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闇市

登場人物

 比奈内宗助

 安堂真人

 カナリア=バーン

 星野京子

 右京

 不知火

 リコル=マーケット

 ビル=マアク

 イチョウ街を出た宗助とカナリアはイチョウ街の堺に有る中腹でふと思い出した顔をした。宗助はカナリアへ自身が森下の遺体が有る地下の施設へもう一度行けないか聞いた。 

「カナリア、もう一度森下が眠る地下の施設へ行けないか」

-イチョウ街・地下施設-

 不知火は完全に宗助たちから取り残された。ここがどこかもわからないまま、不知火は彼女達に忘れ去られていた。カナリアの手が自分の手に触れたかと思うと私は一人固い鉄の上で目覚めていたのだ。

 しかし、見捨てられた訳ではないと希望を持っていた。吹きあれる風が突風となり不知火の体を突き刺すと同時に暗い闇が辺りを覆っていることに気がついた。不知火は杖を取り出し頭に酸素を行き渡らせるため大きく深呼吸をした。

 京子から借りた杖を使い明かりをつけた。それが『解放呪文』であることを意識した。腹が減るほど悩み続けると彼女のシルエットが思い浮かび呪文が発された。

 京子は帰宅後右京の部屋へ泊疲れを癒していた。今頃は昼食時か寝ているかのどちらかだ。不知火はつゆ知らず魔法で照明を付けていた。

 杖の先に有る光を空へ投げるよう振りかざす。玉は杖が指す方を向き地上へ飛び中央の丸い球体の先端へ吸収された。吸い込まれた玉は大きい雲を球体として取り込んだ靄の中が発行し施設全体を明るく照らした。

 施設内の建造物が不知火の『解放呪文』に照らされ明らかになる。

「俺だけ置いて行くとは何事か。自分たちがやられたら嫌だろ。ああ、京子さん暗がりの中にもしかしたら居ないかな」

 暗がりの中から京子を探すためである。光は闇を吸収しできる限り伸びて行った。光がすべて伸びきり辺り全体が真の意味で照らされた。この光を使い不思議なことは影ができないことであった。

「よし見よう」

 これでようやく暗い中を見渡せるようなった。正常に機能しているのであれば私は頭の中の光景と実際に残されている施設の風景が合致していないだろう。

 つまり施設全体が軸となる中心から光を得て建物を照らしていると言うことであるため。建物へ入る階段から伸びる光には影はあった。

 青白い光線が当たる。

「ふう、ところで何で僕はここに居るんだっけ」

 彼は思い出せないでいた。彼の頭にはいつも誰かがいた。しかし、霧がかっており思いだそうとすると頭が痛くなった。

「空に青い雲?か球体が飛んでいる」

 白い玉は彼が二回目に頭上を見上げる時には碧の色に染まっていた。

「ここはどこだろう」

 不知火は横に有る水溶液の液を手で掬う。しかし透明なのか掬っても奥の黄色の手しか見えなかった。不知火は手で掬った水溶液を飲んだ。液体はさらさらとしており味のしないサラダ油を飲んでいる感覚へ近かった。

「飲んでみたいけれどこれ以上飲むのは辞めよう」

 意外にも美味しく思えたがこれ以上飲むことは体が危険だと判断して飲まなかった。

 彼はこれ以上に面白いものがないか探していた。奥に見える建物は白く見え遠い昔に見たアニメーションのワンシーンに移る建物画角に似ていたので興味を持つ。水溶液で手を洗うと手すりを伝い二回の『研究室』へ行く。

「ここに居た人は痛い目をしたんだな」

 地下二階からだろうか一階から目についた『研究室』へ行く事はできなかった。ドアが開かなかったことと暗証番号が必要で監視用の発射口が付いた監視カメラの圧力に負けて横の錆び付いたいかにも壊れそうな鉄の入口から中に入った。

