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第25話 魔法局探検記1

「はあ…」

「ふう…」


 今日は朝からユーリとカガリさんのため息が激しい。逆に私とアカネはちょっとワクワクしていた。


「ナルミもアカネもあそこの異常さを経験してないからだよ…」

「でも色々な魔道具を見られるんですよね。楽しみだよね、アカネ。」


 私の問いかけにアカネはニコニコ顔で頷いた。


「はい、とっても楽しみです!」

「はあ…」

「ふう…」


 この時まで私達は魔法局の恐ろしさを全然わかっていなかった。




 

 石造の荘厳な建物に魔法局はある。約200年ほど前に建てられている。


「初めて来ましたが立派な建物ですねえ。」


 私は威風堂々とした建物の外観に圧倒された。

 魔法局の歴史はとても古くこの国の魔法技術の発展に多いに貢献している。

 ただし、光もあれば闇もある。生活を豊かにする技術もあれば所謂、戦争(人殺し)の道具も研究している。私は戦争のための技術が悪だと言うつもりは毛頭ない。

 それを誰がどう使うのか?が大切であり、私は逆にそれで守れる"もの"もたくさんあると思う。

 私が使っている魔法局の試作品クロスガンも人殺しの道具だが、人の命を守る事のできる"魔道具"でもあると私は思っている。


「はあ。ナルミ、アカネ。この部屋だよ。」


 ユーリは魔法局をズンズンと進み、奥の奥、魔法局の深部にある一室を指し示した。その部屋は頑丈そうな扉が嵌め込まれており、入るのを躊躇したくなるような雰囲気を醸し出していた。


「ここですか…」


 私は思わずアカネと顔を見合わせてしまった。


「そうだよ。じゃあ、入るね。」


 ユーリはそう宣言をすると意を決して扉を開けた。


「おおおお、待っていたぞーーー。さあ、この魔道具からテストじゃあーーー!」

「ちょっとちょっと待ってよ。いきなり『テストじゃあー』はないでしょ…」


 び、びっくりした…。ボサボサの白髪を振り乱した痩せぎすなおじいちゃん。ボンバール・ボン博士。


「そうですよ。博士。失礼ですよ。」


 こちらの良識ある若者は助手のハッサン・ミンツさん。


「そうは言ってもなあ!お前ら全然来ないじゃないか!時間がいくらあっても足りんのじゃーー」


 ユーリとカガリさんはそんな師弟を見て苦笑していた。


「ボンバール博士。こちらが話ていた私の相棒、ナルミ・ジェイド。そしてこの子がカガリの弟子、アカネ・オードリーだよ。」

「ほう、あのクロスガンを使いこなしていると聞いているぞ。ユーリも使えなかった魔道具を使いこなすとは見どころのあるやつじゃ!」

「え?ユーリはクロスガンを使えないの?」

「そうだよ。あんなに精密な魔力のコントロールが必要な武器なんて実戦では使えないよー。」


 ユーリは使えるナルミがおかしいのよ、と言いたげであった。


「まあ、ユーリ様はサーラ様の事を『脳筋』と言いますが、私から見ればどちらも魔力のコントロールは上手じゃありませんね…。

 膨大な魔力でぶっ飛ばすと言いますでしょうか?繊細さなどどこにもありません。

 それに比べてナルミ様の魔力コントロールは素晴らしいです。正直、あのクロスガンをコントロールしているのが今でも信じられません。」


 そうなんだ。そんなに扱いが難しいのか…、クロスガン。


「この子がアカネか。カガリが認める魔法士なんぞ初めての事じゃぞ!」

「あ、ありがとうございます。」


 ボンバール博士は早速、大きなクロスガンを持って来た。


「ちょっと博士、これはダメだよ。さすがのナルミも使えないって!」


 確かに結構多量の魔力を必要とする魔道具のように思える。


「何が難しいのですか?」

「これはちゃんと扱えれば超超高精度射撃を自在な威力でできる魔道具、クロスライフルじゃ!ただし、このクラスライフルを扱う資格のない者が打つと弾は軌道の途中で分散し、周りに多大な被害を与えるのじゃ!」

「『与えるのじゃ』じゃないですよ。先日、これの試射で皆んな、死にかけたじゃないですか!」


 ハッサンさんの指摘にもボンバール博士はめげない。目をカッと見開いてクロスライフルを私に押し付けて来た。


「皆、ワシの崇高な魔道具について来れないだけじゃ!クロスガンと基本的には同じじゃ!クロスガンが使えれば、使えるのじゃー。」


 私は思わずユーリを見てしまった。ユーリも私のことをジッと見ていた。


「うん、ナルミなら使えそうだね。試射してみたら?」

「もーう。ユーリさんまで何言い出すんですか!」


 私はユーリに頷くと、


「試射できるところはありますか?」


 ボンバール博士に聞いていた。


お読みいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします。

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