないのか」
貞治は自分の中の腹の奥を守るように自身の腕を掴んだ。道路の話・渓流の話・市街
「誰か返事をしてくれよ」
山奥の渓流には多くの羽虫が居た。羽虫の中には死骸となり流れる川に捕まるものもいた。貞治はそれを遠巻きに見ていた。すると自身も喉が渇いていたことに気が付いた。貞治は車が通るかもしれないのに奥の渓流の滝から出る水しぶきよりも溜まっていたのを飲んだ。
「不味い」
貞治は目の前の水の事だけを見ていたのにも関わらず目の焦点までもが横に上へ下り無理やりもどした。
「水がきれいだ」
溜まっていた流水を飲むとお腹を摩る事さえやめて手で救い上げた。水の痛み
「」
飲むと頭がハンマーで殴られたような痛みに変わった。歯の奥がジンジンする痛みの中に彼女のことを見ている人が居るだろう。
言葉を交わさずに飲む水は私の中に話を聞いてた。貞治は流れる川の声すら聞こえない耳に変わっていった。
「帰ろう」
私は飲む水すら忘れて貞治の前に迎え入る。
マッチを一箱取り出すとマッチを渓流の前で焚いた。
「マッチの数は一本か」
マッチの数のことを心配して私は口真ん中に咥えた。
岩を登ることは簡単ではなかったがゴツゴツした岩の表面に煤と歴史的に忘れられているであろう岩石の表面が足をかけて力を入れるとボロボロ落ちる。
「岩肌は脆いか」
岩は岩であるため自分の片方の手が次の手と腰の位置に付けば落ちないのか貞治は知っていたのだ。登りきると頭身が20個もあるような岩石を登っていた。
登りきるとまた岩に食い込んだ木の群衆の中を歩いて行くと大きな通りなどはなく紅葉の葉がところどころちりばめられてきた。
大きくつくられていていても大木を隠すことはできない。
通りに立ち止まると木と木の間に木片が混じり合っていた。すると通りは木組みでできた平家の展望台のように木の柵の向こうにまで紅葉の葉っぱが入り込んでいた。
通りに立ち止まっていると大きな大樹の木があるが大木は大きなだけでなく質量を兼ね備えていだのだった。
「ミミズもそれに蛙もいる」
木組みの敷居の淵には更に続くように和製の傘が何本も立てかけられてあった。その奥には当然蛙もいたしミミズもいた。
大きく息を吸うと大地の風が高らかに舞い上がる。風の奥からネコジャラシ、竹、梅の擦る音がなびいていた。
歩くと風で前髪が伸びたり縮むことがあったがあくまでも爽やかで包み込むような風であった。風は春のような晴天であった。
「向こうに誰かいる」
ぽつりと囁いた。
「あれは京子・・さん」
建物は建造物であるから大樹の木は向こうに誰かが居ても話声を聴くことはできなかった。
「あら、貞治さん遅かったですね」
京子がぎこちなく答える。
「京子はここに居たんだ」
低い声とは裏腹に高いハスキーボイスの声が荒げる。
「貞治どこにいっていたの」
困惑した声が彼を打ち破った。
「鼓膜が千切れそうだよ」
困惑した声が彼女を揺さぶった。
「彼女のことを見てみましょうよ」
声がさらに加速する。
「後ろの森の中から岩を登って来た」
「後ろは暗闇になるからわからないの」
後ろを指さしながら京子へ大きな口を開く。
「後ろは森だろ」
彼は振り返ってみてみると確かに暗く目へ映っていた。しかしそれは影の反射であり呪術を授受しているわけでもなかった。
後ろ手につぶいやた声は風圧と供に昇うことと姿は白と赤の浴衣を着た装束の巻物をしてた。髪の緑色は金色の黄色と純白の白と桃のピンク色に広がる色質であった。すると体のラインは包こんでいて縦に伸びている印象をした。
「正確に言うと分からないから行かないようにしているの」
「そういうのは速く言ってほしいね」
彼が振り向きざまに言う。
「今笑っただろ」
貞治が怒ったように指をさした。
「ごめんね」
彼女が手を合わせて謝った。
「もうご飯にしましょう」
彼女は指を指して森の手前にある屋敷へ招いた。
そこは先に見た短柵がある邸宅であった。
「ようこそ我が天童家へ」
邸宅には大きな窓枠がありそこからは秋の旬が見えた。しかし彼女からしてみれば当然の事だったのか彼女のことを話していた。
「私は階段のことを話していた」
植木鉢には彼女が話したスプーンを食べだした。
「階段は彼女にもらっていたからな」
京子は秋のする葉のさえずりに似た木の葉の動きに自分の浴衣の皺を寄せる動きをよせた。
「枝葉はこの前父親が植えた金冠の木が植えて実ったの」
彼女は蒸し返すように話した。
先ほど聞いた都会のけんそんなんぞ聞こえなかった。
秋の葉だけが夜風に溶け込んでた。
「枝葉はまえよりもいぶきをましています」
京子は私の事の頬をさわると窓の閂から葉っぱを数枚拾いあげた。
