平凡な教師に恋をして1
前話の短編と繋がっているため、今回はプロローグから始まりませんので、よろしくお願いします。
どうも、青川楽都です。何故か、今回の話は俺が主人公ではないのに視点なのは驚いたことだろう。
関係的に少しだけ複雑でね、こちらとしては早く白雪さんの元へ行きたいんだけど、大切な兄貴と友人のためである。平凡顔な俺が人肌脱ごうではないかと言う感じなのだ。
さて、最初に紹介するのは紅坂 紅葉。見た目は美少女、ただし女扱いした者は容赦なく倒してしまうくらいの体術の実力者。
そんな紅葉が好きなのが俺の兄貴、青川 隼人である。
まあ、唯一紅葉が女扱いしても強気な態度だけで済まされるのが兄貴だ。
ああ、俺? 最初から男子だってわかってから男扱いしてたら、自然と仲良くなってただけだし。
体術の実力者だからかな、どう見ても女子の体格には見えないしさ。
そんな仲良しな俺でも、兄貴に惚れた理由は教えてもらってないんだけど、大切な二人のためだし、そこのところは多目に見てあげようとは思ってる訳で。
そんな考えごとをしているうちに、タイミング良く二人同時に現れた。
「俺を女扱いすんなって言ってんだろ!?」
「ごめんね、紅葉くん。別に女の子扱いをしてる訳じゃないんだよ? 勘違いさせたならごめんね、僕が勘違いさせるような行動をとったから―……」
と、端から見れば喧嘩をする仲良しなカップルにしか二人は見えない。
そんな二人を遠目から眺めつつ、兄貴は紅葉みたいに“目立つ”タイプと何も感情を抱いてないければ、そんなに側にいることはないんだけどなー……と思いつつも、紅葉は信じないから言わないけどなとそう考えて二人に近づいて行き、俺は一方的に話しかけた後、紅葉達の返事など聞かずに去ろうと考えていた。
「“隼人”先生、今日も白雪さんの側に居なくちゃいけないから、紅葉のこと頼んだよ。あのさ、ごめんねって何でも謝る癖直しなよ、紅葉だって“隼人”先生のこと嫌いで反発してる訳じゃないんだよ? もっと自信を持って側に居てあげないと紅葉だって不安だろ、そうだろ紅葉?」
まあ、正しく言えば“不安”じゃなくて、不満だけどなと考えながら割かし俺の答えには素直に答える紅葉は、いきなりの行動に動揺しているのか兄貴の前だと言うのに素直に頷いてくれる。
その紅葉の仕草を見て、満足した俺はそれ以上何も言わずに立ち去った。
さて、はっきり言って弟の俺から見てもヘタレな兄貴が紅葉を守れるのか否か、それははっきり言いきることが出来る、それは“イエス”だ。
ああ見えて兄貴、ただ者ではないのだよ。俺の自慢の兄貴だからね!
紅葉が惚れるのも納得だ……と考えながら、照れながら渡された白雪さんの部屋の合鍵で鍵を開け、同性とは思えない綺麗な微笑みで出迎えられる。
「今日は遅かったね」
「ごめんな、白雪さん。紅葉達とばったり会っちゃって、兄貴に代役頼むって挨拶してから来たから、少しだけ遅くなってしまったんだ。それより白雪さん、何か変わったことはなかった?」
明らかに紅葉の名前を聞くと、嫉妬したような目をする白雪さん。
……兄貴は可愛い系が好きだけど、俺は美人系の方が好みだし、一度友人って認識になったら恋愛対象外なんだけどって言っても嫉妬しちゃうんだろうな。
と、そう考えながらあまりに白雪さんが可愛くて、額に触れるだけのキスをすれば頬を真っ赤に染めていた。それに止めを差すようにこう言うんだ。
「俺が好きなのは白雪さんだけだよ」
言わないと気持ちは伝わらないってことわかってるかな、……二人とも。
◇◆◇◆◇◆
「ごっ、ごめんね! 弟がいきなりあんなこと言うから吃驚したでしょ!」
「……別に……。
……でも、俺と一線引くために謝ってる訳じゃないってわかったから少しだけ、嬉しかったかも」
珍しく照れ隠しから反発する態度を見せないように抑えて、素直にそう言えば青川先生は目を見開いて、体を硬直させて動かなくなってしまった。
……やっぱり、可愛くない態度を見せてたから嫌われてるよな。嫌いな奴に言われても嬉しくないか。
こうやって、楽都の代わりに側に居てくれるのだって可愛い弟の頼みだからだろうしー……、照れ隠しせずに頑張って素直になれば良かったのかなぁ。
そう考えつつも、
「……俺早く寮に戻りたい、考えごとするなら俺を送ってからにして」
と、そう可愛くないことばかり言ってしまう。……好きなのになぁ、どうして素直になれないんだろうか?




