どさっ
これは本当に最近の話。
多分2、3か月前のことだ。
私は昼寝の時によくYouTubeで怪談を聞く。
寝るときに怪談とかどうなんだ?
と以前は思っていたが、これが驚くほどによく眠れるのだ。
その日、眠りたくなったのは日が沈んでからだ。
怠いから少し仮眠をしてから、動こう。
そう思って、ベッドのすぐ横にある窓のカーテンを閉める。
ベランダと夜景が見えなくなると、私は横たわった。
傍らでは私のパートナーが窓に横顔を向けるようにして、ベッドボードに寄り掛かってスマホを弄っていた。
私が眠るために流し始めた動画は、たしか15分か20分ぐらいの比較的短いものだったと思う。
こんな短い動画で眠れるかな、と心配にはなったが数分もしないうちに私の意識は曖昧になっていった。
寝入り端のふわふわした感覚が続く。
時折意識が浮上して、動画の内容が爆発事故に関連する怪談であることがうっすらと分かった。
だがその後は力が抜けて、本格的に寝入ってしまった。
どれぐらい時間が経っただろうか。
起きた時には怠さが抜けており、深く眠った時独特の満足感があった。
「よく寝たぁ…」
そう言いながら起き上がって隣を見ると、私とは対照的に怒った顔のパートナーがいた。
「馬鹿!」
開口一番、パートナーはそう言ったのだ。
「え、え?」
私の頭には疑問符しか浮かばない。
「怪談はやめなさい」
「え、なに?なんで?」
パートナーはベランダに背を向けないように私の方を見てくる。
「怪談流してる時に、音がしたんだよ」
「え?」
私はますます訳が分からなくなって問い掛けると、パートナーは嫌そうに口を開いた。
「怪談、サウナの爆発事故の話だったんだよ。事故の後、現場で爆発音が聞こえるようになって吹っ飛ばされた人が落ちてくる音がする、っていう内容でさ」
話ながらパートナーがちらりとベランダに視線をやった。
「人が落ちる音がする。って動画で流れると同時にさ、落ちてきた音がしたんだって、うちのベランダに、どさって。あれは、人の落ちた音だった」
途端に背筋に悪寒が走った。
カーテンの向こう側に何かいるのではないか。
開けたら死体があるのではないか。
そんな恐怖の想像を巡らせながら、私は思いきってカーテンを開けた。
そこには、いつも通りの夜景が広がっていた。
この後から一人の時にしか怪談を聞かなくなりました。
人を巻き込むのは申し訳なさすぎる…
あと、落ちた音だけではなく振動もした。との事でした。
自分が体験していない分、想像が広がって怖かったです。