「袖が煤けてしまうよ」
右京は京子の振袖の先をつまずこうとする。
「大丈夫ですよ」
「野花は広いか」
上の戸棚から大きな足をした棒のような足がひとつ。段を落としていくごとに足に見合わない横幅の大きい男が出て来た。
「ばらした葉はもちこむなよ」
大きな蓄えた髭を前に手でなぞる。
「枝葉は全部中央のダンの中にいれました」
「だんとは」
ダンとは中央に設置された焚火をするための場所であった。
「吹き抜けの天窓の風が全て中央に集まりそのまま真ん中から排出される場所」
「飯はだいじだからな、食事にしよう」
私たちは暖房代わりにその家で段を取った。
「だんのなかから私はその集めた枝葉をマッチで擦るの」
京子はマッチを裾の内側から左手に取り出す。
マッチを側面の茶色い部分で剃る。マッチに火がついた。
「赤く燃えるでしょ」
火が燃えると炎の支柱が舞い上がり辺りを温める。
「本当だよく燃えるね」
右京の右肩が熱く灯る。どうやら炎に近づきすぎたようだ。
「おっといけない」
「炎柱の題目はこれを見に来る御客人をもてなすのだ」
大柄な親父はしきりに髭を撫でた。
「炎柱の題目はこれを見に来るために山奥へ来るのですか」
「そうだ」
親父はぎらついた目を宿した。
「京子の友達か」
親父は顔をちかづけた。
「それは友人です」
右京と親父は互いに顔を合わせていたが根負けして目を反らした。
すると炎が天高く飛んでいるのを目の当たりにする。
炎が高く昇るのを目の当たりにした親父は根負けした右京など気にもとめない。
「炎が高く昇るな、これならこいつには適正があるのかもな」
炎は舞い上がることを知らないからか右京は目の前の炎に深い思い入れをした。
「母さん」
「ほお」
親父は行こうとする右京を手で制止した。しかし止まらないから彼の首根っこを引っ張り私の事を廊下に引っ張る。
「こんなに汚して」
「すみません」
頬月の言葉で我に返る。
「いやいい。その分は掃除してもらえればな」
頬月は正確に凸の薄皮を引っ張る。
「痛いです」
頬月の胸を押すと彼はよろけてから二歩下がった。
「さっきからずうずうしくありませんか」
私はその胸元に指を何度も押し当てる。
「人の敷地を汚したのは謝りますがどおしてそこまで大きい態度をされないといけないですか」
私は反発するように答えた。
「それはな俺はただこいつの親の役割ってだけだから気にするな」
頬月はそれを笑い飛ばした。
「なかなか気骨のある人じゃないか。いいともだちだな」
半笑いから一転してぎらついた目に様変わりする。
「それでも掃除はしてもらうぞ」
「お父様わかりました」
彼女は掃き掃除用の箒を二つ持ってきた。掃除の前には彼女のことを思い出す。右京は右の通りから通路にかけて順に雑巾を掛けた。
「冬の前の準備運動にはいい仕事だ」
彼女には雑巾掃除をさせられないのでめいいっぱい乾拭きの雑巾で水気を吸い取る。
「秋を十分堪能し終わると空気が美味しい冬がきますのよ」
彼女が大きな毛でできた箒で廊下を履いていた。
「そうだ。終わったら外に出て栗や金冠を食べに行きませんか」
京子が手を打っていた。
麻色のふわりとした髪の毛からは消臭の臭いではなく大地の雄大な香りがした。また、その目は藍色と緑が混在していた。
「栗ってあの」
右京が合いの手を入れた。
「そうです、銘柄の栗ですよ。ここでは多くの栗がとれるんです」
イガイガの中に有るふんわりした甘い栗を多くの銀杏が取れる場所から京子と一緒に見つける。
「やりましょう」
右京における半周の等速が順調に上がってるのを目の当たりにした。
「外へ行こう」
いがぐりをほお張ると私は彼女のことを通りまで話していた。
私は全体を見渡した。
この敷地は何本もの金冠の成る木が密集している群生地帯であった。私は京子と邸宅へ訪問した時には有った唐傘はもうなかった。通り抜けた。
そこには雑木林の向こうに私の事を話していた。
「雑巾は元の場所にかけてあります」
私は横の芝生を見ていた。
そこには辺り一面に紅葉の葉が敷き詰められていた。しかし、不思議なことに並木に見える木々の葉は語り掛けるように私に向かい葉っぱを揺らす。
「あそこには何があるのだろう」
私は日で影になっている木の部分に身を寄せながらじっと見ていた。その光景を誰も見て咎める存在は無かった。私は影法師の中に微かに揺らぐ銀髪の毛を見ていた。
「あれは、おじいさんか」
銀髪の木目のような目をした小汚い服装をしていたがどこか上品な気持ちにさせるおじいさんが居た。私はその目に興味を持ち半目にしながら同じように腰を曲げてみたが傍から見れば老け向かう愚かな若者としかとらえられなかった。