「鉄だな」

 壁には窪んだコンクリートの破片が散らばっていた。また、血がすてきと多量に床へ落ちていた。引き出しのついた机が有ったので私は開けてみることにした。

「何もなしか」

 部屋は20mだろうかそれ以上有ったかもしれない。床がその程度有る。私は坪の計算ができなかったため親指と小指を使いある程度の長さを求めた。

「これは何だ」

 部屋の隅には黒い影が形成し配電盤には埃が床にたまっていた。床や机があるがひと悶着あったのだろうか殆どが破壊され中の髪が出ている

「」

 彼がちりばめられた資料を整理した。自身が何者なのか理解するきっかけにもなると考えたからである。資料には『脳腫瘍を持った人の脳の運用』や『脳と機械の関連性』などの論文が有るだけで理解できなかったが、一つ施設を壊滅する程の猛攻にも耐えかつ不知火でも分かるのが有る。それは名簿と書かれていた。

「人名リスト?」

 そこには様々な男の名前と女の名前が書かれていた。名簿を辿ると一つの名前にたどり着いた。私は黒い影の向こうに人の気配を感じていたがそれどころかではなかった。

「高鍋佳代子」

 不知火は影の中でも殺気が伝わって来るのが分かる。

 それは宗助に言われていた事であった。もし、作戦の影響で証拠を持って行けなかった場合代わりに持って来て欲しいといわれていたのだ。

「どうしてそんなことをする」

 不知火は横の研究資料を見ていた。そしてどうにか彼よりも早く取れないか模索していた。

「宗助のためだ」

 彼に言われたからだ。しかし、私は敢えて模索した。

「宗助がそんなに良いのか」

 彼は激昂しているようであるがしっかりとその手は資料を押さえていた。不知火は無言で頷く。

「何でか知らないけれどあいつなら何かしてくれそうな気がするんだ」

 しかし、彼の手が資料から離れることはなく、とうとう入れ物の中に入れられてしまった。

「そんなことはない証拠を集めたのも実装したのもこの私だ」

 不知火はため息をつく。

「なんだか夢を感じるんだ。あいつを見てきた。森下との滝での決闘に、ビルマ=バレンタインとの舌戦、妊婦の画像を巡っての決闘、それを見るとあいつで良いって感じるんだ」

 「そう言う君は誰だい」と言うと姿を表す。そいつは顎が引き締まっており若干小柄に見えるが肩が張っていないからで身長は私とどうとうであった。

 彼は光がともされている場所へと出てきた。彼の横に立て掛けられて居るショルダーバックは見るからに膨れていた。そのバックに実験に参加した研究者ないし出資者が書かれた『人名リスト』が有ると悟った。

「それだけではないな」

 不知火は体を捻り後ろから振るわれる攻撃を回避した。見ると報告書を書くためであろう机が二つに割れていた。

「なるぼど、つまり袋のネズミと言うことか」

 彼は挙げ手の内側を見せた。真、月、丁はゆっくりと肩を落としてしまった。

「プロイト」

 彼が呪文をはくと新月は体か一瞬軽くなったと思うと体から重さが抜けた感覚がした。彼が持っているショルダーバックを見ると、新月は自身の体をまさぐった。しかし、先まで肩にかけていたバックが彼の手に渡ったことを認めざる終えなかった。

 不知火は顎を引き指で彼を指すと彼の指から光が出てきて赤から紫に変わると発車した。新月は鼻先に、当たると腰を震わせその場から逃げた。

「お前はどうして」

 月が指を指した。

「それはこれ!」

 不知火は上とそこには先ほど打ち上げた白濁の巨大な玉が鎮座していた。

「白い濁った玉?まさか白痴の玉か」

 丁は意識が朦朧としており気が回らなかった。不知火は真が言う独り言を聞くと顔が笑っていた。

「ギャング風情がよくわかったな」

 真は笑うとそれぞれ持参した武器を御披露目した。

「月、丁俺の合図でやれ」

 月はブラックジャクを取り出した。丁の攻撃と一緒に見きられ外に追いかけられる。

「フロン」

 私が「意識を失え」と言うと彼らは溢れ出す脳内の情報を処理できずその場に泡を吹いて気絶してしまった。魔法は三発発射され真の肩にも当たる。

 床にへばり着くと彼はもうじき意識を失うだろう。しかし、彼は不知火のてを掴む。

「どえて銃弾は後頭部へ当たったはずなのにどうして意識を失わない。どうして記憶が蘇る。」

不知火の頭には過去の鮮明な記憶が蘇っただろう。彼が放った解放呪文である『白痴の光』には失った自身が重要であると感じる記憶を時間ごとに思い出そうとする呪文であった。

