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第40話 買い物をしよう

街の商店の雑貨屋。


ゴトーは変装をした黒髪のシーナに、


「何か入り用な物があれば遠慮なく言え。素材を交渉をしてもらった礼だ」


「お、ええんか?」


雑貨屋内には生活必需用品が所狭しと並んでいる。

鍋を手にするゴトー。


「購入だな」


「防具を使った「創生」スキルで作ったモンがあるじゃないんか」


「あの剣や武具は低材質の物。やはり品質、造型は職人が丹精込めて作り上げた一品物が至高」


「ゴトーは意識高い系じゃの」


フライパンを吟味して、買い物籠に入れる。


生活用品の他、娯楽用品や対戦ボードゲームが並んでいる。

チェス。パケット。プルック。バックギャモン。

将棋。軍棋。麻雀。トランプ。手本引き札。3つのサイコロと丼。


ゴトーはサイコロを手に、

「これは賭け用のものか?」


「チンチロリンじゃの。賭博場もあるし、平民の遊びでもある。ん?これはチキュウにもあるやつなんか?」


「ゾロ目や一二三ヒフミ四五六シゴロか?」


「そうじゃ。ワッチが生まれる前からあるはずなのじゃ」


「これはチェスか。ビショップは横下以外一コマ動かせる。ルークは直進。ナイトはひとつ上に進み左右か?」


「ほー、これらはみんなチキュウの物なんか?」


「見かけない物もあるが、ここのコーナーの出自は地球の物が多いようだ」


「なるほど、転移人が広めたわけじゃな。

これはバックギャモンじゃな。宮廷時代遊んだことがあるぞ」


「古代エジプトの遊戯か。ボードや麻雀があるということは、日本だけではなく諸外国からも転移人が選出されているようだな」


「なるほどのう。このトランプはどこでも人気じゃぞ」


壁の棚には野球のバット。ボール。グラブ。

バドミントンのラケット、シャトル。

クリケットのバットとボール。

羽根付きの板、羽根。

マトリョーシカ。

ダルマ落とし。

けん玉。

独楽。

壁に飾られているたこ


「これは風を利用して空に上げるタッコじゃな。これはなんじゃ?」


独楽コマだな。子供の遊び道具だ」


独楽を回す。


「ほえー、おもろいのう。今まで帝国だけで流通しておった物がモモタローの娯楽本のように、この国に続々とこんなんが流れてきておるのじゃろうな」


団扇うちわ


「これは団扇じゃが、これは知らんのう」


厚手の紙の張りハリセン


「扇形、ハリセンだな」


「はりせん? 何に使うのじゃ?」


「人の頭を叩くと気分がよく、いい音がする」


「なして叩かないかんのじゃ、意味分からんわ」


「コントで用いる小道具だ。 昭和期のお笑いグループ、○ャンバラトリオが有名だ。

そのような文化はないのか?」


「そんなんないわ」


シーナは手に持つ。


「なんか手に馴染むのう……」


「買ってやろう」


「は? いらんじゃろ、使いどころが分からんわ」


「いまに使いどころを理解する。お前は俺の相棒だからな」


「?」


多種多様な面。


「能面にナマハゲか」


「キツネやこの細い目の不気味な面は前からあったが、これは何じゃい?」


天狗の面。


「天狗だな。俺の故郷では神とも妖怪とも言われている」


「なんと!」


「地球では吸血鬼などと同じ亜人に位置する存在かもしれないな。あくまで伝説上として語り継がれるものだが」


「伝説とか作り話、多くないか?チキュウ」


シーナは天狗の面を手に取る。


「鼻でかいのう」


裏を見る。鼻の部分は空洞。


「ん?」


ゴトーを見る。股間を見る。空洞を見る。


「………」


シーナはゴトーの籠に、天狗の面を入れる。


「・・・それが欲しいのか?」


「そうじゃ」


「用途は?」


「保険じゃ。いつまたブツを見せつけられるか分からんからのう。幼パンも拒否なら、もうこれしかなかろうぞ」


「選択肢はそこまで狭くはない」


「ゴトーの故郷のモノなら抵抗ないじゃろ」


「天狗を侮辱するわけではないが、このデザイン股間に装着すると、とたんに卑猥に映る」


つにではタマまで隠せんじゃろが。これなら面積も広いで安心なのじゃ」


「股間問題に関しては解消済みだ。服に魔法耐性を付与、妖精の雷や紅龍のファイアーブレス程度なら耐えれる。もうむやみに裸を晒すことはないだろう」


「……朗報じゃの。やっとゴトーのブツから解放されるんか?ワッチは」


「うむ」


「たぶん夢でうなされるんは、それ関係じゃ思うんじゃが、もううなされることはなくなるんか?」


「今後、相棒の前で醜態を晒すようなら、そうだな。角、ゾウパン、天狗の面、好きなコースを選ばせよう」


「決意表明しおったわ」


「裸キャラはカスピス秘境編で終了。元来地球でのキャラはハードボイルド系。そこに回帰するだけだ」