「鍵を戻しに行かないと」
京子は後ろを向いていたのでわからなかったと思いたいが、私は後ろを恐る恐る振り返る。私の言いたいことを話していると彼女はザラザラした栗の表面を手でヒョイと拾い上げ後ろの籠に入れた。貞治は彼女が栗を地から狩る行為を止めると、手でこちらに手を振った。
雑巾や箒が立てかけられているのは上品な木製の角部屋であった。そこの部屋は廊下ないし中央扉よりも質素であるが、一番綺麗であった。
「鍵がかかっているのかな」
注視してみると鍵穴はシリンダー式の回すタイプの鍵である。
「京子さん速く行きましょうよ」
右京が門戸を開けようとする、しかし彼女は後ろを向いたままで一向にこちらを向かない。私はなんだか怖くなって戸を開けるのを辞めた。
「火消を忘れずに」
京子は煤の奥から若々しい水色の葉に乗せて寒い息を吹きかけると炎は根本から空へと消えてしまった。
「これが火消の儀ですか」
「そうよ」
外に出ると私は彼女の名前を呼んだ。自身で敷地の門戸を開けるのは初めての事であった。火消を行った後の焦げ臭さを体験した右京には門戸から入りびたる秋冬の風は寒くなかった。気持ちは栗集めに集中していた。
いがぐりを集めていると大ざるの事やバス停のことを思い出した。私はどうでもいいことを考えながら土曜の正午に流れる生温い音楽を思い出していた。バス停は彼女が集めている場所の右となりにあった。そこは彼女が自然と体を避けているようにも感じた。しかし私が手で触れようとすると京子の顔が鮮明に浮かんだ。
であるが銀緑の髪をしたおじいさんのことを頭から離れることはできなかった。私はもう一度そのバス停の角を通りそのくびれのある影法師の木に身を寄り添った。しかし彼の前に出現することはなかった。それは影法師の位置が悪いと最初は思っていたが、私はそうではないのかと一生懸命に角度を変えたりしたが、それで効果が出ることはなかった。
「そんなことになるなんて私はどうして」
私はため息を漏らした。
「あの時話しけばよかったな」
その言葉へ活を入れるように気合を入れて栗拾いにいそしんだ。
「私はあのくびれのあるイチョウの葉の奥を探してきます」
私は彼女へそう告げると体が石のように固まっていた。
「分かったわ」
「あのイチョウの奥には大爺と言う大きな器のおじいさんがいるの」
私は彼女の言葉に肝臓の位置がピクリと動きそうになった。
「そのひとは銀髪であったのですか」
右京はその言葉を待っているかのように彼女の言葉をまった。
「そうね、私はあっちで栗を探しているなら行きたいなら行けばいいわ」
しかし彼女は押し黙るだけであった。
「どうしてダメなのですか」
貞治は彼女の手を取って進みだした。
「とにかく早く行ってらっしゃい」
私は彼女から燻製した松茸を貰い奥のイチョウの葉っぱが生い茂る場所にいた。
「民家があるのか」
数歩進むと時折り点在した家も消えて葉のとおり道だけが見えた。私は彼女に通り道を聴くと真っ直ぐだと言っていたが、適宜暴力的な恐怖を感じると心が離れてしまう。その時は伸びをしたり座ったりして血流を脳へ行き渡す。
「家」
もう曲がってしまっては真っ直ぐ進むすべはないのだ。私は一直線に曲がることを許さなかった。私は急な声色をかえてしまった。
イチョウの葉が茂る大地には何も落ちてはいなかった。貞治は丸まりそうな背筋を意識的に伸ばしてイチョウを目指した。
「あ、民家だ」
私はそこに誰かが住んでいることわかった。
ノックをしたが誰も返事をしないので中に入り戸を直接叩いた。私は生い茂る何かを見ていたが、それはリスであった。
「お前はそこにいたのか」
草壁のところにいた私のとなりには彼女を良く思っていない動物たちもいたが、わたしや同胞の動物たちが追い払ってくれた。
「この銭ゲバどもめ」
必然、ヒトの言葉がわかるわけもなく私の言葉に無反応のまま共闘を演じた。同胞として迎え入れられた貞治はそのリスが首を曲げる仕草が来るのが当然のように構えていた。
ポケットからどんぐりを取り出すとリスの半歩手前で肩からゆっくりと手をおろした。ささくれのような小さな物音すら出すことはない。
「おれはあいつらとは違うからな。好きに食べていいぞ」
するとガラッと観音扉から生気の有る音が聴こえて来た。しわくちゃなおじいちゃんがその言葉に合わせるように葉を揺らして近づて来る。
「少年よよくぞ参った」
爺様はそう言うと彼をもてなすためにコテージへ誘い出した。
「あそこで話さないかね」
爺様はパラソルを指してある小さなコテージを指さした。爺様は大きな浴衣の衣装のような羽織り物を着た老人であった。老人であるのに肌は若々しく手も太く綺麗であった。私にとって、みれば細く洗い手を肌をしていたからだ。
