第15話 サキュバスの誘惑
-異世界2日目ー
早朝。
妖精と別れ、ゴトーとシーナは野営地で朝まで睡眠。
前夜の残りの肉を食べ、2日目の目的地の野営地まで徒歩で目指す。
――
(注)
ゴトーは股間に葉っぱを装着
――
途中、襲ってくる猛獣魔獣を軽々と殴り倒し、肉片が四散し原型のない肉の塊が地面に散らばる。
「素手で倒してミンチになるとは、こんなん見たことないわ……」
ゴトーはスキルの一覧表から「威嚇」スキルを選択。
「威嚇を発動すれば獣程度なら寄って来ないのでは?」
「ほう、それはええかもじゃ。ちょっ掛けてみ」
「威嚇」スキルを発動する。
「うおっ!」
強烈な「威嚇」が「精神耐性」スキルを上回り、ピリピリとした不快感が襲う。
「初見でその威嚇を喰らっておったら、速攻逃げておったわ」
「解除するか?」
「我慢できんこともないからこれでええ。獣が寄って来るのも煩わしいしの」
青魔豹が近づいてくる。
『ガルルルゥ……』 <クルッ>
威嚇スキルに反応し、反転して逃げ去って行く。
グランド・ボアが興奮して近づいてくる。
『ゴルルルゥ……』 <クルッ>
一目散で逃げ出していく。
「ええ獣除けじゃの。こりゃもう魔物も寄って来んくなるんじゃないんか?」
森の中の藪を越えると、拓けた場所に大きな建物を発見。
「こんな森に屋敷?」
「あー、訳アリや知性ある魔物は、森奥に滞在することもあると聞く。関わっても碌なことにならんし、ここは避けて通るぞい」
「了解だ」
迂回しようとすると屋敷のドアが開く。
露出の激しい黒のボンデージスーツ。
モデルのような高身長。美しい色香に満ちた女性が出てくる。
「・・・・・」 「……」
妖艶な女性は2人の元へと近づいてくる。
「アヤツは、サキュバスじゃ」
「サキュバス、だと・・・!?」
「この色情狂に見つめられると雄は抗えんくなるぞ。ゴトーよ、目を合わせるでない!」
微笑みながら近づき、サキュバスはゴトーの目の前へと立つ。
「おい! 寄んな、帰れ!」
「へえ~、なかなか凛々しい男じゃない? 好みかも~」
「・・・・・」
股間に葉っぱのゴトーに、
「ウフフフ、気が早いわねー、もう準備万端なんて」
妖しく輝いた瞳で見つめられると、無言のゴトーは膝から崩れ落ちる。
「魔物にも屈しないゴトーが膝をついたー!!」
サキュバスは屈み豊満な胸部、妖艶な笑みで誘惑。
胸の谷間を凝視のゴトー。
――メッチャ、ガン見しておる!
アヤツは捕捉者。催淫効果のサキュバスに堕ちん雄はいないぞい。
さすがのゴトーも「魅了」に陥いってしまうのか……。
ゴトーは膝をついたままの体制、身動きできず硬直状態。
「ゴトー、大丈夫か!」
「・・・・・」
――これはマズイの。立ち上がることができんのか?
このままではゴトーの葉っぱもさすがに暴れん棒に……。
いや、もうすでに暴走モードに突入か?
この角度からは股間は見えず、恐る恐る股間が見える位置へと移動し確認する。
<チラッ>
微動だにしない葉っぱ。変化はなく通常のまま。
――暴れてはおらん! なんとサキュバスに抗うとはさすがの転移人なんか!?
