ループ
これは広島にいた頃の話。
仕事が終わって午前様になった日がある。余りにも疲れていて、ベッドに上がることが出来ずに、床に俯せに横たわった。
目を閉じると、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
流石にベッドに上がらないと、と思って身体を起こそうとしたのだが、重すぎてまったく動かない。
凄まじく焦った。
疲れすぎて身体が動かないんだ。
とにかくベッドに上がって寝ちゃおう。
立つことを諦めて、腕でどうにか這う。
幸いベッドのすぐ横の床で眠っていたから、鉛のように重い腕を数分掛けて持ち上げてマットレスにしがみつくと、必死に這い上がった。
腕で身体を押し上げて、ベッドに片足を掛ける。
どうにか上に上がった、と思った瞬間。
床に私はいた。
え
と思う。
夢でも見ているのか、と思いながら重たくてどうしようもない身体をまた動かした。
這う。
しがみつく。
ベッドに上がる。
振り出しに戻る。
3回目で最早、考える余裕がなくなった。
とにかく怖い。
くたくたになりながら重たい身体をベッドに乗せたその瞬間、床に戻るのだ。
このまま一生ここにいるのか。
訳が分からず、私はまたベッドの上に這い上がる。
また戻された。
とにかく同じ行動を繰り返していた。
人間、余りにも怖いと思考力がなくなるのだな。と振り返ってみると考えられるが、当時はそんな余裕はない。
とにかくベッドに上がろうとして、ある時
ふっ、とループが終わった。
ベッドに横になったまま、戻されていない。
安心して私はそのまま眠りについた。
脳が起きていて身体が覚醒している系の金縛りか?など、色々考えていましたが、ループしたのが謎でした。