貞治は氷菓子を口にする。それは甘く酸っぱい魔法の味であった。
「どうじゃろ、その菓子は美味しいか」
爺やが甘酸っぱい菓子をくれる。
「おいしい」
貞治はその言葉しか出なかった。
「でも、それだけのような気がします」
爺様はその言葉に少し眉をひそめた。
「いいね」
爺様の髪の色は黒色であったが影法師の奥から見た銀色の髪であっても、その色は似あうとおもっていた。
「家に入りなさい」
九勝祭から集めた私は通りの角の左端に大きな看板が立てられるのに気付いた。
「久我祭には特に炎柱の祭典が売りなんですよ」
京子がこちらに尻を向けながらイガイガの栗を拾う。
「京子さんここには銀杏とシイタケがありますね」
その横には木馬の木が立てかけられてある。
「私は奥の方を探してきますので京子さんは隣の方をお探しになってください」
右京は道の通りの煤けた森を指さした。そこは先に右京が帰ってきた森を指さしていた。京子の反応が見たかったのだ。右京は通りの隅をいったん見るとそこは帰還した通りそのままであった。森はここから奥の横へSの字を書くように広がる。
「分かりましたよ右京さんは遠くを探しておいてくださいね」
私は彼女にそう言うと彼女は煤けた森の奥へと姿を消した。
彼女が言った言葉が蘇る。
しかし、その表情はあくまでも笑顔である。
「右京さんはこのまま火を灯さぬように」
右京は右を見た。すると広い落ち葉の奥が妙に端へ盛っているように感じた。
「久我祭は明日か」
私は興味をそそられて木々が生い茂る並木道の奥の闇の中へそそられて歩を進めた。
「久我祭ではないのですか」
生い茂る秋の葉の中臨月に炎を消して良かったのか尋ねる。
「九勝祭はもうそんな名前で呼ばれていたのか」
老人は彼女の写真を見て話した。
「聴いておるよ悲しかっただろう」
私は粗茶を出された。
「それは消しても大丈夫なものだよ」
私は出された粗茶を一口のんだ。出された氷菓子も口にした。
氷菓子は私の口のなかで甘くとろけるだけであった。
「貴様も大変なことに巻き込まれた」
私はその言葉に若干の怒りを感じながらも前にある消えた蝋燭を目の当たりにした。
「久我祭は婿つまり男を呼び寄せる儀式である」
彼が話し始めた。
「九勝祭は私たちの間では久我祭と呼ばれていた」
「久我祭とは女をよぶ祭典じゃ」
これは一年の周期で変わる祭典であることを知らされるそれは余に人が知らないために秘術をされるようになったのであった。
「来た男女はどうなるのですか」
彼がその言葉を言った。
「定住した場所を離れて暮らすようになる」
「悲しいことじゃな」と彼は付け加える。
立ち話が過ぎたことが災いしてどんよりした雲を見ることになってしまった。爺さんはつきものがおちたように声高な口調になるとそのまま家に入る様に伝えた。
「よかったら私の家にはいりなさい」
空を見ると星が綺麗に広がっており右京の怒りも次第に消えていた。
「どうして太陽が南中から東に降りている」
ペンダントから無数の毛虫のような芋虫状の大群が大所帯をまとめあげて火花のように散っていった。
「綺麗」
これは蛍であった。その中毒的とまで言える光行と光る光は彼を包み込んだかと考えた時には一瞬にして消えていた。
あの看板はバス停の印ですね」
大きく四輪の平面を切り取ったよう四辺形のバスの絵柄が良く描かれてあった。
「あの鉄板は平べったいな」
彼女との走馬灯が見える。
「変なところだ」
その奥は以前と変わらない所であるが私にとってはあの目印となる短冊が置いてある邸宅の屋根がちょこんと端の部分だけ見えていること以外は珍しい物もなかったと思う。
私がどこを見ても銀杏の木しかはえていなかった。銀杏のイチョウの葉だけが幾何学的に何かの法則に従って日と連動し動いているようだった。
「変なところだ」
周りには誰もいなかった。ないしどの家すら見つからなかった。ただ銀杏から落ちて来る葉っぱを見ていた。
私は目の前が広角レンズのように曲がったかと思うと、急にかけずりまわった。しかし誰一人として私に協力してくれる人はいなかった。
いつもは走っているだけであったのに私は突然左に歩きまわった。
しかし今度は左を見ると赤と白の駒形切妻屋根をこさえたハーフティンバー造りの家が合わられたのだ。
「ここは」
私はここなら。右京は家の門戸を三回ならした。そしてお辞儀をする。
「はい、どちら様」
「私は右京貞治です」
右京は骨の見えている肺が横に大きく動く程に息をたっぷりと吸い返事をした。それをこの老人は最後まで聞きそびれることなく半目の眠たげな姿勢からよく右京の襟さげている鞄をみた。
