祝福の儀
はい、皆さまおはようございます。こんにちは。こんばんは。
はい、イロアス君が祝福の儀受けます。やっと書けました。
窓から差し込む月の光が、夜空を見上げる俺を照らす。この世界に転生して、初めてこっちで月を見たときはその大きさに驚いたものだ。前世の月よりも倍近く大きく、月の側にもう1つ小さな星が回っている。
「もう18年になるのか…案外早いものだったな」
俺の口からそんな言葉が零れた。感傷にでも浸っているのだろうか。
そうだ、祝福の儀の前にステータスでも確認しとこう。
「ステータス」
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名前:イロアス
年齢:17
性別:男
ジョブ:なし
スキル:
筋力強化lv3
身体能力強化lv2
視力強化lv2
槍技lv3
魔力操作lv1
魔法適正・雷lv1
潜伏lv2
∞∞∞∞∞ロック中∞∞∞∞∞
称号:転生者 努力家 秀才
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これが俺のステータスだ。自慢じゃないがこの世界に転生してからかなり頑張った。年齢が17歳のままなのは日付が変わっていないからだろうな。
スキルのレベルはだいたい、lv1初心者、lv2中級者、lv3上級者、lv4一流、lv5超一流、lv6達人、lv7天才、lv8人外、lv9神技を表しているとされている。それにしても…
「このロック中ってのは本当に何なんだろうな…父さんも母さんもわからないって言ってたし」
そう、俺のステータスにはロックされている項目がある。普通、自分のステータスであればその項目をタッチすれば詳細が見れるはずなんだ。なのに、このロックされている項目だけは詳細が見れない。百聞は一見にしかずだ、俺の称号の詳細を見せるよ。
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称号:転生者
この世界、ギルシアに転生してきた者へ与えられる称号。幼少期の間【スキルの成長難易度軽減:微】を付与する。
称号:努力家
幼少期から努力してきた者へ与えられる称号。自身が望み続ける限り【疲労軽減:微】を付与する。
称号:秀才
幼少期の時点でスキル取得数が3つを越えている者へ与えられる称号。【スキルの取得難易度軽減:微】を付与する。
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「ほんと、ゲームみたいな世界だよな…」
自分のステータスを見ていてそんな感想が出てきた。
「でもまぁ…こういう目に見える成果ってのは、嫌いじゃない」
前世の俺はゲーマーだったのだろうか。わくわくしてきてしまった。
「…明日は祝福の儀があるんだ、早く寝ないとな」
そう呟いて俺はベッドへ向かった。
◯◯◯
「お………くださ…!イ……ス…ん!イロ……さ…!」
なんだ?誰かに呼ばれている気がする。
「きこ…ますか……イ…アスさん!」
そんなに叫ばなくても聞こえているよ。
「よかった!やっと繋がった!」
繋がった…?どう言うこと?
「ごめんなさい、詳しく説明している時間はありません。手短にお伝えします。明日、祝福の儀を終えたらすぐに逃げてください」
逃げる?一体何から逃げるっていうんだ?それに君は誰だ?
「私はπανδώρα…い…ます。あ…たの……す」
なんだって?声が遠くて聞き取れないよ。ちょっと待ってくれ!おい、説明してくれ!どういうことなんだ?!