 危害の有るギャングも息が浅くなる。

 彼は真が完全に意識を失ったことを確認すると頭上に有る玉を打ち上げた発射場へ戻る。戻るときに首に巻いてあるスカーフに手を伸ばした。

 不知火が施設へ移動する前に彼女へ花束を送っていた。それは不知火が生まれた地域では男が戦争へ行く前に女性が渡すお守りが入っていた。

 彼はスカーフを手に触れると有る円形の陣を書いた。不知火は魔方陣へ念を込めながら陣を書いた。不知火は『エピロス』と『アルゴーラ』の魔道書に従い術式を完成させる。

 しかし、京子からして見れば術式は関係無く実際に必要なのは本人のやる気と支援する魔術師の質であると解いていた。

 不知火は呪文を発動する。失敗すれば形成をひっくり返される可能性が有るが、ここで事が終るまで耐え忍ぶと外に出て帰るのでは後者の方が良いとなぜだか感じた。

 彼は手を合わせると淡い光に満ちる。彼に見つかったからか或いは天からの思し召しが有ったからかわからない。しかし彼の体は光が灯ると共に段々と意識を失い見えなくなった。

 

 

-カナリアと宗助・帰り道-

 彼女へもう一度行くよう話した。

「君の『姿眩まし』と『姿表し』を使えば『開閉魔法』を使い瞬間移動することができるのでは?」

 カナリアは大きなため息をつくと、棒を取り出し遊びながら言う。

「もうやった」

 歩道を歩きながら宗助は沈む日を眺めて歩いた。道の横のガードレールに私たちは守られている。カナリアは残念そうに言う。

「赤外線レーダーに守られて侵入できないとか」

 宗助は一心不乱にカナリアがどうして不満な顔をするのか知れなかった。「魔法を既存の常識にあてはめないで」と言われる。宗助の距離感が近いから彼女は宗助を退かした。

「理屈が解らないな」

 宗助は腕を組む。

「私が魔法を使ったでしょう。『呪文』は明確な目標が有るから影響は無いけれど、『魔法』は原子と言う生命を使うから多量の魔力を使い大気を乱すからよ」

 彼女はコンビニエンスストアや民家を通りすぎアパートメントの近くまで寄ってくれた。

「大きな魔術干渉がされた場合その合間を縫い、移動すれば?」

 彼の屁理屈のような質問がとぶ。しかし、彼女にとっては屁理屈であった。

「馬鹿言わないでよね、曖昧を縫う大変さ分からないでしょう。それこそ上下と前後が伸縮する中を航行すれば最悪ひき肉です!」

 彼は彼女の感覚が分かるようで分からなかった。しかし、考えるのも疲れたので伸縮性の有る腸の中を航行するものであると解釈した。

「わかった、でも地下の施設の行方が気になる」

 カナリアも目を反らす。確かにその目は『地下施設が余りにも広大であったため見なかったことにした目』であった。

「そのうち何とかするよ」

「」

「図面を手に入れたから広さと大きさの限界はわかったけれど脳の機能を拡充させる機能がわからない」

「いわゆる、『共通認識』の拡充と言うことかな」

「それとも『阿吽の呼吸』を再現したかったとか」

「どうにかして森下から情報を聞き出せないだろうか。」

「物理的な、手段手段では行けないの」

「『魔法』は『夢』を『現実』へ降ろすための明確な『産道』と言われているからよ」

「ダメだった、イチョウ街を去る時にもう一度京子が居た更衣室のエレベーターが在る部屋に行ったがボタンは愚か操作用のパネルすら無かった。恐らく一度きりの避難用脱出エレベーターだったのだろう」