「そうか右京君わざわざ長い道を良く来られた。ささおあがりくださいな」
老人は腰を折り彼よりも深いおじぎをした。
「いえ、そのようなことはありません」
右京はその礼儀のある姿勢に負けじとさらに深く頭を下げた。
「お邪魔します」
右京は家に入るともう一度同じく、靴を脱ぐ前に礼をした。
老人は京子よりも速い速度でキッチンにいくと台所の銀杏などを横のシンクに置き手早に目玉焼きとハムエッグと玄米を用意した。
「私が朝食につくった料理と同じでよければどうぞ」
右京は卵の焦げ臭い香りに腹を鳴らしながらも玄米をほお張った。そして卵焼きを一かじりしたあと醤油とブラックぺッパーを振りかけて焼いたハムエッグを食べた。
「おいしい」
老人は笑顔になると口ひげを蓄えた白い毛を見せびらかしながらそれを整えようとした。
「私は彼女と親しいです。彼女を救いたいのです。彼女はどこか縛られているように感じます」
貞治は身を乗り出してはなした。
「知っておるよ」
老人は貞治にそうであるかの如く話した。
「彼女がそうである」
「さあ、食事にしよう」
「僕、ここに来てから銀杏とシメジ以外食べていなかったのですよ」
早口でまくしたてながらも彼の言葉を遮るように口へほうばった。氷菓子のことも光るペンダントのことも気になったが、さっきまで腹が減っていたのでとてもそんなことを考えることはできなかった。
ペンダントは小規模の小さな纏わりをその原石に付けているだけで光る線というのはその人の直感でしかなかった。氷菓子の甘さにその疑問を相殺しながら臨月の目の黒い部分を見る。
「ほほ、それは良かった」
「走ろう」
「どうしてここにこれたのかな」
「杉並木が左右に避けているようにかんじたから。でもおかしいのここには出口がない」
「そうじゃな」
「お客人はなここでは囲う決まりがあるのじゃ」
老人はポツリと話めた。
「わしはそれが嫌であの街から逃げ出した一人なのじゃよ」
老人は涙を流すとその雫が木材の隙間に当たったするとそこからシダ科の植物が枝を生やす。
「どうして、入り口が有るのに出口が無いの」
彼はそれを見るとその行為がどれだけ真新しいものか見ることになった。
「おっとすまん。春と間違えさせて種を芽生えさせてしまったかな」
彼の涙が元素の水にはんのうした。水はただの水もあるが彼のように意志に反応した元素はその波に乗り鋭い成長を遂げる。
「その名前はコケ科の生物ではありませんか」
彼はその言葉に臨月は大笑いをした。
「貞治君、植物が学名を受け入れるわけないだろう」
ベーコンはベーコンの形をしていた。
「確かにそうですね」
爺さんは満足そうに口ひげを触った。
「久我祭は男を婿にするとに使われていた隠語なのだ」
彼は調理済みのソーセージの上へ被さるようにフォークを置いた。
「そうか、だから僕はこんなところに」
彼は自身の状況を理解するほど目の奥の瞳孔が小さくなっていくような感覚がする。それは京子に怒りを覚えているからではなかった。
「久我祭は男を婿にするための儀式なのだ」
老人はそのまま押し黙った。
「九勝祭が女の理由にはならないよ」
貞治はそのままベーコンを口に入れた。
「そのままの意味じゃ。彼女、天童京子も招かれた客なのじゃ」
貞治はがむしゃらに昼食へありついていた。しかしもう昼ではなかったので夕飯であった。
「京子もこのまちの被害者だったのだ。寂れたバス停を見ただろう。それは乗客として遠い市街地からお客様として、久我祭ないしは九勝祭の主催者を連れて来るための移動手段であるだ。そしてそれは今も使われている」
彼は首を垂らして床の木目に目を落とした。
「私も自身に危害が及ばなければここで暮らすのも良かったのですが、これは外に出るしかなさそうですね」
貞治は一つため息を漏らした。
「私はそれを動物たちに確認させに行かせたので知っている」
臨月は遠くの者を見るように窓越しに空の月を見た。
「九勝祭で女性を捕まえていたのはわかりました。それで何をさせていたのですか」
貞治はそれが何か直感的に何かわかっていた。
「交配実験だよ」
ため息を漏らす。
「捕まえて来た男女をまちの人と交配させる実験ですか」
彼は茶をすすった。
「それは長老たちにとってこまったものだった。そのため柵をつくりその中へ一年に一回外部の人間を取り入れることで進化の過程を促そうと合意たのだそれが火消しの儀だった」
彼がポツリと言った。
「つまり今回の儀式は久我祭と言う名の火消の儀ということですか」
老人は押し黙っていた。それが答えであった。
