8、慈愛の祈り
旅を続ける三人――エリシア、カイル、セラ。
春の香りが混じる草原を歩いていたが、遠くの村から悲鳴が響いた。
「助けを……!」
声の方向に走ると、村は魔獣に襲われ、家々が炎に包まれていた。
子どもや老人が逃げ惑う。カイルは剣を抜き、エリシアも右手の紋章を光らせる。
セラは魔導書を広げ、詠唱の準備をした。
その時、光の渦が村の中央に現れた。
白いローブに金の装飾、手には杖。
柔らかくも力強い声が響く。
「皆、落ち着いて。傷ついた者は私に任せなさい。」
現れたのは僧侶――リアン・セラフィムだった。
祈りの言葉が空気に溶け、魔力の光が傷ついた村人を包む。
魔獣の攻撃も、光の壁に阻まれて止まった。
カイルは目を丸くする。
「おお……マジで救世主ってこういうことか!」
エリシアもじっと見つめた。
胸の奥に、温かさと安心感が広がる。
これが――守られるという感覚なのか。
リアンは静かにエリシアに目を向けた。
「あなた……その紋章、特別な力を持っているわね。
旅の仲間として、私も同行させてもらおう。」
エリシアは小さく頷く。
“人を信じて共に歩む”初めての決意だった。
こうして、四人の冒険者がそろった。
凍てついた心に光を差し込む少女、
陽気で勇敢な剣士、
知識と理性の魔導学者、
慈愛と癒しの僧侶。
その日から、旅はさらに色を増して進んでいく――。




