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あっという間に夏休みも終わり、二学期が始まった。実はちょっと楽しみでもある。

授業は微妙にだるいけれど、修といられる時間は格段に増えるし、

行事もたくさんある。

その楽しみの一つに、二組の早瀬君が同じクラスになる、という事もあった。

おもしろい人間が好きな僕は、

一学期中、少しずつ学年のおもしろそうなやつの情報を集めていた。

その一人が「二組の早瀬君」。

とてもえろい、という秘かな評判で、

どんな欲求不満のオタクっぽいやつかと思っていたんだけれど、

実際会うと、大人しそうでクールな優等生タイプ。

何がどう「えろい」んだろう。興味が湧いて、一、二組合同補習の時に声をかけた。

これが、ビンゴ。

早瀬君は自分の事はあまり話さないし、自分から誰かに近付こうともしない。

かといって人と接するのを拒否しているわけでもない。

会話の中から少しずつ集めた情報によると、こうだ。


両親はあんまり仲良くない。

父親はどっかの大きい会社の偉い人で、小遣いには不自由していない。

とあるお嬢様学校の二年生が本命の彼女。

だけど、その子と会うのは月に一、二回程度で、普段はメールのやり取りだけ。

キスまではした。

それとは別に、すでに働いている「大人のお友達」がいる。

そのお友達と遊んだり泊まったりして、家には朝ごはんを食べるか、

学校の用意を取りに帰るだけという日が、わりと頻繁にある。

学校の友人にはほとんど興味がなく、

顔色を窺ったり無理して合わせたりする気がない。


そういう関係の「大人のお友達」がいても、別に自慢するのでもなく、

特別という感じでもなく、夜遊びしまくっていても学校の成績は上位、

といったスタイルがスマートに感じた。

誰ともぶつからず、邪険にもされず、目立ちもしない。

けれど、敏感なやつからすれば、どこか性的な匂いでも感じるんだろう、

「えろいやつ」という印象はそこから来ているのかもしれない。

早瀬君は、価値観や視点が、自分に似ている気がした。

学校の中で一番話しやすいのは、やっぱり湊だ。

真剣な話でもちゃんと聞いてくれて、僕とは違う視点の答えを与えてくれ、

他のやつにもらす事はないと信頼できる。

けれど、高校生らしいというか、ばかっぽいくだらないえろ話ができるやつは貴重だ。

湊はどうも、どこか保護者のようなところがあるし、

超・純粋培養の修にも、そういう話はし辛い。

そんな気安い「仲良し」が同じクラスになった。

お昼に誘って、何度かは修や湊と一緒にお弁当を食べたりもしたけれど、

気分が乗らないとさらっと断られたり、教室からいなくなっていたりする。

掴みどころのない不思議な空気も気に入った。

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