「良く探した?本当は見えないどこに有るとかは無い?避難用脱出エレベーターだって本当は自分で付け足した名前でしょう。」

「それは違うよ「脱出用エレベーター」は実際に書いて有るし、エレベーターが一度使用すると吊り上げられた重石が固定されて耐用年数が無くなるまで固定化され陳腐化によりエレベーター事態の使用を不可能にすると書いてあった」

「まあ、エレベーターを使う上での取り扱い説明書を読んだだけだから本当は書かれてないだけで耐用年数が持つかもね。」

「実際に耐久できる年数を低く見積り提示することにより格差を広げる手法か」

「そう言う手も有るかもね」

「森下のこともそうだけど」

「何?」

「もしかしたら、俺たちと同等かそれ以上に『企業・カンパニー』へ理解のある人達が居る場所が有るかもしれない」

「それはどこ?」

「闇市だ!」

 闇市は聞いたことがある。しかし、世間一般的には封鎖されたイメージではある。私は「あそこは一斉摘発が行われて行けなくなったのでは」と言う。宗助は「とんでもない、一斉摘発で立ち入りが一時的に制限されただけで今は行ける」と言う。

「昔はな、でも今は珍品を集めて売っている場所だ。その規模はモノだけに留まらず、サービス、情報と様々な分野に広がっているから凄い」

 彼は地図を取り出してくれた。地図は宗助が買った部屋から取り出した。楕円対の京都が二つ分の広さに近かった。

「そこなら森下やアルバスのことも、もしかしたら脳の出所も分かるかもね」

 アルバスを探しに闇市へ行った。

「違法なモノを売っていたが摘発され、違法売買をしていた業者だけが摘発され、珍品を売っていた人だけが生き残ったからだよ」

 彼は説明してくれる。私が教えて欲しいとお願いしたからである。

「生き残った人たちはどうなったの?」

 彼は地図を叩いた。

「摘発された奴と一緒に刑務所へ行ったか賢いやつだけが生き残った」

 屋台にはフランクフルトや女性へ話している所や男子が溜まっているがキャッチャーとなる様子は無い。

「意外に普通ですね」

 門のようなモノは無かった。良く見て見いると少し酸っぱい臭いがした。私は汚いし何より目が鋭く誰も合わせようとしない。

「普通だと思われてた方がかえって恩恵を受けやすいからだ」

 そこにはいかにもきの弱そうな青年がいた。「闇市」だから良いだろうとカナリアはそっと手を伸ばした。

「因に闇市で万引きをしたとしても、普通に警察へ捕まるぞ」

 彼は彼女の手を嗜めた。カナリアの手は高音に腫れ上がり悲鳴をあげる。

「どうしてこんなことした?」

 彼は頭を撫でる。

「気弱そうな青年がいて、「闇市」だから良いかなと思いました」

 宗助は彼の腰元を見るよう促した。カナリアは宗助が顎で指した方向にはまた銃が備え付けられていた。

「それ店の人に聞かれてたら現行犯で射殺されるから」

 彼女へ促すとげんなりしていた。それを見かねた宗助が何やら日本語意外の言葉で話す。

「ほらよ」

 宗助はカナリアへソフトクリームを渡す。宗助が「安全なやつだ」と言うそのソフトクリームは濃厚でおいしかった。

「安全じゃないやつもあるの?」

 宗助は頷いた。

「まあな、ほら、栄養補給もできただろうし俺は俺で佳代子の所にでも行くよ」

 住民が宗助とカナリアへ視線を送る。彼女は遠くから見える宗助を見送った。十万は下らない金額を貰いながら。

「どこかに有るかな」

 町の人に話を聞いて回った。カナリアが聞いても誰も自分の商売の話しか贔屓にしている商店街の話ししか話さなかった。しかし、誰に聞いても名前が上がらなかった出店が一件あった。

「スルガ」

 看板にはスルガと書かれた雑貨のようにも駄菓子屋のようにも見える店出会った。地図によると大通りから入った小道に二階建てのひときわ大きい建物であった。カナリアは店に足を運んだ。

