表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/58

多重聖域(資本主義と異教徒の聖域の話)

 巨大な聖域の明かりは夜も決して消えることはない。


 敬虔なる信者たちは天に手を伸ばすように幾重にも層を成す巣を作り、夜を拒絶するように頑なに光で満たし続ける。


 闇と混沌、不可知の神秘を領域の外に追いやり、安全で快適な聖域の境界を守るために。


 讃美歌が響く。成長と発展、その先にある豊かさという天上の国を称える声が。


 正体を隠した神の言葉は聖域内の隅々にまで浸透している。


 もっと早く。


 もっとたくさん。


 もっと心地良く、もっと便利に、もっと効率的に、と。


 光が薄らぐ辺境の住処に帰った異教徒は、閉じた扉に印を描いて都市という名の聖域の中に結界を張り、自分だけの飛び地の聖域を生み出す。


 壁掛けの丸い月、カーテンレールにかけたガラスの星、鉢植えの森、カーペットの草原。忘れられた古い神の気配がささやかな聖域に宿る。


 馬鹿げた蒙昧なお遊びだと、心の内で都市の神が嗤う。その声をかき消すように、隠れた異教徒は森の神に祈りをささげる。太陽の光が都市の明かりを呑み込む時まで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