16人おる
暑くなってきました。
ホラーな季節がやってきました。
久しぶりに少し怖くての続々編を書いてみましたので読んでみて下さい。
思いつくかぎり連載してみたいと思います。宜しくお願いします。
これは、私が小学校3年生に進級したての頃の話しだ。
その学校は、田舎の学校で木造の2階建校舎があった。
横には鉄筋4階建て校舎もあり、学年が上がるとそちらに移っていく。
3年生はまだ木造校舎であった。
床がギシギシと歩く度に鳴る、特に2階はよく鳴る。
入学したての頃から、私はその音が怖かった。
いつも誰かが後を付いて来ている気配を感じていた。
だが、振り向くが誰もいない。
クラスは15人で女子の方が10人で男子より多く、先生も女の先生であった。
3年生になって数日、そんなある日。
「けんちゃん、けんちゃん」翔ちゃんだ。
翔ちゃんとは、3年生になってすぐに友達になった。
そして席が私が前で、翔ちゃんが後ろと並んでいる。
そんな翔ちゃんがある時、チャイムがなり授業が終わると同時に後ろから声を掛けてきた。
振り向くと、
「けんちゃん、けんちゃん、あんな……!」
「なに〜」
「16おる!」
「……?」
「16人おるんや!」
私は翔ちゃんが何を言ってるのか分からなかった。
「けんちゃん、数えてみぃ」
言われて教室を見渡し、人数を数えた。
「……14、15、……?」
「……じゅう…ろく」
数え終えるとみんなが立ち上がったため、誰が多いのか分からなかったが、
「おった!」
「うそちゃうやろ」
「3年は15人やな〜」
「そや、15人や」
「先生にいうーか?」
翔ちゃんは右手を横になんべんも振った。
「あかんあかん、そんなの信じるかいなバカにされるだけやー」
「そやな、そんならどないするー?」
翔ちゃんは腕組みをし、考えている。
私もどうしようかと考えていた。
そんな時、
「けんちゃ、さっきから何いうてんの?」
「ここんとこ、ひとりで……」
前の席に座ってる、多恵子が声をかけてきた。
「16人おるんや、この教室に」
「ここって15人やろ、後ろの翔ちゃんも言うてるから数えてみたら16人おるんや!」
「……」
「けんちゃん、あんた大丈夫か?」
「そやかてあんたの後ろ、いてへんやん」
「あんたが、一番うしろや!」
「……?」
「うそや、うしろは翔ちゃんやー!」
「……?」
振り向いた時には、翔ちゃんどころか机も椅子も無かった。
ただ、床はギシギシと鳴り、後ろのドアの方へ遠ざかる気配を感じた。
その音は多恵子には聞こえてないようだ!
終
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