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第二十七話 少年

俺の意識が薄れゆく中で、モヒカンの記憶がリフレインされていく。


作戦は成功した。


タワーが足止めされると、隠れながらガトリングで反撃する癖。


その癖を俺が「知っていた」から立てられた作戦だ。


リフレインも悪いことばかりではないと諦めるようとした時。


全身を電気ショックが走った。


炊飯器が俺にスタンガンを打ったようだ。


何をす……


「死ぬなぁ!! 家はすぐそこじゃぞ!!!」


トラックからトカゲじいさんの声が聞こえる。


そうだ、倒れている場合ではない。


俺はリフレインで痛い頭を抑えながら、なんとか立ち上がろうとする。


炊飯器が肩(頭)を貸してくれた。


トラックに近づくと、じいさんが、少年に心臓マッサージをしていた。


「死ぬな、死ぬな」


呟きながら、じいさんが必死に少年の胸を押している。


心臓が止まる事態にまでなっていたのか。


「お前、スタンガン電気ショックとか出来ないのか?」


「適切な強さがわからないわよ。 医療系ユニット、積んでおけば良かったわね。」


炊飯器に言われて気付いた。


俺は誰かが撃たれるなんて想像していなかったのだ。


まさか少年が撃たれ、心臓が止まるなんて、考えてもいなかった。


戦いを甘く見ていた自分が恥ずかしく、何をすればいいかもわからない自分が悔しかった。


心臓マッサージのやり方もわからない。


じいさんが心臓マッサージを続けながら、こちらに向けて言う。


「おい。途中で変わってくれ、ワシもやり方はあっているのかわからん。」


じいさんがこちらも少年を見たまた、こちらに呟く。


荷台に乗り、心臓マッサージを変わる。


荷台は血だらけだ。


少年の体は冷たい。


マッサージをする度に荷台の血がピチャピチャとを立てる。


少年はこのまま死んでしまうのだろう。


彼は俺のせいで死んだようなものだ。


モヒカンの奴らは俺を狙ってきたわけだし、少年は親切に街を紹介してくれただけだ。


この状況では、出血を止めることも出来ない。


俺は、もう無駄だと心のどこかでわかりつつも、マッサージの手を動かし続けた。


悲しさ、怖さ、驚き、後悔、ないまぜになった感情が、溢れる。涙が止まらない。


俺が泣きながらマッサージをしていると、トカゲのじいさんが肩に手をおいた。


じいさんも少年の死が避けられないことに気付いたのだろうか。


俺は、手を止めることができない。




少年が、死ぬ。


俺は人が死ぬ瞬間というものを、初めて見た気がする。


妙に冷静に考えられている気もするし、何も考えられていない気もする。


手を止めていない間だけは、発狂せずに済む気がしたのかもしれない。




「諦めないで!!!」


「ソコヲドケッ!!」


俺は何かに横に吹き飛ばされた。


ゴメスさんとリリーが荷台に乗っている。


ゴメスさんが少年に輸血用のユニットを突き刺しながら心臓マッサージを始めた。


リリーが傷の止血、バイタルチェックを進める。


頭がついていかない。 ゴメスさんは猟銃の他に医療ユニットもつんでいたのか。


「心臓ハ、僅カダガ、動イテイル。」


「良ク頑張ッタナ。 後ハ私ニ任セロ。」


ゴメスさんの血に染まった白い炊飯器姿が、俺には、手術中の名医のようにに見えていた。

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