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第二十八話 お礼

俺はベッドで目を覚ました。


どこかで倒れてしまっていたらしい。


夢の中ではモヒカンデブの人生がリフレインしていた。


今はなるべく思い出さないようにする。


1つ思い出すと、連続して記憶が再生されてしまいそうになる。


少し記憶が混乱するが、ここは、見覚えがある。


リリーの家のベッドだ。


違うのは、隣に黒い炊飯器がいるくらいだ。


炊飯器は、細いロボアームで腕を組み、3本の指だけで上品にティーカップをつまんでいる。


小指をたてた貴族のような所作で、ティーカップ内の液体を側頭部の漏斗ろうとにトクトクと流し込む。


これが上品な行為なのか下品な行為なのかはまったくわからなかった。


ティーカップが揺れる度、じいさんトカゲの店でかいだ匂いがする。


機械油の匂いだ。


少しづつ精神が正常に戻ってくる。


「そうだ!少年はどうなった?」


「あの少年は無事なのかしら。」


機械油を美味しそうに飲みながら炊飯器は答える。


「良かった。自分の家にいるのか?」


「そうね、そこに皆集まっているのですよ。」


俺は起き上がり、自分がフラつかないかを確認した。


「少年の家はわかるか?」


「もちろんなのよ。」


俺たちは少年の家に向かった。



少年の家は村から少し離れた森の近くにあった。


近くに他の家はない。


家の作りも、村とは違い木製で、簡易なログハウス、あるいは小さい山小屋といった見た目だ。


軋む木のドアを開けると、少年の包帯を取り替えているリリー、バイタルチェックをしているゴメスさんがいた。


「おぉ、目覚めたか。色々巻き込んでしまいすまんかったの。」


ドアの裏にはじいさんトカゲも座っていた。


巻き込んだのほ俺のせいな気もするが、じいさんは頭を下げている。


「少年は助かったんですね。」


「あぁ、お主とリリー達のおかげでの。」


「お主の無事が確認出来て良かった。 ワシは店を守りに戻らなきゃいけないのじゃ。」


「わかりました。ここは俺が守ります。 あいつらは、俺が呼びよせてしまった部分もあると思いますので。」


「私ガイル、守リハ問題ナイ。」


ゴメスさんに断られてしまった。


「ダガ、良ク戦ッタ。 アイツハ、ココイラヲ荒ラシテイタ、強盗団ノ頭。」


「そうじゃの。勢力拡大中だった、『世紀末の風』の団長じゃ。本来ワシらでは倒すのが難しかった相手じゃ。」


じいさんが続ける。


「そうよ!私からもお礼を言わせて、あいつら隣り村を焼き討ちして火事場泥棒、ほんとにひどかったんだから。 倒してくれて助かったのよ!」


リリーもこちらに気を使っているのか本心なのかはわからないが、認めてくれているようだ。


「なら、良かった。」


俺は褒められなれていないので、それだけ返してとりあえず空いている椅子に座った。


「さて、ワシは店に戻るかの。キャシーも腹空かせとるだろうしな。」


キャシー、ネコ型ロボットのことだろうか。


俺はじいさんトカゲをトラックまで送った。


じいさんには別れ際に、改めて命を救ってくれたお礼と、また買いに行くことを伝えた。


若いモンがあんまり気を使うな、と、優しく頭をはたかれた。


「それと、レーダー無効化ユニットは早く買いにきなさい。 アレがあるとないとでは生存率が全然違うからの。」


「お主にはタダでゆずってやりたいくらいじゃが、正規品は販売規制があっての。そうもいかんのじゃ。」


トカゲじいさんは優しい顔でそう言って、トラックに乗り込んだ。




少年の家に戻ると、リリーは1人で本を読んでおり、ゴメスさんと俺の炊飯器はこの世界のトランプらしきもので遊んでい


少年はまだ眠っている。


「お疲れ様、お腹すいてるでしょ。冷えてるけど、パンならあるわよ。」


リリーがポケットからバゲットを差し出す。


バゲットを口に入れる。


小麦粉の味がしてとても美味いが、本当は暖かければもっと美味しいのだろう。


口の中の水分がもっていかれる。


「俺は、何か世話になっているお礼がしたいのだが、何かいい方法はないだろうか。」


謝罪は受け取ってくれなさそうなので、言い方をお礼に変えてみた。


リリーは少し考えた後にこう言った。


「そうね、わかったわ。 今この森が少し危ないんだけど、話を聞いてくれるかしら。」

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