面接
「募集して集まり次第パーティー結成」という予定だった。
なんでこんな大オーディションが行われているのだろう?
パーティー結成の手順をケイトさんに聞かなければよかった。
「まずは面接して、その人となりを見る」これを実行しようとしたのがいけなかった。まずは書類選考だろう?書類選考の後、面接だったらかなり楽だったのに。
その事でケイトさんに文句を言ったら
「気付きませんでした!罰として顔を踏んでください!」との事だった。
つーか、女神も含めて、みんな顔を踏まれたすぎだろ。まるで顔を踏むのがご褒美じゃねーか。
愚痴を言っても始まらない。とにかく面接しよう!
「はい、次の方~。こんにちは、何とお呼びすれば良いですか?」俺はまるで面接官だ、いや面接官なのか。
「よろしくお願いいたします!私の事は『メスブタ』とお呼びください!」
・・・これで何人目の『メスブタ』だよ!たまに『メスブタ』じゃない人が来たと思ったら「『便所女』と呼んで下さい!」だし。
「面接が出来ないから名前を教えて下さい」って言うと「すいません、気付きませんでした!罰として顔を踏んでください!」だし。台本あるだろ、台本書いたヤツ連れてこい!小一時間説教してやる!
かなりテキトーにやったつもりなのに、面接は夜中までかかった。
もう良いや、面倒くさい。面接は全員合格!
最終選考は次の日、選考内容は『尻相撲』。負けたら終わりのシングルイルミネーションのトーナメント。
これだけテキトーな選考なら来る人激減してるだろ・・・って、何で来る人激増してるんだよ!明らかに一時選考に来てない人も含まれてるだろ!
名前聞いてないのが仇になった・・・だって教えてくれないんだもん!「メスブタと呼んで下さい!あなた様に名前を覚えていただくなんておそれ多い!」とか言って。
「来場者は約5万人です」ケイトが言う。
うん、武道館が満員になるね。
そして大尻相撲大会が開始された。
ルールを決めたつもりもないのに、ルールが勝手に決まっていた。勝手に自治されてルールが決まっている・・・女だらけって平和なんじゃないの?勇者いらないんじゃないの?
4位まではパーティーメンバーになれるらしい。
「4位以内は顔を踏んでもらえて、準優勝者は勇者のイスになれる、優勝者は勇者に顔にツバを吐きかけてもらえる・・・か。誰だ!この賞品考えたのは!?聞いてねえぞ!」俺は怒鳴った。
「私です。言ってませんもん。言ったら反対しましたよね?失礼ですが勇者様は無一文のご様子。大の大人を二日も拘束して、これだけ大きな大会を開催しても賞品を準備されていない様でした。暴動になる前にアレク様が与える事が可能なご褒美、もとい賞品をこちらで考えさせていただきました。勝手に行動した罰はお受けします。どうぞ顔を踏んでください。」ケイトが地面に額をこすりつけながら言った。
ケイトさんの言う通りだ。俺は本当に何も考えていなかった。ケイトさんは俺の事を考えて行動してくれたのだ。
「ケイトさん頭を上げて下さい。そして俺のために行動していただきありがとうございます!お礼をしたくても確かに俺は無一文ですが・・・」俺はケイトさんに頭を下げた。
「お礼は顔を踏んでください!」ケイトさんは目を輝かせて言った。
前言撤回、顔を踏まれたいだけじゃねーか。