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第20話 決戦前

「ナルミ様。いえ、ナルミ!ユーリ様から離れなさい。」


 しえー。カガリさんが怒っている。私はカガリさんの迫力に思わずユーリの腕を離し、返事をしてしまった。


「はい!」

「ナルミ様。大変に失礼いたしました。お二人のあまりにも仲の良い感じに嫉妬していまいました。ご容赦くださいませ。」

「いいえ。気にしてませんから…」


 おっかない!カガリさん、怖い。気をつけよう。


「ユーリ様、もうすぐサーラ様の試合が始まります。」

「どうせ、馬鹿力でぶっ飛ばすだけでしょ!私みたいな繊細さがないんだよね、あいつには!あー、これだから脳筋は嫌だよ。」

「ユーリはサーラさんとの付き合いは長いのですか?」

「うん、前に誘拐団の船から逃げ出せたという話をしたよね。もう一人助かった女の子がサーラなんだ。」


 ユーリはちょっと遠い目をしながら答えた。


「そうなんですか…。」


 ユーリとサーラさん。二人の強さの秘密もここら辺にありそうだな…


「サーラさんの強さはどういうんです?」

「あいつ、右手だけ馬鹿力なんだ。」


 そう言うとユーリは自分の右手を指し示した。


「あの大鎌は何の変哲もない大鎌。とてつもなく重くて丈夫という事以外はね。」


 重くて丈夫な大鎌から繰り出される馬鹿力による攻撃!うん、考えただけでも勝てる気がしない…。


「私の刀と一緒。『曲がらず、折れず、欠けず』 あ、私の刀は軽いよ。私はあいつと違って繊細な技を使うからね!」


 私はユーリがミギの盾を両断した時の事を思い出した。あれはすごかったな。


「サーラには間合いなどという概念はない。攻撃範囲がすごく広いから。」


 あー、あの衝撃波での攻撃は凄まじかったな…


「まあ、私以外なら…だけどね。私は見えるから。」


 何が?と聞こうと思ったのだが…。


「ユーリ様、ナルミ様。試合が始まります。」


 カガリさんに言われて私は一旦思考を中断した。




 

 2回戦第2試合。サーラさん達の相手はオーガかと見まごうばかりの大男とその肩の上に乗った小男の組だった。

 あ、あいつら『ボルビック兄弟』だ!何度か騎士団の演習で見かけたことがある。大男兄のパワー溢れる力技とそこに合わせて繰り出される小男弟のコンビネーション技は戦場で非常に恐れられていた。

 これは見応えのある試合になりそうだ!と思ったのだが…

 大男兄の振るう巨大な斧は難なくサーラさんの大鎌に受け止められていた。そして、


「うわーー」


 サーラさんの大鎌の一振りで大男兄は場外まで吹き飛ばされた。その時にはミットフィルさんが小男弟を取り押さえて場外に突き落としていた。な、なんと呆気ない…


「ふ、ふ、ふ。そこのデーモン!決勝では圧倒的な私の力の前にひれ伏せると良いわ!ほーほほほ。」


 ユーリがまたキョロキョロしている。だからデーモンってユーリのことですよ…


「ユーリ、正直言ってサーラさんに勝てる気がしません。どうしましょう…?」

「ミットフィルには?」

「うーん。負けはしません!」

「よし、サーラの相手は私がするからナルミはミットフィルを抑えてよ。」


 ユーリは軽く答えた。


「え?ユーリはサーラさんに勝てるんですか?」

「当たり前だろ。あいつ、返り討ちにしてくれるわ!!」


 ユーリは悪い顔でつぶやいた。


「そ、それじゃあお任せします。」


 決勝は30分後に開始される。

 



 

「あのお…、ユーリ様。誠に申し上げにくいのですが…あまり無茶はされませんようにお願いします…」


 お、カガリさんが神妙な顔をしている。


「大丈夫だよ。無茶なんてしないから!」

「そうは申しましても…。前の時なんて軍船が2隻も沈んでますし…」

「ありゃあ事故だよ、事故!こんなに可憐な乙女がそんな事できるわけないでしょ?」

「100m級の軍船を一隻ずつ仲良く真っ二つにしたではありませんか?」

「へへへへ」


 はーー、とカガリさんは深いため息をついた。


「カガリさん。そんなにすごいんですか?」

「すごいなんてもんじゃあ、ありません。怪獣です!怪獣同士の戦いです。」


 うっ、お父ちゃん、お母ちゃん。もしかしたら私、死ぬかも…

 


お読みいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サーラとの戦いはどうなるのか。楽しみにしています!
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