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第47話 尻尾があるなら 俺も胸派から尻派に転向だ

たき火を囲み話し込むゴトーと、魔族ルシファーのルシー。

横にはシーナが横たわり、夢にうなされている。


「うーん……。これ、グルグル回すでない、リュウノスケが目を回わすでやめるのじゃ! <ビクン!> うーーん」


「あ、鬼っ子さん起きたっス」


上体を起こしキョロキョロとするシーナ。


「お? お?……あれ? どうしたんじゃ?」


「鬼っ子さん、のぼせて溺れるところだったっス」


「……そ、そうか。迷惑かけ、」


全身裸に気付くシーナ。


「うおっ! 裸……つの?」


股間に角が添えられている。


「あー、別に何もしてないっス。女児の裸は娘の育児で見慣れてるっス」

「その幼体では1ミリも動かない」


「つ、つ、角は、なんじゃい」


「隠部を隠すためだ」


「……?」


「コミカライズやアニメになった時、モザイクや光の帯のような不自然な感じよりいいと思ってな」


「……?」


シーナはいそいそと服を着る。


「ほっとくんも言葉もセクシャルハラスメントじゃぞい。角など逆に卑猥じゃわ、まったく!」


ゴトーとルシーは姿絵を見て歓談。

姿絵に感銘を受け頷いているゴトー。


「………」


――しかし、このルシファー、並みの人族より世界の事を知っとるんじゃないんか?王族の書庫にはワッチの知らん古い文献の記述が残っとるのかもしれんが、

人化する聖獣フェンリル? 


魔の神、魔界王。最強と言われとる魔王より強い?


幻といわれる別大陸が魔大陸。名が「ネバーランド」、終わらない世界?


なんじゃこの最強パワーワードは?

これもう巻き込まれる前提のフラグじゃろ……。

ゴトーと関わると、こんなんばかりなんか?


混乱するシーナ。


<カシャ カシャ>

ゴトーはスマホで姿絵を撮影している。


――コヤツはホントにブレんな……。


<カシャ カシャ カシャ カシャ>


――聖獣と悪魔がつがいにのう……。


ルシーがニコニコと無邪気に姿絵を見せてくる。


「鬼っ子さん、この嫁娘のツーショット、どうっスか?」


人型バージョンの母親(耳尻尾有り)と娘(耳尻尾有り)。


「聖獣のフェンリルは自由に姿を変えられるんか?」


「変えられるっスよ」


「人化フェンリル、こんなんお伽噺話ししか聞いたことないわ。

……そうじゃ、人化いうたら、古龍ができるとか知らんか?」


「古龍スか、できるって聞いたことあるっスね」


「そうか…」


――やはりできるんか…。

ゴトーの元に来てつがいになるとか、最強夫婦、マジで最強コンビ誕生じゃろ…。


母親の長い尻尾の姿絵を見てゴトーは、


「この尻尾は、オイルを塗りブラッシングしているな」


「おい、姿絵からは分からんじゃろう」


「そこまで見破るとは!」


「なして分かるんじゃ!?」


「椿油で艶を出してるな」


「当たりっス!」


「じゃからなして絵から分かるんじゃーい!」


「いやー!旦那、ここまで見抜くとはただ者じゃないっス。

自分、1000年以上生きてきて、ここまで嗜好が合う人初めてっス」


「ここに俺の理想郷がある。見事な美しい毛並み、実物を拝みたいものだ」


「今度、うち来る?来る?来ちゃう?」


「いいのか?」


「自慢の嫁と娘、紹介するっス!」


「ぜひ伺わせてもらおう」



ケモ耳、尻尾談義が始まる。


「聖獣の時はモフモフ、人化の時はパフパフっス」


「モフモフに、パフパフ、か・・・」


「パフパフは好きっスか?」

「好きだ」


「モフモフは?」

「ライフワークと言っても過言ではない」


「そうっスよね!そうっスよね!」

「うむ」


――いい大人たちがドン引きなんじゃが……。


「俺は尻派より胸派だ」


「あー!そこだけは、相いれないっスね。尻に尻尾で完成形っス」


「尻に、尻尾・・・」


「そうっス」


「なるほど、これが人類が最期に辿り着く最終形、真理というやつ、か・・・」


――それは、ゴトーだけじゃろがい………。


★★


朝。


「うーん、あー! 悪魔のルシーさんと、Wで…ムニャムニャ……」


シーナが眠い目を擦り起き上がる。


――野宿をすると相変わらず、不快な夢を見続けているような…。


「旦那とは永遠の友情を約束するっス」

「同感だ」


ハグをする2人。


――メッチャ仲ようなっとる!