「私はここの管理を任されているからその場所へいくことはできないが君ならその石が示す方向に行けるはずだ」
老人は右京の右のポケットが光っていることを感じた。
「それが君の進むべきほうこうだよ」
その石は紛れもなくその方向を示していた。示していた場所は私事ではなくあらゆる可能性を排除した一本の道しるべであった。
「彼らは自身と他者の違いを見分けるために脳の構造を解剖して解析しようとした。しかしそれでは整合性の取れない事象を起こすようになった。ちょっとした動作、所作のミスなのがそれにあたる」
未来を予知し考える胆力とその走る楽しさから私は、子供の時に駆け抜けた草原の原っぱを思い出しながらその体の仕草を俯瞰しているようだった。気づいた時にはもう家を飛び出して未来に向けて走りだしていた。
「ありがとうおじいさん」
おじいさんははにかむような笑いをした。
「最初は違うの人間どうしの他の者を交わると違う感性を研究するためのものだったのだがな」
貞治はおじさんにてを振った。老人もそれに手を振り返したがその目はどこか悲しい人をみるような灌漑深いものであった。
「蝋燭を出してみてみな」
蝋燭を出すとその縄の先に手をかざした。手に力を込めた力が徐々に火へ収束していく。
蝋燭の端に火が灯る。その日は焚火をして燃えた人違い燃焼するときに酸素を取り込むことはなかった。そのためか揺らぐことのない永遠を彷彿とさせるオレンジ色のグラデーションをしていた。
「いいか、帰るまでは絶対に炎を消してはいけない。それは君の道しるべになるからだ」
爺の声が家も見えない闇から聴こえた。
私はイチョウの葉をかき分けながら彼女を葉の裏に想像した。かき分けたイチョウは彼女のことを思いながら並木を一直線に駆け抜けるだけであった。
右京は京子の振袖の下からマッチを一つくすねたことにおもいを巡らす。
並木の間を反え潜ると私は短柵の裏に笹の葉があることが分かった。
「京子」
右京は京子を探したが短柵は七夕でもないのにそこへ飾ってあった。
「イチョウの葉」
右京は言葉をかざすと短柵の横にある裏の開閉扉からシンクに出る。
「京子!」
そこには和服の京子はいなかった。
右京は廊下の通りを駆け足で抜けた。
三角州の真ん中に炎柱が駆け上がっているのを左右に分離している。ご来賓のお客様たちは右京を見た。また女中は袴を着ていない右京を睨んでいた。
「右京さん、こっち」
右京は佳代子に手を引っ張られて左の最奥の隅にやった。
佳代子は右京が息を切らしているのを知っていても懐から取り出した、黒ネクタイを右京へかけた。
次に気づくと右京は質素な両端に扉の有る角部屋に押し込まれていた。そこは、京子と吐露で汚れた床を掃除するために入った、上品な木を使った物置部屋であった。
「京子さんこれは」
右京は佳代子さんに近づくと、佳代子の手に目を隠していたバンダナを返した。
「私は京子とここを出ます」
「佳代子さん京子さんはどこですか」
佳代子は京子の肩を揺らす。しかし、彼女は口を開こうとはしなかった。
「鍵をもらいます」
佳代子は上品だけれども型を崩した。
彼女は懐から鍵を取り出すとそれは禍々しい紫色をしたシリンダー式の錠を回す鍵であった。
「佳代子は白装束を着てお勝手から歩いてきますよ」
私は短冊の裏にある小分けにした。
「京子のことを貰いますからね」
貞治はイチョウの葉とシャープペンシルを持って彼女の所まで行った。
試着室と書かれたところには大きな袴があった。それは貞治の体格にピッタリの大きさであった。
「京子!」
唐傘が有ったところにはもう傘は置いていなかった。雑記林の向こうから短柵の方へ生暖かい風が吹き荒れていた。耳鳴りの闇の奥から通りにすり抜けた。
「京子」
「京子手を」
私は彼女に手を差し伸べた。その手を彼女が握る。
「待っていたのよ」
年甲斐もなく彼女は話す。
私は怖くなりその手をギュッと握り締めながら裏手の開閉扉からあの掃除入れの部屋に行った。その時にシンクにある卵を3つ掴みもって行く。
「さっきのことを話しているのはだれだ」
生暖かい風はあたりを包んでいた。
「雑記林の奥に行こう、そこなら通りに出れるはずだ」
私は雑木林の向こうから長い橋の奥が見える場所、中央よりやや右の月明りが出ている場所にいた。
「月が綺麗だ」
貞治は京子の手を引っ張りながら息切れを起こす程鳴りあがった心臓の鼓動を無視して、スーパームーンを見ていた。スーパームーンは十五夜の満月よりも濃く黄ばんだ色をしていた。だというのに貞治は京子の手を離してしまった。
「あの通りに長い鉄橋がありますわよ」
