ホッとした私はまた眠ってしまった。
人間がいる限り、過ちは繰り返される。
それは、どうしたらいいのか誰にも分からない!
目が覚めたのは日が暮れてからだろうか。
窓からは闇夜しか見えない。
私は今どこに居るのか、薄暗い見たことの無い部屋だ。
側には誰もいない。
身体も思うよに動かない。
アルコールのような鼻に抜けるような匂いが漂っている。
その時、一筋の光が差し込んだ。
「水谷さん、水谷孝彦さん分かりますか?」
白衣を着た女の人が呼びかけている。
(私のことか?) 頭の中が混乱している、私は戸惑いながら頷いた。
その女の人は、電話で「山縣先生、水谷さんが意識を取り戻しました」と、伝えていた。
(ここは、病院なのか?)
(私はどうしたんだ?)
意識が戻ったのは、どのくらい経ってだろうか?
ここは一体何処なんだ!
「お父さん、お父さん…危ないってだから言ったでしょ!」誰かが呼んでいる。
梓だ、娘の梓の声だ。
「気が付いた、もう大丈夫よあなたは運が強いから、もー頑固で意地っ張りなんだから!」嫁の朋子だ。
思い出した、私たち家族はお盆休みに田舎へ帰省する途中事故にあった、いや起こしてしまった。
私が不注意だった。やはり周りの人達の言う事を聞くべきだった!
俺は動けないが嫁と娘は無事だった様だ、怪我もないようだ。
目の前に2人共いる、良かった!
もう二度と運転はしない。
ホッとした私はまた眠ってしまった。
「臨時ニャースです」
「今朝9時半ごろ、高速道路で無理な追い越しを掛けた車がトンネルの壁に激突し横転する事故が発生しました。現場はその事故の影響で通行止めが続いています」
「横転した車に乗っていた女性2人が死亡し、男性1人が重軽傷を負いました。運転していた男性は高齢で追い越しの際ブレーキとアクセルを踏み違え激突した模様です。
目撃した人によると、あおり運転の可能性もあるとのこと。
繰り返します……
……END」
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