真実の探偵3
俺と先生がソラさんの言う住宅街に着いた時、既に月はのぼっていて俺らを静かに照らしていた。
「先生、どこにいるか検討つきますか?」
「いや、全くつかん、あいつにもっと聞いとくべきだったな」
住宅街といっても同じような道ばかりで探すどころか自分達が迷ってしまいそうだ。
「『猫』の化け物ってどんな力持ってるんでしょうか」
「さぁな、猫に化ける程度だったらいいが、戦闘になったら不味いな」
化け物によっては戦う事に向いているモノもいるらしいが、先生の『真実』の化け物の力は全く戦闘向きで無い。
「まぁ、戦闘になったら小泉君、君が盾となるのだぞ」
「はぁ!?なんでですか!」
「俺はこの国に必要な能力を持っている!こんな所で死ぬわけに行かないだろう」
「誰も先生のこと認知してませんよ!戦って死んだ方が認識されるのでは?」
「なんだと・・・」
「キャアアアアアアア」
先生が言い返そうとした時、近くで女性の悲鳴が聞こえた。
「急ぐぞ!」
はい!と言って俺と先生は声の方向に駆けていった。
ブニャァァ……
低いうなり声の様な猫男の鳴き声を聞きながら角を曲がると俺と先生は『猫』の化け物の姿を見ることが出来た。
先程悲鳴をあげた女性は逃げたのか姿はなかった。
「…っ」
「うわぁ…」
そして、俺と先生は『猫』の化け物の姿に思わず声を漏らす。
その姿は灰色の毛が全身に生えていて、ソラさんから聞いていた情報通り人の姿をしているのだが、まさに逆三角形と言っていい程の筋肉質な体型だった。
…正直キモチワルイ
猫男は俺らのことに気づいたのか塀を登り屋根伝いに逃げていく。
「先生!追いかけましょう!」
「……」
俺は追いかけようと走り出すが、直ぐに先生が足を止めていることがわかった
「何してるんですか!」
先生は下を向きながら立ち止まっていた。
そして、振り返り来た道を戻っていく。
月明かりに照らされて一瞬見えた先生の顔は真剣そのものだった。
「……帰るぞ」
「はぁ?!先生、直ぐに追えば捕まえれますよ!」
「いいから帰るぞ」
「何言って……」
俺が言ってる間にも先生は歩いて帰っていく。
「んだよ、もう…」
俺は追いかけるのを諦め先生と共に事務所に戻っていくことにした。
事務所に戻るとソラさんがソファで寝ていた。
鍵も閉めず出た俺らの為に留守番してくれたようだ。
先生は未だに何も言わず真剣な顔つきで向かいのソファに座る。
「先生、説明してくれますか?」
俺はため息をつきながら先生の不可解な行動について尋ねた。
「……あぁ」
そうして先生は静かにしゃべり始める。
「俺らはそもそも間違っていた、あいつは『猫』の化け物が宿った人間じゃない、その逆…『人間』の化け物が宿った猫だったんだよ」
「……え、」
「俺は能力を使った時、あの猫の『真実』が頭を埋め尽くしたよ。
何故あそこにいるのか…何故あのような人間の姿をしていたのか…何故夜の時間に現れるのか……それら全てがわかったよ」
「ちょっと待って下さい…化け物は人間以外にも宿るんですか?それに『人間』の化け物ってそんな…無茶苦茶じゃないですか!」
「さぁな、化け物については俺もよく知らないんだ。
でも、あの猫についてはよくわかった……」
先生は、ふぅ…っと息を整え俺の方を真っ直ぐ見て語り出す。
「これは化け物になった猫とそのきっかけを作った少女の『真実』だ」
それは悲しく、愛おしい『真実』だった……