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化け物  作者: 椰子日たゆ
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ぼくとしおりちゃん

ぼくは「ちーちゃん」これはしおりちゃんからもらった大切な名前。

しおりちゃんとはお月さまが出たときに会うことができるんだ、だからぼくはお月さまがでるまで小さな箱の中でまってるんだ。

早くお月さまでてこないかな


「ちーちゃん、ご飯だよ〜」

あ!しおりちゃん、待ってたよ!

しおりちゃんは手にぼくのご飯をもちながら元気にはしってくる。

「いっぱい食べてね」

しおりちゃんはご飯をくれる、ぼくはそれを飲んでしおりちゃんとお話する

「ごめんね…うちで飼えたらいいんだけどママとパパがダメって」

今日もしおりちゃんと会えてぼくうれしい!

「そう!ちーちゃん、今日ね私テストで100点取ったんだ!」

そう言って笑うちーちゃんの顔を見てぼくもうれしくなる。

「ニャー」

「ちーちゃん、褒めてくれるの?うれしいな」

しおりちゃんはぼくを抱きしめた、ぼくのまんなかが優しくホワホワ暖かくなっていく。ぼくはこの時が1番うれしいんだ。

その後もぼくたちはいっぱいお話した。


「ちーちゃんのおかげで元気もらえたよ、明日も来るからね」

しおりちゃんはそう言って帰ってしまう。

ぼくはさびしかったから早くまた会えるようにお月さまにお願いした。

そしてまたお月さまがのぼったときもまたその次のお月さまがのぼったときもぼくたちはお話したんだ。

ぼくたちは笑いながらいいあった、

「ちーちゃん大好き!」

しおりちゃん大好き!



それは雨がふっていてとてもさむい日だった。お月さまは見えないけどしおりちゃんは来るのかな?

そう思っているとしおりちゃんがやってきた、でもなんかおかしい。

しおりちゃんは傘ももたずに下を向いて歩いていた、体が雨でびしょびしょに濡れていて元気がない。

「ちーちゃん……」

しおりちゃん!大丈夫?

「……どうしよう、私…」

しおりちゃんはボロボロ泣き出してしまった

どうしたの、しおりちゃん?

どこか痛いの?

いじめられたの?

「ママとパパが……っ、バラバラになっちゃう…」

泣かないでしおりちゃん…ぼくが守ってあげる、いつもぼくをたすけてくれたから次はぼくがしおりちゃんを守るよ。

「ちーちゃん……」

しおりちゃんは力強くぼくを抱きしめた泣くことをやめずにその冷たい腕がぼくの真ん中を冷やしていく。

ぼくがいるよ!守ってあげる、しおりちゃんよりおおきくなってしおりちゃんがいつもみたいに笑えるように!

「……っ」

しおりちゃんはぼくを離すと帰り道を走って帰ってしまった。

次の日からしおりちゃんはきてくれなかった……


ぼくは、お月さまにお願いした。

もう一度しおりちゃんと会いたい!あの子を守りたい!あの笑顔をみたいんだ!

その願いが届いたのかぼくはお月さまの声をきいたんだ

「君は化ける力を欲するのか」

なんでもいい!しおりちゃんといっしょにしたいんだ!

「そうか、ならば君にしよう。

その願いこの『人間』の化け物が叶えよう」

お月さまの声は消え、ぼくの真ん中に小さな虫が入ったような気がするようになった。

でも、僕は今の状況に驚いていた。

景色が高い、僕は大きくなったみたいだ。

そうか、お月さまの力で僕を人間にしてくれたんだ!これでしおりちゃんに僕の方から会いに行ける、あの子を守ることも抱きしめることも出来る!

お月さまに感謝の言葉を送るため僕は大きく1回鳴いた。

ありがとうお月さま!

僕は塀に登りしおりちゃんを探しに行く僕に全てを与えてくれたあの子を守るため。そしてあの子の笑顔をもう一度見るために。

5月13日:すいません次話投稿遅れます

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