真実の探偵2
俺と先生は探偵事務所の帰路につきながら話していた
「おい、小泉君何故止めた、彼女は間違いなく殺人事件の犯人だぞ」
「そうだとしてもあれは間違いなく不審者です。それに先生証拠も何もないでしょ」
「証拠はない、だが俺には見えた彼女が犯人だとな」
「能力使っても証拠にはならないといつになったらわかるんですか」
先生は『化け物』の力を持っている。
『化け物』は世間一般的には知られてない存在で詳しいこともよくわかっていない。
先生は『真実』の化け物で、見えたものの真実を知ることが出来る…らしい。
勿論疑っている訳ではない、残念ながら俺が先生の手伝い(先生いわく弟子)をしてるのはこの能力を使って脅されいるからだ。
話を戻そう、先生はこの力を使い今朝のニュースの犯人が先程訪ねた女性であることがわかった。だが、こちらには証拠がない、にも関わらずいきなり犯人はお前だ!なんて言っても不審者以外の何者でもない。
「俺が犯人と言ってるんだ、間違いない!」
「誰も信じませんよ、先生のいうことなんか」
「何?弟子のくせに生意気なことを…」
「弟子になった覚えはありませーん」
そんな言い合いをしてるうちに事務所が見えてきた。
多くの人が住む街から外れた、人通りが全くないと言っていいほどの裏路地にあるビルの二階に先生は事務所を構えている。
ビルといっても酷くさびれていて4階建てにも関わらず使っているのは先生だけだ。
『真実探偵事務所』
路地に面した窓には大きくそう書かれてあるが、こんな場所では誰も訪ねるはずもなかった。
俺達が事務所に入ると一人の男が来客用ソファに座っていた。
「…邪魔してる」
「うぉっ、誰かと思ったら『ソラ』かびっくりさせるな」
先生がソラと呼ぶこの男性は年中黒いコートを身に纏う先生の知り合いであり、この人もまた『化け物』である。
「ソラ、事務所の鍵はかかっていた筈だがどうやって入った?」
「……」
ソラさんは無言で事務所の路地に面していない方の窓を指さす
そこには事務所を出るまであったはずのガラスが綺麗に無くなっている。
「能力使って勝手に入るな!俺らがいないなら入口で待ってろ」
先生はソラさんの対面に座り、ゴロンとソファに寝転がった。
「…悪い」
「ま、まぁ折角来てくださったならお茶でもどうです?」
「小泉君、俺はコーヒーで頼む」
「ソラさんはどうします?」
「…コーヒーを頼む」
俺は3人分のインスタントコーヒーを作りながら、ソラさんが入ってきた窓を見た、先程と変わらず綺麗にガラスだけが無い。先生が言った通りソラさんの能力によるものだろう。
ソラさんは『虚』の化け物、自分が認識したものを消すことが出来る能力だ。
この能力を使い窓ガラスだけを消して入り込んだのだろう。
「お前が用事が無くここに来ることはいつものことだが、ここは暇潰しの施設じゃないんだ人の職場に勝手に来てもらっては困るよ」
先生はため息をつきながら文句を言った
「……いつも客いない」
「うぐっ」
悪気が無いように言うソラさんだったが先生にはその言葉が刺さったようで変な呻き声をあげる。
そんな会話に俺は笑ってしまいながらいれたばかりのコーヒーをソファにいる2人に届ける。
「それに……今日は話がある」
「珍しいですね、ソラさんから話があるなんて」
「ほぅ遂に君も俺に依頼があるということだね、しょうがないなぁ知り合いってことで依頼料は安くしとくよ」
「依頼じゃない」
鼻を高くしている先生の鼻をおるようにソラさんは即座に否定した。
「なんだよじゃあ…」
「……噂」
「はっ!噂なんてどうせ住民の娯楽でしか無い興味ないね」
「ただの噂じゃない……『化け物』の噂」
「なんだと?」
「え?化け物ですか?」
ソラさんは無言で頷く
先生は化け物と聞き態度を改めた。
俺と先生はソラさんの話に耳を傾ける。
ソラさんが言うにはここから少し離れた住宅街で人の形をしているが毛むくじゃらで頭が猫の化け物が出たそうだ、狼男ならぬ猫男というわけだ。
「……『猫』の化け物か」
「そうみたいですね、被害者はいるんですか?」
ソラさんは無言で首を振る
「そうか、出る時間帯はわかるか?」
「…夜だ」
窓を見ると向かいの建物と建物の隙間から夕日が見える
「小泉君…行くぞ」
「はい」
俺と先生は立ち上がり事務所を出た。
次から2~3日に1話更新します。