彼女はカンカン声を出して貞治の足を回すことを催促した。背中を叩くと貞治は自我を取り戻し本来の役目を自覚した。森は月明かりに照らされてその全容を露わにする。太陽の万膳な光では届かない鋭く鋭利な遮光を葉の中枢に当てたためだ。
「鋭利な刃物だ」
「淵が太くて茎みたいね」
「彼女に大きな声を出させるわけにはいかないからね」
私が登る登竜の滝はゴワゴワした岩の出っ張りの取り計らいにより鋭利な結晶となっていた。鋭利に磨かれた岩は投機にすることはできても降るための足場としてその茎の部分を取り次ぐ。
「橋は」
橋は彼女のことをどおりで耐えられるよおには想えなかった。
「とりあえずやってみましょう」
「はいよ女神様」
「橋は大丈夫そうだな」
女神は彼の尻を叩いた。
彼はちらりと後ろを振り返った。すると村の住人の誰かがこちらに近づいて来た。上空を見るとヘリコプターは飛んでおらず山肌は切り倒された形跡もなかった。私は彼女と遠くを目指した。
「佳代子遠くの方に行こう」
橋を支えている軸は中腹まで行くと彼女の重さでズシリと落ち込んだが丈夫であった。しかしロープから生えて来るツタの茎が落ちることを躊躇わせる。もし落ちたとしても岩肌を手で捕まえられる勇気があった。私は橋のロープを見たが経年劣化のために茶色いキバミがあるが私には橋が丈夫な老齢の大樹であったからだ。
「遠くってどこに」
京子を携えて右京は右の最奥から通りに松明を持った男たちを目が合ってしまった。
「この先に細い通りがある」
「通りってどこよ」
私は彼女の話を手で遮り返事を返した。
貞治は片手に跳ねた泥が付いたそれを舌でペロリと舐めた。
「京子が言っていた岩肌が見えるだろ」
貞治は舌の渓谷の間にある岩肌を彼女に見えるように掘り下げた。
「木苺がある」
まだ秋だと言うのに赤いたわわが実。私は彼女の腰を崩さずに持っているつもりであるがウズウズしながら私の背中を離れようとした。
「京子、今離れると危ないよ」
貞治は腰をポンポンと叩くと首を垂れて森の奥の闇の方を見た。
京子は貞治の手をバネのようにして大きくキバンダロープの間を縫いながら飛び越えた。
「京子、どうして」
京子は目をつぶって痛がっていたが何とか岩肌の細い丁度六角に角張った岩に捕まることができた。
彼女の悲鳴が聞こえる。私は急いで京子の居る崖に向かおうとした。滝の入り口に着くことは容易であった。
「京子・・・」
男たちは袴を着ながらも吐露で汚れることを顧みずにこの古そうな橋を渡って来ていた。貞治は一言彼女の名前を口走るとポケットの中から緑色の神々しい輝きをする液体の入った透明の容器を取り出した。
「ごめんなさい、頬月さん」
私は顧みず半分を絞った雑巾の臭いでありながら一気に飲み干した。瞬間私は目の奥から血走るような高揚感を手にする。そして殻を割って剥いた卵を口へほうばった。
手に痛みが残ったかと思うとひんやりしたある種の心地良さを体感する。そして次から岩石の中の微量な岩塩の塩分が傷口の血に混ざり冷気を出す。
「京子さん!」
「頬月さん!」
私は彼女の手を握ったが手が千切れるギリギリの部分まで手を伸ばすと、彼女も私へ手を差し伸べてくれた。それでも彼女のいる所に行くまでには岩の結晶を進んで握らなければならなかった。
「そのまま降りて」
私は彼女が進むと岩肌の壁面が終わるまで耐え忍ぶ氣でいたが京子は私の手に捕まりさっさと次の休息地点に足を延ばしていた。
「せーの」
「せーの」
二人は息を合わして貞治が彼女の全ての体重を支えるつもりでいたが、彼女がハングライダーのように使ったためそのまで苦しくはなかった。
上腕二頭筋から横隔膜の横にある肋骨の力を借りて自身の体重を支えつつ、自身は片側の筋肉を脱力させた。
しかし私は足で出っ張りを引っかけてそのまま寸での所で動かなくなったかと、思うと筋肉が震えだしていた。横の筋肉をいっぱいに使ったからか私は彼女の上品にも美しい降下に目を奪われていた。
「私は大丈夫よ」
私は登ったのだこの門戸をあけることにより彼女を村と言う呪いから断ち切ったと解釈しよう。
「僕も行くね」
私は一つ一つ噛みしめるように降りて行った。降りる高さは10mにもなっていた。貞治はまた一つ踏みしめるごとに眉の項がピクリと動いて同側が大きくなった。
「もう眠たい」
彼女が腹を摩りながらその場にとどまっていた。私はゆっくりとだが確実に彼女の居る場所まで近づこうとした。
「疲れた」
私の右手の岩が今に崩れ落ちたが、彼女が掴んでいる岩の斜めの上の所にある岩に腹から手を通して捕まった。
貞治が手を見ていると彼女がゆっくりとだが力なく落ちていくのがはっきりとわかる自分も行こうとするが高さに足が竦んで動けないでいた。
