騎士を目指す君に恋をする3
信頼していた幼馴染みに向けられた剣。
今まではその剣で守られていたと言うのに、その剣で傷つけられた。
その痛みは腹部より、心の方が痛かった。
◇◆◇◆◇◆
「……会計様」
そう言われた瞬間、僕は目が覚めた。
僕は視界には見慣れた天井と、心配そうに見つめてくる青川くんの顔が映り、自分は生きているのかを確かめるために、彼の頬を撫でてみればその手を包み込むように握られた。
鈍い痛みを腹部から感じながらも青川くんの手を離すことが出来なかった。
――ごめんね、輝昭。
確かに手遅れだったみたいだ、出会って数日しか経ってないのに、青川くんにここまで心配されることが幸せで、今まで側に居てくれたんだと思うと心がぽかぽかと温もりを感じる。
輝昭、確かに君が僕も好きだったよ。
君が素直にそう告白してくれていたら、僕は君に恋を抱いていたことに気づいていたのかもしれない。
ごめんね、輝昭。
それ以上に……、青川くんのことが好きなんだ。無防備でいることを叱ってくれて、戦う姿では全く想像できないくらいに褒められたら照れてしまう、そんな彼のことが好き。
襲われていたところを助けられたあの日、僕は気づかなかっただけで青川くんに一目惚れをしてた。
「青川くん……。どうしよう、さっき恋の恐ろしさを知ったばかりだと言うのにそれ以上に…………」
そう話しかければ、慈愛のこもったような微笑みを浮かべながら、青川くんは僕が話そうとしていることを聞こうとしてくれていることが嬉しくて、思わず口元をだらしなく緩ませた後、こう言ったんだ。
「……君が好きでいられることが幸せで、幸せで堪らないんだ……」
片想いでも幸せだとそう言う意味で伝えたつもりなのに、青川くんは僕の身体を優しく抱きしめた。
そして……、
「俺も好きです。貴方よりもずっと前から、貴方が好きでした」
そう言われたことで、僕は少しだけ心の傷が癒えたような気がした。
とりあえず楽都と白雪の話は終わりです。二人の恋人になってからの話は、二組目の冒険者×美少年のお話を書き終わってから書きたいと思っています。よろしくお願いします。