「誰かいませんか」

 鉄の芯が屋根を支えている簡易的な掘っ立て小屋に見えたが、中には木造建築の造りが見えたので安心して屋台に入る。

「いらっしゃい」

 店長が気の良い挨拶を返してくれた。店長は40代半ばの丸々太ったおじさんであった。

「ここは何を売っているの」

 店長は目をパチクリして笑った。しかし、外へ聞こえる程でもなかった。店長は回りにある商品を手を広げある程度見せた。

「ご覧の通り珍品さ」

 店長は「申し訳ない」とも付け加えた。珍品とは彼女が言っていたけん玉や『漢方薬』と称した怪しい葉っぱなどであった。カナリアは眉間へ皺を寄せていた。

「ねえ、アルバスって名前に心当たり無いかしら」

 店長は店の奥を親指で指していた。店の奥には畳と上へ置いてあるちゃぶ台の他は目を引く物は無い。

「何も無いように見えるのだけど」

 店の中に玩具の他に駄菓子や投擲、手の届かない場所に『エアガン』が置いて有った。駄菓子は『子供たちを喜ばせるため』と言う。しかし、私には彼が指を指す先に『商品』と呼ばれるものは無いよう見えた。

「待っていろ」

 しかし、それでは店主が良い人と言う情報だけである。せめて店が出している割引券だけでも持って帰ろうと画策した。

「すみません」

 店主は眉間へ皺を寄せ苦悶に近い表情をした。激しい苦痛に苦しむ男から魂が抜けたようだ。店主は奥の暖簾をくぐり抜けると木と金属が摩れるおとが聞こえ、微量の埃と共に大きな炸裂音に似つかわしくない端正と上品に揺れ動くハッチを開ける音が聞こえる、気がして暖簾の奥まで突き進む。

「お邪魔します~」

 ハッチは長らく円錐形から四角錐の型をしていた。ハッチの中に有るモノであろう『何か』が入って居る場所へカナリアは足を伸ばした。

「何をしている!」

 ハッチの奥へ入ったはずの彼が居るのは茶の間兼寝室である奥の部屋出会った。丸い顎に丸い目で義足を付けている奴の足が速いはずかないと言い聞かせる。しかし彼が私の横に居るのは事実であった。

「『アルバス』の事を仰るのになぜ商品を漁る必要が有るのかと疑問に思いまして」

 彼は納得し手を打つ。彼はカナリアをまじまじと見ると「今度は見ないでくれ」と言い襖を締めた私にとって幸いだった事は足がまだ地価へ続く梯子に触れてないことであった。




「もうよろしいですか?」

 細身の体はより細く、太ましい体はより太くなる。恐らくは真ん中に蝋燭が置いてあり発した火が彼を照らすため影ができるのだろう。しかし、カナリアはしょうじから浮かぶ影は彼の動きはまるで障子のように見えた。

「ええ、もう良いですよ」

 彼女が訪ねると影はピタリと止まり一本の線を描いた。また、店主が火の前から動かなくなったからだろう。私は襖を開けた。

「私の探して居るモノですか」

 私は溜めない無く言うと彼は大笑いに笑った。彼の前には円筒状の二重の線が描かれた取っ手が付属品としてつけられている二重の窪みが特徴的であった。

「ええ、見て行ってください」

 それは一般的な缶詰である。缶詰には『脳』のイラストと太い筆記体の文字で『アルバス』と書かれていた。

「ひひ、ひ、」

-佳代子・宗助

 春の風が吹き荒れる中『マズラ』に足を運んだ。『企業・カンパニー』とはまずら社であったのだ。

 宗助は佳代子が話していた『企業・カンパニー』へ行った。私はカナリアと別れると闇市を抜けてイチョウ街の郊外である宗助が住居するアパートメントから西へ行く所に新幹線が有る。宗助は乗車すると一時間程度で彼女が話していた会社である。 

 『企業・カンパニー』へ赴いた。会社へ赴くが服装はスーツでは無く私服であった。服装に指定は無いのである。

 佳代子が『プログラマー』として彼女の経営に関わった。宗助はシンプルに運動靴に一般的なメンズを着込み門を潜る。会社へ入ると制服を着た女性が出迎えてくれた。顔は美人であった。

