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第3話

刃引きの剣?


そりゃあ単なる気休めですぜ、ダンナ!


考えてもみなせぇ。


金属の塊で殴打されることをよぉ。


「安心せよ。峰打ちじゃ」


なんて話は、嘘、嘘、嘘!


普通に大怪我だっつーの!

 近衛騎士団は主に皇帝陛下と皇族の方々の護衛や宮中の見回りが主な仕事である。


 特に直属の護衛騎士は出陣して戦をするわけではない。護衛対象、私の場合はカイゼル殿下を守るのが職務である。


 護衛対象を守るだけではなく。襲撃の防止や襲撃計画の壊滅も仕事に含まれる。


 だからこそ襲撃者を殺してしまっては、口を割らせて情報を得ることができない。『死人に口無し』と言うことだから、下手に襲撃者を殺すと、口封じのために殺したのではないかと審問を受けた事例が過去にあったらしい。


 そのため護衛騎士は敵を無力化して捕えるような訓練を必ず受ける。


 口を割らせるのは、その道の専門家がいるので、詳しくは知らない。


 以前、管理官にどのように口を割らせるのか尋ねたことがある。


「貴女は世の中には知らないほうが良いことがあることを知りましょう」


 そう遠回しに言われてから詮索はやめた。噂では、泣いて謝って、洗いざらい話してしまうような方法で自白させる技術があるとかないとか。


 そして、いつの間にか私は職務とプライドの間で、「不殺の剣」を掲げるようになった。それが正義だと信じて。


 また相手をうっかり殺してしまわないように、私のナイトソードは、元々両刃だったものを刃引(はび)きをして、斬れないようにしていたのだ。それは剣の形をした鈍器だった。


 そういうこだわりも含めて、恐らくいけ好かない生意気な小娘。私のことをそう思う貴族や官僚は多かっただろう。何せ自分の愛娘(まなむすめ)から悪口をさんざん聞かされていたであろうから。


「殿下に色目を使っている」

「殿下のお体にやたら触れて不敬(ふけい)を働く」

「ダンスも踊れないくせに殿下のお側にべったり」


 などなど、私もどこからか流れてくる悪い噂を耳にして嫌気がさしたものだ。


 そのような中で、帝国直轄の治療院の視察があった。今回の視察はカイゼル殿下がおこなうことになっていた。


 殿下のお近くは、私を含めた近衛騎士団10名、施設の周囲は第二騎士団の精鋭数十名が固めて、監視も万全だった。そのはずだった。


 本来なら、信頼できるお父様とお兄様の居る第一騎士団に周囲の警備をお願いしたかった。


 しかし残念ながら他のご用事と重なり、今回は第二騎士団に依頼することとなったのだ。


 私は殿下のすぐ側で周囲を警戒しながら、殿下のお優しい横顔を見ながら、耳に心地の良いお声を聞いていた。


 そして、真に思った。


 この幸せな時間がずっとずっと続けばよい、と。


 その願いは叶わなかった。


 

夢は一人称で見ました。


つまり、私がアンネローゼだったわけです。


なんでこんなこと思うんだろ?


と夢を見ながら???でしたね。

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