「フラグじゃないとええがな……」



調味料が並ぶ棚。

壺に入った醤油などを購入。


「これは白のワインビネガーか。米酢が手に入らないならこれでアレが作れるな」


「アレとは、なんじゃ?」


「コクと旨みと酸味の融合。その万能調味料から料理や食生活の幅が広がるモノだ」


「ほう、どのようにじゃ?」


「個人的には厚焼き玉子に付けると1.3倍upだ」


「なんじゃと!」


「この世界にはお好み焼きに似たようなものがあるんだな?」


「ゲロみたいなやつじゃ。見た目に反してあれはなかなかの美味じゃの。

裕福層に好まれ、庶民が手が出んのは白い粉やソースに砂糖が入ってるせいじゃな」


「粉ものとソースとの相性は抜群。美味さ1.6倍up。焼きウドンでも可だ」


「なんと!」


「しかしその真価を発揮するのは生の野菜。数倍美味くなる」


「生野菜? んー、あんまり野菜は喰わんのう」


「この世界の食文化ではサラダの習慣はないのか?」


「よほどの飢えや菜食主義のヴィーガン以外、生ではあまり喰わんで。肉鍋に煮て喰うのが一般的なのじゃ」


「熱を加える温野菜はビタミンやミネラルの大半は破壊、大量に流出してしまう」


「「びたみん」「みねらる」が分からん」


「健康を保つ上での必要な栄養素だ。不足すると免疫力低下を招き、腸内環境の悪化。肌荒れ。便秘。疲労。体臭。加齢臭。糖尿病や癌。脳卒中などの生活習慣病の予備軍となる」


「……肌荒や便秘、加齢臭じゃと? これはただ事ではないぞい!」


「深刻な状況だ。ここに来て以来、肉食過多で便秘気味が続いている状態だ」


「ワッチもカチンカチンで酷い時があってのう。便秘せんには生野菜を喰わんといかんのか?」


「一般的な摂取に必要な量は1日300g以上推奨されている」


「300、けっこうな量じゃの。生で菜を喰うんは拷問に思えるんじゃが」


「そこで調味料の救世主、マヨネーズの出番だ」


「まよ、ねーず……」


「添えると300gはあっという間に腹の中だ」


「完食いうことか!」


「しかしマヨネーズの摂り過ぎも身体に深刻な悪影響を与え、メリットもあればデメリットもある」


「デメリットじゃと? どんなものがあるんじゃ?」


「摂り過ぎても生活習慣病。コレステロールやカロリーから肥満になる」


「太るじゃと! それじゃあどうすりゃいいんじゃ!?」


「心配は無用だ。俺は栄養士の資格を収得している」


「えいよう、し?」


「環境や食材に合わせて健康管理のアドバイスすることが可能だ」


「ゴトーよ! ワッチにえいようし、のアドバイスしてくれんか? 便秘でケツが痛いのじゃ。肌荒れや加齢臭もイヤなのじゃ」


「いいだろう。栄養価や食生活の管理は俺に任せろ」


「おー、まことに心強いのう、ゴトーは」


「管理と言えば、ひとつ懸念していることがある」


「ケツの為じゃ。何でも聞いてくれ」


「人族と亜人獣人、人体の構造には違いがあるのか? これは憶測だが、骨、筋肉、内臓の体内構造の違いがあるのかもしれない。この世界では肉食が多く内臓脂肪が不安だ。

ここに来て3日間の食事、宿の食事、街の食事風景を見る限り、あきらかに栄養素のビタミンやカルシウムなどの摂取が不足している。

魔法を使えるファンタジー世界。星系事に生物的な違いがあるのかもしれない」


「同じ人型、違いがあるんかのう?」


「お前で確認してもいいか?」


「なんか確かめる方法でもあるんか?」


「ある」


「じゃあ頼むわ」


シーナの身体全体を凝視する。


――[透視]


(服が透けて全裸の肌露出) 

――身体に変化、異常はなし。


(骸骨が浮かぶ)

――骨格は・・・対称、非対称含めて206個。

地球人族との違いは見受けられないな。

次は内臓系を、


「おい、なに見つめとるんじゃい」


「中身を確認している」


「?」


見つめ続けるゴトー。


「中身て、なんじゃ?」


「透視だ」


「なにしとるんじゃい、ワレィ!」

<バコーン!>


ハリセンでゴトーの頭を思いっきり引っぱたく。


「ワッチの裸を見たんか!?」


「隅々にな。少し腹がポッコリしてるが、それは幼児体型特有のもので、」


「太ってへんわ!」

<バコーン!>


「幼体に興味はないと言ったはずだ。俺の興味は巨乳で、」


「性癖など聞いとらんわ!」

<バコーン!>


「いいツッコミを貰った。さすが俺が相棒と認める幼女」


「……は! このハリセンは、この為の!?」


「どうだ? 叩いた感触は?」


「………」


外から女性の悲鳴が聞こえる。


「キャーーー!」


――

40 買い物をしよう 終わり

41 獣人少女

――

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