第13話 説明
『ヒギエラ、エウフロンネ、そしてリサも話を聞いてほしい』
そう言って、からボイはこれからのことを話始めた。
『この魔方陣は、今はまだ発動できない。これは、大量の瘴気を使って発動させる転移魔方陣だから』
その言葉にヒギエラ、エウフロンネの顔が引き攣った。
『瘴気を使った魔方陣なんて聞いたことがない(です)』
ヒギエラ、エウフロンネの声が揃った。リサは黙ってボイを見ている。
『ああ・・・通常、瘴気は魔方陣を発動させるだけのエネルギー集積がないので、誰も使わない。いや使わなかった。けれど・・・5年後、急にそのエネルギーは上昇するんだ。そして、更に5年後、瘴気の増大したエネルギーでこの星は崩壊する。その時発生するエネルギーを使って第3惑星に転移させるための魔方陣なんだよ』
『ベスタに溢れる瘴気を使うのですか・・・』
『そう』
ヒギエラが呆けながら言った言葉にボイは短く頷きながら答えた。
『そして、発動させるためには、魔方陣の3か所に吸瘴石を埋めなければならないんだ』
『キュウショウセキ?』
聞いたこともない言葉にヒギエラ、エウフロンネ、そしてリサも首を傾げた。
『吸瘴石は瘴気を使った魔方陣を発動させるための鍵のようなもので、青、赤、黄の色の3色がある。この星・・・ベスタのどこかにあるといわれているものだ』
ヒギエラ、エウフロンネ、リサの3人は、ただ頷いている。
『ほら、ここにくぼみがあるだろう・・・』
ボイの指さした先・・・街壁の内側の壁に、三角形の穴が開いていた。3人はそれを食い入るように見ている。
『ここには赤吸瘴石を埋める』
3人は頷いている。
『同様に、この街壁の内側の壁には、青吸瘴石と黄吸瘴石を埋めるところがある』
北を0°とすれば、青は120°、黄は240°のところに存在している。
『これを、これから探しにいかないといけないのですね♪』
リサが何故か嬉しそうにいった。
『その通り・・・だけど、大体の場所は解っているんだ』
『へえっ?』
ヒギエラ、エウフロンネは思わず変な声を出してしまった。
『青吸瘴石は、トーロウ国(大陸の東にある国)の北にあるアメリ山にあるダンジョンの最奥』
『赤吸瘴石はザパト国(大陸の西にある国)の南にあるソビエの森にある洞窟の先にあるダンジョンの最奥』
『黄吸瘴石は、イドラ谷の中央・・・』
ボイが説明しているとき、ヒギエラが叫んだ。
『イドラ谷なんて・・・人類がいけるはずはないです』
イドラ谷は、大陸の中央・・・つまり魔物の領域の中心にある(といわれている)谷である。魔物の力が最も強い地域であり、人類が到達することは不可能と言われていた。
『まあ・・・普通に行ったら無理だね』
ボイはヒギエラを見たあと、
『アメリ山のダンジョンとソビエの森にあるダンジョンにある転移石を手に入れて、イドラ谷に直接乗り込むつもりだ』
『・・・転移石?』
ヒギエラ、エウフロンネ、リサの3人は転移石が解らなかった。
『あの・・・転移石とは何でしょうか?』
エウフロンネが恐る恐る聞いてきた
『ああ・・・転移魔方陣を組み込んだ特殊な石で、魔道具のようなものだ。使い捨てなので1回しか使えないらしい』
ボイの説明を3人は呆然と聞いていた。どうやら、理解できない領域に達したらしい。
・・・
3人が回復するのを待って、ボイは説明を再開した。
『でも、まずは、この街を作らないといけない』
ボイはそういって街壁の中を指さした。魔方陣が消えた(実際には隠された)土地は、広大な整地された土地になっていた。そう、草すら生えていない・・・。
『4人しかいないのですが・・・』
リサが心配そうに言ってきた。
『そう・・・これから、街を作ってから人をスカウトしていくんだ』
そう言ってボイは3人を見つめた。
『・・・』
『街を作る?』
『人をスカウトする?』
3人には理解できないことばかりだった。その中でリサは何故かニヤニヤしている。
ボイは、この先の説明を行った。
『魔法って便利だよね・・・明日から街つくりを始めるからね』
そういったのち、その手順を3人に説明したのだった。それは、“異世界の蔵書”にあったあるリストに従っている。
=街作成手順=
1.城と滑走路を造る。城には転移魔方陣を作り、物資の輸送を行う
2.街を円形に回る道路と空港から伸びる道路を作る
3.中心部には大きめの家とショッピングセンターを作る
4.円形に回る道路の外側は全て畑とし、食料の生産を計る
5.水道は全て城で作った魔法により作成し、水道管を使って配管する。畑にはため池を設け、そこに水を供給した上で、農業用水とする
6.下水は全て、魔法処理をとし、城内部に設置された処理施設に集約、無害処理した後、肥料として農家に販売する(街完成後実施。それまでは、城内に蓄積)
・・・