 宗助は鈍色の空に似つかわしくない笑顔で私へ接してくれた。目には信念を抱えているよう見えた。宗助の背中は彼女を見ると背筋を正そうと思えるようなった。

 彼女達には期待の目をしていた私が社会人だけであれば彼女達のきらびやかな目に圧倒されていただろう。私は『社員証』なる証明書を提示した。

 御社においては建物内部へ入社した時点でバーコードをスキャンし出勤の手続きをするのである。宗助は派遣として「派遣会社」から派遣される会社員をしていた。

 佳代子は彼女へ手を翳すと受付の女性が身を引き部署へ戻る。三日月は佳代子と一緒にサーバー室へ行く。サバー室は無数のコンピューターとソフトウェアの他には無かった。

 平均台の足に垂直にあたる所へ寝そべっていた。佳代子が平均台を指で指すと彼女は言う。三日月は通行発行カードを翳した。

 私は話をしていた、彼女へ話していた。平均台には彼女へ話していた。宗助は誘致されていた時の佳代子と三日月の状態を見た。

 佳代子は最初は安眠しているようであるが30時間程度時間を進めると魘されていた。宗助は後ろに靄がかかっていた。

 三日月は監視カメラの映像を止めて佳代子の頭部へ何が行われていたのか詳しく見ようとした。映像の時間は24時間が経った後である。

 三日月は映像の明確な時間が明らかになり17時15分であることが分かった。映像を拡大してみると脳の部分に白濁の色をした光りが当たっていることが分かる。

 三日月はさらに拡大し荒いグロースケールを修正すると一つの線が写し出された。線は頭へ当たっているが接触部は佳代子の高い鼻に隠れて見えなかった。

 三日月が拡大し修正した映像の一コマの時間を佳代子と三日月が居たバーチャル空間で感じた時間の流れを計算すると17時となったためであった。

 一コマに写る光の線の発生の部分は3つの小さな線が集まり光線を発射していた。機械は曲がった背骨が導線を括り付けているようであった。

 佳代子は倉庫から装置を取り出そうとした。しかし、何処を探しても装置は置いてなかった。彼女は近くに居た従業員に装置のありかを聞いた。

 彼女は笑っていた。佳代子は何を感じたか形を掴むと彼女は試用品であるため不要品であるから販売会社へ返品したと笑った。

 私は愕然とし、彼女は三日月と宗助の居る部屋まで帰る。宗助は時計を見るともう18時を越えていた。宗助はため息を漏らす宗助は急いで身支度をするとカナリアが帰って来るため一度アパートへ戻った。

 夕焼けの空は私が思うよりも重い色をしていたと考える。春風に吹かれながらスーパーで鶏肉でも買う。芽吹いた青菜が綺麗に見えた。


-カナリア・店主の店スルガにて-

「どうした?何か悪いものでも食ったか?」

 彼女は涙をポロポロ溢しながら、口をパクパクさせていた。『アルバス』の脳のしたたるゼリー状の味がした。彼女はカナリアは昨日食べた鯖の缶詰の味知っていたのだ。

「試しにこの缶詰の中身を見ても宜しいですか」

 店主はニンマリした顔で彼女の顔を見た。彼女は生前の彼を知っているのだ。店主は微笑んで「良いよ」と言い明け渡してくれた。

「特に難しかったのが培養液の保存なんだよね。企業からの依頼だ脳を腐食させることはできる」

 中身の缶詰は『クパァ』にも聞こえたし彼女が話していた。『ギュリ』とも似ていた。缶詰の蓋から開けられると表面張まで入れられた黄土色の水が溢れ出そうになる。

 カナリアは何も考えることはできなかった。カナリアの頭に浮かぶのは関わってはいけない事象、人間に関わった事実だけであった。

「いくらかかる?」

 仮に宗助の金ではなかったら私は手をひっくり返し業火で焼き付くしていたことだろう。私には理解できなかった。しかしカナリアの頭に浮かぶのは関わってはいけない事象、人間に関わった事実だけであった。

