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第12話 魔方陣

『早速、作成に掛かるからついてきて』

ボイは、リサ、ヒギエラ、エウフロンネの3名に話しかけた。


『何処に行くのですか~♪』

リサがボイを追いかけながらボイに話しかけてきた


『今から魔方陣を作るんだよ』

『早速取り掛かるのですね~♪』

ボイの答えに、どこまで理解しているのかリサが答える。


 『ちょっとまって!』

ヒギエラとエウフロンネが声を合わせて2人を追いかけていた。


・・・


『この壁、登れたのですね~♪』

リサが壁の中にある昇降用の階段に感心していた。この壁は厚さが2mほどある。最大の特徴は、壁の上に上るための階段が壁の中に仕込んであることだった。


 『壁の外に階段があったら魔方陣の邪魔になるからね』

ボイは当然といわんばかりに答えた。実際には、“異世界の蔵書”に書いてあった通りに作っただけである。つまり、他の作り方は解っていない・・・。


『この街壁・・・何かおかしくいないか?』

ヒギエラがボイに話しかけてきた。


 『この街壁は人を通す必要がないからね。門はないのだよ』

ボイは指摘された内容が想像できたのか、先に答えを言った。


『えっ?』

エウフロンネが驚いている。常識として、出入口が無ければ街は成り立たないからだ。


『そうなんですね~♪』

リサは解っているのかいないのか、そういうものだと思っている。

壁の真北部分に来ると、ボイは南、つまり街中に向かって両手を広げ、何かを唱え始めた。


『ええええ~!!』

ヒギエラ、エウフロンネがその姿に驚いて叫んでいる。正確には、街全体を覆う真っ黒な何かに満たされた街壁の内側を見て恐怖に怯えているというのが正しいところだろう。リサは、ボイを信用しているのか、黙ってその様子を見ている。ヒギエラ、エウフロンネが邪魔しないかぎり、様子見らしい。


 ボイが呪文(?)を唱え終わり、広げていた両手を降ろすと、街壁内部を満たしていた真っ黒な何かが徐々に消えていく、代わりに、びっしりと書き込まれた魔方陣が街壁内部の土地に現れた。


『転移魔方陣ですよね~♪』

リサがボイに確認するように尋ねる。ボイはリサの方に向くと、頷いた。

(蔵書に書いてあったとおり・・・魔方陣が出来てしまった・・・)

ボイは意識が消えていくのを感じたが、どうにもすることが出来なかった。


・・・


ボイは、街壁に寝かされていた。

『気が付いたみたいですね~♪』

リサがボイを見ながら微笑んだ。リサの話によると、倒れる寸前、ボイの体はリサによって支えられ、そのまま、ボイが立っていたところに寝かせられたそうである。よく見ると、いつの間に用意したのか、毛布がボイの体の下に敷いてあった。


ヒギエラ、エウフロンネはその様子を不安そうに眺めていた。

『いきなり倒れるからどうなるのかと思った』

ヒギエラがボイに話掛けてきた。


『ああ・・・ごめん。先に説明しておけばよかったね』

ボイは右手で自分の頭をかきながら言った。


『魔力切れですか?』

エウフロンネが心配そうに言った。


『そのとおり。この魔方陣作成はきついんだ』

そういいながら、アイテムボックスにあった黒い塊を取り出した。

『それは・・・』

ヒギエラ、エウフロンネがボイの取り出した黒い塊を見て固まっていた。何故かリサはニコニコしながら、3人を見ている。


『これは、昨日着陸した黒い石の残り』

『はっ?』

ヒギエラ、エウフロンネは意味が解らずボイと黒い塊を交互に見ていた。


『この黒い塊は、魔力の塊なんだよ。寝ている間にアイテムボックスに回収しておいたんだ。この力を使って、街壁を作ったという訳・・・』

ボイの説明が言わらないうちに、


『先に説明してください(ほしいです)』

ヒギエラ、エウフロンネが叫んだ。


『まあまあ・・・。殿下。この後の作業もあるのでないのですか?♪』

リサは、何かを悟ったようにボイに言った。


『ああ・・・この魔方陣を保護した上で、この上に街を作らなければならない・・・リサ?まるで知っていたようだけど?』

ボイはリサの行動がおかしいことにようやく気が付いたのだった。


『はい。殿下が10歳の時、神のお告げがあり、今日の出来事を聞かされていましたので・・・』

淡々と答えるリサであった。


『それはいつの出来事?』

驚いた勢いのままボイはリサに質問していた


『はい、1日倒れていた時のことです』

どうやら、ボイが本に埋もれて意識がなくなり、その結果、前世の記憶を思い出したときのことらしい。


『さあ。早く続きの処理をしてください♪』

リサはニコニコしながらボイに作業の続きを促していた。


・・・


『解った』

ボイはそういうと、再び南側・・・すなわち壁の内側を向き、再び両手を広げて何かを唱えだした。すると、今度は、街壁内部全体が光り輝き、街壁の中は光の海のようになった。

『・・・』

ヒギエラ、エウフロンネはあまりにことに言葉が出ない。リサはニコニコしながらボイを見守っていた。


ボイが呪文を唱え終えて、両手を下げると、光は消えていった。・・・と同時に先ほど出来ていた、巨大な魔方陣は跡形もなくなっていた。


『魔方陣が消えた!!』

ヒギエラ、エウフロンネが叫んだ。


『いや、消えたんじゃない、魔方陣を土で覆ったんだよ』

今度は倒れなかったボイが答えた。


『三か所に社を建てないと・・・♪』

リサがボイに促すようにいった。一瞬驚いたボイであったが

(これも聞いていたんだ)

先ほどの話を思い出し、冷静に考えることにしたのだった。

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