お腹すいたの?
「…え?」
顧問はそのまま勢いよく首を捻ると、高橋の左頬の皮は剥ぎ取られ、肉や歯が剥き出しになる。
高橋の頬肉を口から垂らしながら、無言でこちらを向く顧問。
その表情に、誰しもが言葉を失った。
灰色に濁った白目を剥き、血に塗れた感情のない顔で、ただ、高橋の肉をムシャムシャ、グチャグチャとだらしなく咀嚼している。
顧問の顔には、生気が一切存在しなかった。
頬を剥ぎ取られた高橋は、健二から1メートル程離れた所で、ピクピクと痙攣しながら転がっている。
顔面からは、夥しい量の血が溢れ、昇降口の床に赤い水溜まりを作っていた。
「き…きゃあぁぁぁ!!イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
誰かが悲鳴を上げる。
その声と同時に数名が逃げ出したのが見えたが、大半の部員は、脚が竦んで動けずにいた。
ゴクリ、と高橋の肉を飲み込んだ顧問は、今度は悲鳴の方に向き直ると、一歩、また一歩とゆっくり歩き出す。
「ひっ!くっ…来るな…!」
顧問の近くにいた男子部員が小さく悲鳴を上げる。
グルッ!
と、勢いよくそちらに顔を向けると同時に、顧問はその部員の腕に掴み掛かった。
「や…やめてくれ!離せ!やだ…っ」
そして、肩に噛み付く。
「痛い痛いイタイッ!助けて!あ"ぁぁぁああぁぁぁ!!」
ゴリッ、グチャ、グチュ
イヤな音を立てて、顧問は男子部員の肉を、骨を、貪り食う。
グチュ、バキバキッ、ジュルッ
左腕が落ちる。
最初は抵抗していた部員も、次第に弱まり、そして動かなくなった。
「オイオイオイ、何だよこれ」
その光景を呆然と眺めていた健二はふと我に帰り、
「とにかく…逃げるぞ!」
と、雪緒の腕を掴み走り出す。
「あ…職員室!先生に知らせなきゃ!」
「あぁ、そーだな!」
雪緒の提案に賛成し、二人は1階の西側にある職員室に向かって走る。