「9万だな」

 内訳は脳と缶詰の本体と溶接するために発生した費用である。カナリアは9万を店主に支払うと店主の脳缶を鷲掴みした。

 カナリアは脳缶を大雑把に取ると店主を目の前にして脳缶を回す。店主は大きな声で戯言を言うだけであった。

「私が泥棒だとしたら、君は糞やろう」

 カナリアは店主を指で指し大声で宗助が言いそうな事を言う。店主は顔を赤面させて大きな声で罵るだろうか言葉がわからなかったため、何を言っているのかわかなかった。

 店から出た露点が並ぶ街中であった。。

 暫し店主、カナリアの万富を考えずに楯突くこととなった。カナリアは店主を睨み付けていた。カナリアはアルバスの生前を知っているのだ。

 店主、カナリアを追いかけて街中から大量の仲間と一緒にカナリアを見つける。次第に噂は噂を呼びカナリアを捕まえれば懸賞金が出ると言われたからだった。

 カナリアは闇市を超えると彼らはもう追って来ることは無くなった。カナリアの手に脳缶が有った。脳缶へ暖かい手の『温もり』が伝わった。

 しかし店主は悔しそうにこちらを見て来るが街より先へ追ってくることはらなかった。カナリアは安全が確保できたため宗助が住むアパートメントの第013号へ足を運んだ。

「~ということが有ったのよ」

  カナリアは自身が体験したことを余さず宗助と真人へ伝えた。頭痛の種が増えたことに宗助は目頭を押さえる。

「ところであいつは」

 カナリアが指を指したほうに一人男が寝ていた。私は男の頭上を指でさす。「魔力枯渇しているときに転移の魔法使ったから気絶している」カナリアは彼の横の机に置いてある一冊の魔道書をに目が入く。「魔道書あって良かったね。どこから来たの?」カナリアが聞いた。「例の地下施設から」宗助が片目をつぶりながら言う。「今回ばかりは彼を忘れた非を詫びよう」宗助は棚に有る紙を広げた。「それは?」カナリアには上質な分厚い紙に『人名リスト』と書かれた一つの紙束に見えた。また、彼は脳缶を叩いた。

「まさか、脳を培養し精神を保存する技術が再現されて居るとは」

 そうすけは前屈みになり手を組んだ。カナリアの言うことには『魔法』を使わなくとも分かる事である。真人は彼女へ話した。

「脳の集合体を見たら分かるだろ」

 真人は呆れてため息が出た。真人は爪をいじりながら話しす。

「民間が再現していることおどろいたんだ」

 彼は不知火が持ってきてくれた『人名リスト』と『脳の缶詰』を交互に叩いた。宗助は「これであの企業が非道な人体実験をしていたことが分かるな」と言う。

「取り敢えず脳缶を見てみようか」

皺が縦にできていたり横の皺に分かれているのが見えた。クチュクチュした脳は黄土色をした培養液に入れられても若々しい色をしていた。

「ふう、」

 宗助は外で煙草を吸っていた。謎の地下施設へ行ったり森下と決闘したりしてなぜだか自分では疲れてはいないのにため息がでる。

「もういいかな」

 下の部屋にはカナリアと真人が祝砲を挙げていた。で、あるがそれに宗助が交ざることはなかった。宗助はもう一度人名リストを見た。

「変な名前だな」

 彼はその紙をファイルへしまうと、階段を戻り彼が住んでいる第013号の部屋へ戻った。そこにはリコルとビルが祭りをした後片付けをした。

 カナリアと真人は宗助のへこたれた顔に少し顔が歪んだ。

「俺は休むよまた」

 そう言うと真人は心配そうに言うが右京もカナリアも疲れているだろう。『3日間でゆっくり休みな』と言い彼は寝室へ行く。

「3日後な」

 真人は「なんだよ」と言うと生ハムを口に頬張った。カナリアにベッドを譲りソファーで眠った。

「脳缶は見たくないかな」

 と言い眠りについた。それは夜の9時15分のでき事であった。

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