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ギルドにて

デールの街に入ろうとした時に思った。

「よく考えたら俺、身分証明書持ってないや」

装備は布の服だ。そのままの格好なら原チャリの免許が身分証明書になるんだけど、その財布も持ってない。

門番はフルプレートの騎士であった。

「威圧感あるな」と思いながら眺めていた。

だって言葉が通じるかどうかだってわかんないんだよ?

「身分証明書なくしちゃいました!」なんて話しかけて良いかどうか、しばらく眺めて様子見した方が良いでしょ?

気分は不法入国の外国人・・・気分だけじゃなく実際そうなのかな?

しばらく門の前でウロついていると、不審人物に見えたのか門番に声をかけられた。

「そこのお前!ずっとそこで何をしている!」ん?この声は女の子かな?というか良かった、日本語が通じそうだ。


「勇者になるためにこの街に来たんだけど、身分証明書持ってないんですよ。やっぱり入れないですか?」切り抜けるために嘘をつかなきゃいけない場面もあるかもしれないけど最初から嘘をつく必要はないよね。俺は正直に門番に聞いた。

「もしかしてあなたは男、しかも勇者様希望者ですか!?どうぞお通りください!あなたであればフリーパスでございます!『お前』などと言ってしまい、申し訳ありません!私を口汚く罵ってもかまいません!むしろ顔を踏んでください!」門番の少女は地面に額をすりつけ頭を下げた。やっぱりあの女神を信仰してる人達もロクでもないじゃん!

「頭を上げて下さい!あなたは職務に忠実だっただけじゃないですか!あなたを俺は許します!最初から怒ってないけど、許しますったら許します!」俺は慌てて言った。

「本当ですか?ところであなた様は『勇者になるためにこの街へ来た』と言ってましたが、もしよろしかったら冒険者ギルドへ案内させてもらえませんか?『勇者になる』という事は冒険者の中からパーティーメンバーを募集するという事ですよね?」門番は道案内を買って出た。

こうして門番の案内で冒険者ギルドへ行く事になった。

街を歩き中心部にあるギルドを目指す。そこら中に女神の銅像がある、やはり信仰の対象なのだろう。

銅像の方を見ていると「街を守ってくださるエオス様です。自由と博愛と緊縛の女神様です」と門番は説明した。

へー、あのマゾ女神、エオスって名前だったんだ。まあ自由と博愛はわかる。でも『緊縛の女神』って何だよ!?なんでこの銅像の女神は縄で縛られてるんだよ!?何で縛られてちょっとうれしそうな顔してるんだよ!?

街を歩いていると若い女ばかりだ、しかも皆美しい。いや、綺麗な女は好きなんだよ?でもかなり不自然じゃないか?

そんな事を考えながら歩いていると、冒険者ギルドへ到着した。

ギルドの前ではギルドのマスターであろう女性が出迎えこう言った。

「私はギルドのマスターをやらせてもらっているケイトと申します。あなた様の黒髪、黒い目から察するに東の島国出身とお見受けします。なぜこの街、というか大陸には若い女しかいないのか説明が必要ですか?」

「出来れば説明していただきたい。あ、俺の名前は・・・あれ?俺、名前なんていうんだっけ?」

何故だか転生前の名前が思い出せなかった。

「長い名前ですね。略して『勇者アレク様』とお呼びさせていただきます。ではお話させていただきます、多少長い話になりますが。」ケイトは話し始めた。

「エルフとの混血化が進み、エルフは女しか生まれないし歳を取らないからこうなったんです」

「話短いな!一晩かかるかと思ったら5秒かからなかったよ!」俺は思わずツッコミを入れた。

道理で美人ばっかりだと思ったよ。ブスなエルフって見た事ないもんな。

「勇者様はパーティーメンバーをお探しのようですが、生憎こんな夜中では人は集まりません。日を改めて、明日の朝、もう一度パーティーメンバーを募集されてはいかがでしょうか?今夜は遅いのでギルドへお泊り下さい。いえ、お代はいただきません」ケイトは提案した。

正直助かる。一銭も金なんて持ってないし。ケイトの提案を聞き、その晩はギルドに泊めてもらった。

「ベッドをお使い下さい。私は床でも外でも大丈夫です」というケイトを説得し、ソファで寝るのは大変だったが。


朝起きて外を見ると、そこには地平線を埋め尽くすパーティーメンバー希望者の群れが待っていたのだった。


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