「あ、」
「ごめん、右京」
鳴き声にもにた京子の声がこだまするが、それは風に乗り彼女の耳に声となって届いた。断末魔の一瞬彼にはどんな声よりも鮮明に聞こえた。
「これは痛いな」
彼女は腹を結晶の先端で割いて血を流してしまったのだ。
「死んでからも忙しいな」
彼女の死の苦しみが彼のハラをえぐるように共感することができたからだった。噛みしめた思いを書けるように十三個の段をすべて歩終わる。
大樹の下から彼女の思いが通り抜けるように血だらけの手を流水で洗い、その手を握った。握った手からまた血が滲み出てきたがそれは手を変えることで対処した。いつ吹いても変わらない生暖かい風が京子と私の髪を撫でた。
すると彼女の隣で横たわっている私の後ろがある重力に押しつぶされそうになるほどの殺気を目にした。完全に空を充てる月よりも大きく見えるそれは大柄な男を黒塗りした風貌をしていた。それは彼女のことなど眼中になく、ただ右京をその目にとらえていた。
「なんだこいつ。完全に俺だけを狙っている」
それは彼女が再起不能の状態であることを分析する知性がある証拠であった。
「逃げろ」
自分に言い聞かせるようにその場から逃げ去った。
貞治は雑木林に生えてる杉の木を縫うように走りながらその猛獣の直進をいなした。その速さは魔法でバフを掛けている彼の俊足を遥かに凌駕する速さであるからだった。
日がもう入りの時刻になる。
私は直感的にあの村へ逃げれば助かると確信していたがその判断をするのはここまで逃げた、私のプライドがゆるさなかった。
ただ、反対へ逃げる。
そこには立ち入り禁止のプラカードがあった。それを飛び越えると私は浅黒い夕焼けをした密林の補導に出ていた。しかしそれは私が前に見たイチョウの景色とは相反して杉が多く並ぶ杉並木であった。貞治と京子はその新しい風に慈しみを持ちながらも歩いていた。
「お嬢ちゃんたちどうしたんだい」
歩いていたのだが私たちを見るや人柄のよさそうなおじいさんがいた。爺さんは私のことを話していたが、彼女の腹の傷を見ると驚いて腰を抜かしていた。
「この道をあるいていたのですが、道に迷ってしまいまして」
私が信用したのはこのおじいさんは、眉や瞼は動いているのに目は全然動向も動いてはいなかったからだ。しかし目の奥には光を宿していた。
「ここは私道だぞ」
「すみません。厚かましいかぎりですが、家が無くて」
おじいさんはびっくりしていたがそれでも目を閉じて悩んだ後何かを決めたように手を打った。
「目が似ているな」
「その血の診察もしてやるから来るならいいぞ」
爺さんのその言葉に笑顔を絶やす。
「よかった」
私たちはその場を四輪のトラックとともに姿を消したのだった。
「地震か」
その揺れは体重のにひゃっキロを軽くいなすほどの巨木が倒れた音によく似ていた。
私は彼女のことを話していると彼女は笑うだけであった。
「なんだありゃあ」
その身長は三メートルあろうかと考えられるほど大柄な黒い結晶を纏う、かぎ爪を持ったおとこであった。なぜかわからなかったがその怪物は男だと実感した。
瞬間爺さんの震えは一瞬にして消し去り彼女を絶命させる寸での瞬間にかぎづめを破壊した。
「お前はそこがよわいからな」
私は彼女のことをしらなかった。
「夢じゃないのか」
爺さんは京子に駆け寄り腹の傷を確認する。ふくよかなふくらみのしたに確かな三つのひっかき傷が見えた。
爺さんは猟銃を構えた時の観の目をして二人を見つめていた。京子も右京もその傷を摩りながら物乞いの風貌であった。爺さんは唇の先を震わせていた。
「お、お前らは俺が保護する」
すると震える足でエンジンを鳴らした。
「のりたきゃ乗りな」
二人は顔を見合わせるとその二つしかない座席に身を寄せ合った。
元凶の村からは遠く都会へ行く。
あの未知との遭遇が夢だったと証明するかのように光行とした光が京子を包んだ。
星野京子は右京貞治が話とイチョウが振る街を探索することになった。お坊さん、ホトトギス、山奥の渓谷の恵みを体験する。街の水は邪気を払う程にみずみずしい味がした。
この街には久我祭と九勝祭の特別な祭事が存在した。右京は、九勝祭が街外の女性を婿養子として街に受け入るための儀式である事を知り、京子に伝えた。
右京は、京子の手を取り山奥の渓谷へ行き、渓谷の奥の谷に有る、滝と森林へ行ける木組みの橋が用意されていた。右京は滝の横に有る断崖を降りることを選んだ。
右京は、住民たちの怒号が聞こえる中京子を庇い、矢と松明を背にしながらイチョウ街を後にする。
右京と京子は荒れ狂う気候の中囲む森を横断しお祖父さんの軽トラックでイチョウ街を脱する。