非凡で平凡な冒険者さんの恋4
繊細で清らかな歌声で、恋歌を歌う葵の姿を見て思わず見惚れた。
「あらら〜、今はお嫁さん一筋なのね〜」
と、そう言って舞台に上がる葵の怒りを誘うように俺の身体に触れてくる。
……葵一筋? そんなの当たり前だ、俺はそんなに周りから誰でも好きになるような男だと思われていたのか? とそう考えていると、我慢出来なくなったのか舞台から降りてきて、俺の腕を掴んでくる葵は愛しくてしょうがない。
嫉妬する葵の額に触れるだけの口づけを落とし、ただ一人だけを見つめれば当本人は頬を赤く染める。
恋した相手以外は胸は高まらない、俺は葵さえいれば良いのだ。
と、そう考えながら絡んでくる彼女を離し、嫉妬する葵を抱きしめる。
「……本当、振らなきゃ良かったわ」
何を今更……とそう思うようなことを彼女が言えば、葵は拗ねたような表情をしてこう言った。
「今更後悔しても遅いの、柊さんは僕の旦那様なんだから……!」
独占力を感じる言葉ながらも、何とも可愛らしく感じさせるその言葉を聞いて俺は思わず微笑んだ。
これでこの話はひとまず終わりです。
次話は一組目の恋人になってからの話を書きたいと思います。
よろしくお願いします。