◯◯◯
「…っ!」
俺はベッドから飛び起きた。とても悪い夢を見た気がするが、なにも覚えていない。この年齢で魘されて目が冷めるなんてな。朝から最悪の気分だ。早く着替えよう、外はもう明るくなっている。
「イロアスー!ご飯ができたわよー!降りていらっしゃい!」
母さんが呼んでる。そういえば美味しそうな匂いがしてる。腹の虫が暴動を起こす前に食べに行こう。
「わかったー!すぐいくよ!」
そう返事をして俺は手早く着替えを済ませて階段を降りていった。
◯◯◯
「おはよう、父さん」
「おはようイロアス」
父さんはもう椅子に座って待っていた。どうやら母さんはまだ台所にいるみたいだ。テーブルの上には十分な量の料理が並んでいると思うんだが。
「おはようイロアス」
「おはよう、母さん」
そうこうしている内に母さんが台所から来たみたいだ。なるほど、今日はスープも付いているのか、豪華だ。
「それじゃ、食べましょうか」
「「「いただきます」」」
ちなみに、この世界にもいただきますの文化はある。
◯◯◯
「ごちそうさまでした」
はぁ…美味しかった…。前世の知識に頼ったとしてもこの旨さを表すことはできないな…。決して語彙力が乏しかった訳じゃないぞ?
「そうだイロアス。セルビアちゃんが迎えに来るって言ってたから今のうちに支度しとけよ」
「え、セルビアが?なんで?」
「なんでってそりゃあ…一緒に祝福の儀に行くんじゃねぇのか?」
「約束した覚えはないんだけど…わかった、支度してくるよ」
まぁ、支度っていっても特にすることはないんだけど。
◯◯◯
「イロアスー!迎えに来たよー!さぁ観念して出て来なさい!」
セルビアが来たみたいだ。じゃあ行こうか。ていうか…
「セルビア、その呼び方はなんだよ。俺は犯罪者か何かなのか?」
「イロアス!さぁ祝福の儀へ行くよ!」
「はいはい…」
今日のセルビアはご機嫌みたいだ。尻尾が凄い勢いで左右に振られてる。あ、この世界にはお約束というべきか、獣人がいる。セルビアはその獣人だ。
「イロアスは祝福の儀でどのジョブが貰えたら嬉しい?あたしはね、開拓者!」
「開拓者か、いいね」
「でしょでしょ!」
開拓者は俺たち田舎で畑を耕している人間には天職と言える。木を切るにしろ野菜を植えるにしろ開拓者かそうじゃないかで大きく差ができる。
「イロアスは?どのジョブがいいの?」
「俺は…冒険者か狩人かな?一応俺はこの村の自警団の一員だし戦えるジョブだと嬉しいよ」
「お~イロアスらしいや!」
そんな話をしながら歩いているともう目的地が目の前だ。
「じゃ、あたしはあっちだから!またね!」
「あぁまた後でな」
そういってセルビアは走っていってしまった。
ふと、俺はこんな日常が続いてくれると嬉しいな、と思ってしまった。
◯◯◯
そういえば祝福の儀についてまともな説明をしていなかったな。祝福の儀は一人一人が神官様の前に出て、誓いの言葉を宣誓する。そうすると祝福が、つまりはジョブが貰える。簡単だろう?
「次、イロアス。前に出なさい」
「はい」
どうやら順番が来たようだ。確か宣誓の言葉は…
「我が名はイロアス。我らが母へ、我らが父へ、宣誓の言霊を伝えん。」
え、えーと…この後なんだったっけ…?願いたい事を言えばいいんだったっけ?
「どうか、我が友を、家族を、大切な存在を、魔の手から護る術を与えたまえ。我はその術をもって如何なる脅威もはね除けよう。」
こ、これでいいんだよな?やばい、簡単とか言ったの取り消したい。
「我らが子、イロアス。ソナタの誓い、しかと聞き届けたり。」
お?おぉ?これが神の声って呼ばれてるやつか。ってことは祝福の儀は成功?よっし!
「イロアス君、良い宣誓だったよ。これからも頑張ってね」
「はい、神官様。ありがとうございます」
さて、と…セルビアはまだみたいだし教会の外でステータスを確認しながら待つとしますかね。
はい、皆さまここまで読んでくださりありがとうございます。
はい…またです。(汗
ちょっとぐだぐた延びてます。祝福後のステータスを見てその後…?!みたいなところまで行きたかったんですがね…。
いや書けよ。まだ3000文字届いてないだろ?なんて言わないでいただけると嬉しいです。