サキュバスは股間に反応がなく無表情のゴトーに屈辱の表情。
「よし! 今のうちじゃい。ゴトー動けるか!? 逃げるのじゃ!」
微動だにしない無言のゴトー。
「立てー! 立つんじゃゴトー!! 勃つじゃないぞ、立つじゃぞ!」
ピクリともしないゴトーに屈辱的な表情で焦るサキュバス。
着ているボンデージを脱ぎ、ピンク色の派手な下着姿で挑発する。
「これなら、どうかしら~」
真剣な表情で下着姿を見守るゴトー。
「クッ……ダメか……」
――なんという色気ダダ漏れナイスバディじゃ。
女子のワッチでも魅了され吸い込まれそうじゃわ!
――さすがのゴトーもこれでは暴れん棒将軍に……。
<チラッ>
反応なし。
――ゴトーはホモなんか?
股間に反応を示さないサキュバスは、シーナを睨みだす。
「お?」
サキュバスはシーナに近づく。
「お、おい。ワッチはノーマルじゃ、こっち来んな!」
「ねぇ! 何でこの男は魅了されないのよ!」
「……いや、知らんがな」
「あり得ないんですけど。私、狙った獲物は外した事ないんですけど。見つめるだけで堕とす100戦練磨の誘惑率なんですけど!」
「力説されても知らんわ……」
「この男は幼児愛好者?」
「いや、ロリ属性はないようじゃぞ」
「え? あなたたち肉体関係がないの?」
「ただのワッチのボディガードじゃ。ネンゴロの関係ではないわ」
「じゃあ、何で私の魅了に屈しないのよ!」
「だから知らんて!」
「男はこの胸を見たら、ときめくんですけど! トキメキトゥナイトなんですけど!」
完璧な造形な巨乳。
「まあ確かに迫力あるボインボインの、我がままボディじゃの」
「でしょ!この胸。引き締まったウエスト。細い脚。それにこの美貌。至高と言われるビーナスのような完璧な黄金比を体現したスタイル!
堕ちない男は存在しないの!世の男共はこのワタシの前にひれ伏し跪く存在なのよ!」
「自己主張の激しい女子じゃの……」
「ガチなゲイなの?」
「いや、男色とかプライベートには踏み込んどらんて分からんて」
「特殊性癖とか倒錯的な嗜好があるんじゃないの?」
「そんなん知りたくもないわ」
「無口なの?」
「は?」
「彼は無口なのって?」
「まあ、口数は多くはないのう」
「私の経験則からするとムッツリな男って精神が病むまで、
「罵ってくれ!」とか。
「踏んでください女王様!」とか、
「ピ――――」して「ピ――――――」とか、マゾ的傾向があるわね」
「そうなんか?」
「「服従」「魅了」「誘惑」「魅惑」の四重奏のスキルも掛けてるのよ。
四つん這いになって鞭に打たれて、踏まれて、愉悦に歪んで、
「女王様!もっと、もっと!ご褒美を!」って、そうならないとおかしいの!」
シーナはゴトーのその姿を想像する。
――イメージダウンどころじゃないのう。あの能面のゴトーが服従されてドMじゃったらドン引きじゃわ。
「それとも、まさか、獣や魔物の方が好みと!?」
「変な想像はやめるのじゃ! 業が深すぎじゃろ」
「それとも、不能?」
「あー、その説は、あるかもじゃのう」
「でしょ、説あるコアトルでしょ?
でも私、同性愛者も不能でも一応は魅了できるんですけど。
唆らせることができるんですけど」
「不能さえも復活させれるんか?」
「自慢じゃないけどね」
「でもゴトーの股間は暴走してはおらんぞ」
「それがおかしいの!いままで見つめるだけで、対象の身体に触れる前に唆らせてきたの!」
「唆れさせんなら、もう諦めてくれんか?」
「いえ、諦めきれないわ!」
「さすがに手出しして刺激を与えるのはダメじゃぞい。それで唆れさせても淫魔の矜持に反するじゃろ」
「……では、全裸で淫らなポーズで誘惑を」
「やめい!18Rにするつもりかい!
ただでさえ露出が多いんじゃ。よい子が読めんくなるじゃろが!」
――
15 サキュバスの誘惑 終わり
16 サキュバスの事情
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