「では、今度うち来たらまた談義するっス」


「楽しみにしてよう。ルーちゃん」


「あ、鬼っ子さんもぜひ一緒に来るっス」


「お、おう…」


「では! これで失礼っス」


大きな翼を羽ばたかせ上空へと飛翔、ルシーの姿が見えなくなる。


「ルーちゃん?」


「ルーちゃん、ゴーちゃんと呼び合う仲だ」


「………」


果実酒の瓶が何本も地面に転がっている。


「寝ずに語ってたんか?」


「ああ」


「そうかい、で?」


「何だ?」


「情報じゃよ」


「ああ、温泉は前勇者が作った物だ。四天王のルーちゃんとは遺恨は解消。意気投合したらしく、仲よく温泉で裸の付き合いをしていたらしい」


「違うわ。もっと大事なことがあるじゃろが」


「この近くは他にも何ヵ所か温泉があるらしい。泉質は、」


「温泉から離れんかい!」


「ルーちゃんの奥さんのお腹には2人目がいるそうだ。今度は男の子を望んでいる」


「ほう、それはめでたいのう、って、いらん情報じゃ! 魔王、魔王の情報じゃろが!」


「・・・・・?」


「夜通し耳と尻尾の話ししただけか?」


「温泉もな。なかなか趣味嗜好が合う奴だ」


「アヤツはどうみても敵じゃろ、魔王の手下じゃないんか?」


「シーナは敵意のない友好的な者を殺せるか?」


「…しかし、魔王四天王、いずれ敵対勢力になるのじゃぞ」


「歯向かうなら容赦はしない。敵と認定しよう。だがそれは今ではない」


「まあ、良さそうな奴で敵になるとは思えんがのう。

じゃがお主の目的は魔王の情報じゃろ?どこに潜伏しとるかくらい聞かんと行動の意味がなかろうが」


「・・・正論だな」


「まったく…」


――しかし、魔族はあんな奴しかおらんのか? 魔王もなんかポンコツ臭漂うし。魔族に対する恐怖が薄れていくのう。


「別大陸の話や魔界王の話も聞いてないんか?」


「デビルのデビさんと不死鳥のフシミさんの出会いと、その禁じられた物語を長編ストーリーで語ってくれた」


「どんだけ恋バナ好きなんじゃい」


「それと、夜の方はフシミさんが燃えると、デビさんは物理的に燃えて、大火傷を負うと、」


「夜の生活など聞いておらんわ!」


「他の事柄は微塵も興味はない。話題も一切上がらなかった」


――ゴトーは我関せずみたいな、尻尾と温泉と恋バナしか興味を示しておらんのか?

まったく魔王のこと眼中にないんじゃが。


「ルーちゃんと話をして、ひとつ気付かされたことがある」


「おっ、有力な情報か?」


「尻尾があるなら、俺も胸派から尻派に転向だ」


「期待したワッチがバカじゃったわ……」


★★


朝食後。


「どれ、出発せんとな」


「頼みがある」


「なんじゃ?」


「朝風呂を浴びたい」


「…ええけど、早ようせいよ」


30分後。


全裸のゴトーが温泉から戻ってくる。


「………」


――

 (注) 

モザイク処理をお願いするっス

――


堂々と裸のまま人王立ちで煙草に火を点け煙を吐く。


――コヤツはワッチの前でブツを晒さんと死ぬんか?


「聞きたいことがあるんじゃが、ええか?」

「何だ」


「お主と出会って、何度もそのブツをお披露目されておる」

「不可抗力だ」


「いま服を着ん理由も不可抗力なんか?」

「そうだ」


「説明せい」

「猿に衣服を奪われた」


「もう、その手があったんかと感心するぐらいじゃわ…。

ゴトーならサッルを攻撃するぐらい訳ないじゃろうが」


「害のない動物に危害を加えるほど俺は冷酷ではない」


「そうか。で、決意表明のことは覚えておるか?」


「岩盤帯で葉っぱが手に入らなかった」


「それはいい訳にしか聞こえんわ」


「俺は相棒の前では何ひとつ隠すことなどない。それは信頼関係から成り立つ、」


「せめてブツは隠し通せや! もう替えの服はないんか?」


「ない」


シーナは、ゾウさんパンツを取り出す。


「角と天狗の面を出さんかい」


ゴトーは空間収納から角と天狗の面を取り出す。


パンツ。角。天狗の面を地面に置く。


「どれがええ?」


「・・・・・」


――

47 尻尾があるなら 俺も胸派から尻派に転向だ 終わり

48 3人の冒険者

――


――

次回

パンツ 角 天狗の面 

この3つのうち、何を選ぶのか?

――


完結まであと2回

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