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第81話 領都へ

「ナンブ、領都を奪還するよ。」

「はい、ユーリさん。是非に協力をお願いしたい!領民のためにも…。」


 サバド男爵は深々と頭を下げた。隣のメラニンさんもサバド男爵に倣った。


「まあ、私達も特別チームに任命されているからね。当然の責務だよ。」


 あれ?ユーリがまともな事を言った。それが面白くて私はニヤニヤしてしまう。


「何だよ、ナルミ…私、変な事言った??」

「いえ、至極まともな事を言ってましたよ。」

「それよりもさ…」


 ユーリは反撃を試みる。


「光線を跳ね返した技といい、キングマリオネットの暴走を止めた魔力コントロールといい…。ナルミは化け物美女だね…」


 マムもサバド男爵もメラニンさんもうんうんと頷いていた。


「おほん、お言葉ですが。」


 私は大きく息を吸った。


「ユーリ、金銀の刀で"空間"を斬ってましたよね!空間を操るなんて何百、いや何千人もの魔法士が何年もかけて準備してやっと行う超大魔法ですよね!古代の文献に記述がありますが、現在では幻の魔法です。何なんですか!あれは?!!」

「だって銀灰の竜だって空間転移して現れたじゃないか!それにワープホールだっていわゆる空間操作魔法だろ?別に私にしかできない訳じゃない…」


 ふう…。あきれた…。ユーリは自分の強さをわかってないな!


「怪物美女…。たった今、ユーリは化け物美女から怪物美女に昇格しました!」

「ナルミ、何だよそれ!だってだって私は見えるから!あれは簡単なんだよ。空間の裂け目というか、弱いところというか…とにかく"斬れるところ"が見えるからそこを斬っているだけで、どこでも斬れる訳じゃない!」


 どうよ!という得意げなユーリの顔の意味がわからない…。


「怪物美女…」

「あーん、ナルミ!そんな事言わないでーー。」




 

「まあ、それはさておき…。」


 おほん、と咳払いしてユーリは話始めた。


「私、ナルミ、マムと陰2人の5人でキングマリオネットに乗って領都に向かいます。きっとミットフィル達よりも一日早く着くので、マム達には領都でスパイをしてもらいます。まあ、その結果から作戦を考えようかな。」


 皆が頷く。


「メラニンと陰3人、それと野郎共Aチームはサバド男爵とアリシアを護衛しながら領都に向かってください。5日間、君達にあげよう。5日後には領都に来てください。」


 うん?野郎共Aチーム?何だ、それ?


「ユーリさん。」


 サバド男爵に懇願された。


「私は領主としての責任があります。足手纏いなのは承知してます!私も一緒に連れていってもらえませんか?」

「うん、わかった。まあ、ナンブはそう言うと思っていた。」


 ユーリはサバド男爵の同行には簡単に承諾した。


「ユーリさん。私も。」

「是非、俺も…」


 ユーリはアリシアさんとメラニンさんには首を振った。


「二人はダメだ。理由はある。先ず、サバド男爵がいてくれたら領民の協力を得やすい。領都を奪還するのに領民の協力があるのは心強い。」


 ユーリはアリシアさんの目を覗き込んだ。


「アリシア、私達はなるべく早く領都に辿り着きたい。敵が状況を把握する前に撹乱工作を行いたいからだ。だからアリシアは足手纏いだ。」


 アリシアさんは目に涙を溜めていたが、頷いた。


「そしてメラニン。君はアリシアを絶対に守ってほしい。今後、ワープホールが運用される事になった場合、サバド男爵家の果たす役割はとても大きい。でも私の見立てだとナンブじゃダメだね、頭が固いもん。」


 サバド男爵は何か言いたげだったが苦笑いしただけだった。


「アリシアはワープホールの運営の鍵を握る人材だと思う。だからメラニンはアリシアについていてあげて。ナンブは私達が守るよ。」


 アリシアさんとメラニンさんは大きく頷いた。


「はい、承知しました。」


 私はアリシアさんの手を握った。


「遮蔽の石はアリシアさんに預けておきます。あ、でもちゃんと返してくださいね。」


 アリシアさんはこくんと頷いた。


「マム!」

「はいにゃ!」

「荷台を隠した所まで行くよ。陰を2人選んで。それとキングマリオネットを運ぶ準備をお願い。」

「あ、それならもう準備できてるにゃ!陰ももう選んだにゃ。」


 うん、いつも思うがマムの決断は早いな。


「それじゃあ、出発するよ。」


 そして…。私達は今、領都に向かって街道を爆走している。あと一日で到着するはずだ。キングマリオネットはもう敵に感知されているだろう。だから領都まで突っ走る。少しでもミットフィルさんの小隊から目を逸らせたいからだ。


「まあ、敵も人手不足だと思うよ。400くらいの軍勢がいなくなっちゃったんだから。」


 ユーリの言う通り、領都までは特に妨害もなく進んだ。心配ごとはサバド男爵が乗り物酔いしたくらいかな?


「もう少しで領都にゃ!」

「それじゃあ、手筈通りに。」


 私はマムからキングマリオネットの魔糸を受け取った。


「ナルミ、壊さにゃいでよ。」

「…マムより上手に使います!」

「それじゃあ、行ってくるにゃ。」


 マムと2人の陰はそう言うとキングマリオネットから降りて領都に向かった。


「それじゃあ、揺動作戦を始めようか!」


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