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第16話 フヤ

 フヤ行の直行便は13時の予定です。

『4人で乗りたいんだけど・・・』

『それでは、搭乗される方のお名前を教えてください』

『ボイ』

『リサ』

『ヒギエラ』

『エウフロンネ』


ボイが空港のカウンターで確認すると、13時にアメリ山の麓にあるフヤに行く飛行機があるという。アメリ山は薬草の産地であることから、その輸送・・・つまり貨物需要があり、プロスチェとの定期便があった。人の移動が少ないのか、当日でも席は確保できた。結局、偽名を使うこともなく、あっけなく搭乗できそうである。


『昼食でも食べようか』

ボイはそういうと、空港のターミナルにある食堂に向かった。


・・・


『流石、プロスチェですね・・・』

エウフロンネがそう言いながら、オークのステーキを頬張っている。食堂のメニューは、ほとんど魔物の肉ばかりであった。パンや野菜は肉よりもはるかに高い。冒険者ギルドで出金してきたこともあり、お金に困っていなかったものの、その先、収入が得られるか解らない状況でもあることから、無意識に高いものを避けていたようである。割安な、魔物肉の料理を食べている4人であった。


『トーロウ国では、魔物はあまりないのか?』

大陸の方が、魔物との闘いの中で沢山の魔物肉の供給があると思っていたボイであったが、


『西部では、多少食べられているが、セントラルシティでは、ほとんどない。魔物肉は珍しいものになるな』

ヒギエラがボイの疑問に答えた。


『ヒギエラがたまたまではなくて・・・?』

ビートシティでは、普通に肉と売られていたオーク肉を頬張りながらリサが話に入っていた。

『そんなことはないです。セントラルシティでは、牛、豚、鶏肉が普通でした』

エウフロンネがオークのステーキを食べ終わったところで話に加わってきた。


『トーロウ国では、魔物とは国境で戦っているものの、食料として狩ることはほとんどないのです』

布巾で口を拭きながらエウフロンネが呟いた。


『そうなんだ・・・』

ボイとリサは多少驚きながらエウフロンネを見ていた。


『トーロウ国では、魔物とは国境での戦いでしかないからな』

ヒギエラが口を押えながら言った。いつの間にか、食べていたはずのオーガ肉のシチューはなくなっていた。


・・・


搭乗時にも特に問題はなく、飛行機は夕方にフヤの空港に着陸した。約5時間の飛行であった。無事にターミナルから出ることの出来たボイたちは車を出せそうな場所を探してみると、ターミナルの脇に丁度死角になっている部分があり、ボイは早速アイテムボックスから車を出した。

(あると便利だよな・・・)


日本で、外国から持ってきた車にナンバーもつけずにそのまま乗っていたら、間違いなく警察に止められそうだが、この世界では特に自動車の登録制度が有るわけでもないので、疑われることもなく4人は自動車に乗って空港を後にした。


・・・


フヤの街に入るのは特に問題がなかった。フヤの街に入るとき、ボイの冒険者カード見せただけである。


『ほとんど、確認してないですね~♪』

助手席に座ったリサが車窓から見える景色を眺めながらいった。


『まあ・・・セントラルシティでもない限りは、ほとんど見てないな』

ヒギエラが答えるようにいった。


『薬草くらいしか産物がないところですから・・・』

エウフロンネも言葉を被せてきた。


『まずは宿を探そう』

ボイはそういうと、左右を確認しながら自動車を進めていった。


『フヤの宿は1件知っているぞ』

ヒギエラが、ボイにナビゲーションをして宿に向かわせていた。


・・・


『なかなかいい宿だね』

ボイは顔を引きつらせていた。ヒギエラが知っていた宿は、街一番の高級宿だったのである。1泊 4人で金貨4枚・・・。王族が泊まるには質素ともいえるレベルだが、現在の4人は冒険者である。明らかに豪華すぎる宿だった。


『まあ・・・たまにはよいのではないでしょうか~♪』

リサはご機嫌である。ヒギエラとエウフロンネは、経済感覚がイマイチなのか、

『まあまあだな』

『この街ではこれくらいしか無理ですから・・・』

あまり、現状を正しく認識していないらしい。

 

 ボイは、カウンターで受付をしている女性に声を掛けた。

『アメリ山方面の情報は何処に行ったら解るだろうか?』


『それでしたら、北門付近にある警備隊事務所で聞くのが良いかと思います』

カウンターの女性は、平然と答えた。

(ほう・・・警備隊か・・・)


『突然行っても教えてもらえるのかな?』

『はい。周辺の危険情報を案内するインフォメーションがあります』

ボイの質問に、よどみなく答えるカウンターの女性であった。


・・・


ホテルの夕食は、豪華であった。

『本当に牛のステーキですね~♪』

『このパンもいつものだ』

『いつものですね』

リサが、魔物ではないステーキに驚いているのに対し、ヒギエラとエウフロンネは、いつも通りと言っている。どうやら、トーロウ国の王宮での普段の食事レベルであったらしい。

(大陸の方が、ビードロフ島より豊なようだな・・・)

ボイは牛のステーキを頬張りながら思っていた。

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