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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第三章 地球編
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第68話 懺悔

【戦闘機型エクスターム】

 戦車型と同じように、無理やり人型に歪めたような姿をしているのが特徴。

 戦車型と比べ攻撃力と防御の面では劣るものの、空戦能力と凄まじいスピードに長けている。

 ただし、弱点として空中では停止することができないというものがある。

 レジスタンスの拠点、敵の襲撃の可能性を考慮して二機のザンバーが待機していた場所。


 そこにはある知らせが届いていた。


「鎧塚さんから連絡だっ!! 東京の奪還に成功したそうだ!!」


 作戦成功の知らせ。彼らにとって初めての勝利の知らせなのだ。


 ある者は歓喜に身を任せ踊り狂い、ある者は喜びを歌にする。誰しもが喜びを分かち合っていた。


「……うんうん、これならみんなも無事に帰ってこれるかな」

「……私のことは警戒しなくていいんですか?」


 彼らの喜びを見て、にこにこと笑みを浮かべていた未来。そんな彼女に、エポンはそう声をかけた。


 クレアーツィを殺した張本人、転生というふざけた方法で戻ってきたとはいえ、仲間の仇そのものなのだ。


 恨まれても仕方がない、殺されても文句は言えない。


 その位のことは彼女も理解していた。


「……当の本人が許してるから、周りがどうこう言うのは間違ってると思うかな」


 だが、未来は構わないと告げた。クレアーツィが許しているのなら、周りはどうこうしていい立場じゃない。


 当人が納得したのであれば、第三者が文句を言うのは筋違いなのだと。


「それにさ、私も元々クレアーツィの敵だったって考えたら……あまり変わらないと思うしさ」

「……そう言えば、そうだったね」


 以前敵だったなどというのは、彼らの旅路において意味を持たない。大切なのは過去ではなく、今であり、未来(あす)なのだから。


 だからこそ――。


「聞きたいんだけど、どうしてクレアーツィを殺したの?」


 問わねばならない、理由があったのであれば、確認しておかなければならない。


 また同じことがあった時、クレアーツィが返ってこれる保証などありはしない。そしてビートゥの悪行を知ったうえで追いかけ立ち向かえるのは、彼無しでは考えられないのだから。


 だからこそ、二度目はないことを確かめるのだ。


「……家族のため、かな」

「……家族、かぁ」


 エポンの言葉に、未来は納得した。


 ならば仕方がない、とまでは言わないまでも納得はできたのだ。


「……私はさ、皇国の中でも下の方の出身でさ。家族のために地位を得るためにって軍人になって……それで、マギアウストを操っていた」


 自身が何故、ネルトゥアーレ皇国の軍人として戦っていたのか、それは家族のため。


 力なきものが生きるのは難しい国故の言葉。


 生きるために力を求めた、無敵の力であったマギアウストの適性もあったが故に、軍内でも見る見るうちに地位を得られた。


 そんな中だ。


「ゴウザンバーが現れた、マギアウストも無敵ではなくなった」


 最初のころは、まだまだクレアーツィが未熟だった故に、マギアウストでも勝ち目があった。


 だが、戦いを重ねていく度に、より強く洗練された動きへと変わっていく。


 さらに、ブレイドザンバーとブラストザンバーの誕生、もはやマギアウストでは勝ち目が失われていった。


 マギアウストのおかげで得た地位が、マギアウストの絶対性の消滅と共に失われる。エポンはそれを理解していた。


 だからこそ、マギアウストの絶対性を取り戻さなければならない。


「ザンバーの弱点、専属の搭乗者がいなくなった時……もはや物言わぬ鉄くずに成り下がる」

「だからこそ、内側に入り込んで殺す作戦が成立した、だよね?」


 エポンの語った言葉は明確な事実であった。


 故の裏切りによる暗殺計画、成功すれば無力化は容易なはずであった。


「でも、問題があったんだ……ブレイドザンバーとブラストザンバーのパイロットの存在が」


 そもそもの計画が成立したのは、初期も初期……ザンバーがゴウザンバーだけだった時。新たなザンバーが誕生するのに時間がかかると思われていた時のこと。


 ブレイドザンバーの搭乗者、エスト・ファネッリは大陸でも最上位の剣士。


 ブラストザンバーの搭乗者アーロ・フォストは遠距離戦の絶対的な頂点。


 たとえ生身であったとしても、殺すことは非常に困難な相手であった。


「そして、単体のザンバーならば問題なく打倒できるギガントアークが完成した」


 だからこそ、単体のザンバーではなく、合体形態を封殺することができれば勝利は約束された。


「任務内容は、確実にクレアーツィを殺せるタイミングで殺すこと、その為ならば軍にどれだけの被害を出しても構わない……何故なら――」

「何人死んでもギガントアーク一体あれば逆転できるから、だよね?」

「うん」


 だからこそ、確実に殺せるタイミング迄はクレアーツィ達の味方であり続けた、味方であり続けられてしまったのだ。


「すっごく居心地がよくてさ、うん……家族がいなかったら、私はあんなことしなかった」

「……はははっ、うん、分かる……その辺は私もすっごくよく分かる」


 でも、家族のためにそれはできなかった。そして――。


「で、皇国に帰ってきたら……家族は死んでた」


 その全てが無駄だった。


「……戻ってきたからには、皇国の兵士としてふるまうしかない……そんな中で、クレアーツィは蘇って」

「……だからこそ、彼に裁かれようとした」


 だが、彼は裁かないのだ、彼女は情状酌量の余地があるはずだと認識していたから。


「……それでも私は納得できない」

「……納得ができないんだったらさ、納得ができるまで……それこそ死ぬまで戦い続けるしかないんだと思う」


 罪を償うための戦い、自分の意思でそう考えて戦わねばならない。


「……クレアーツィの騎士として?」

「えぇ、裏切りの騎士ではなく、これからは正々堂々と……騎士道に則った、ネルトゥアーレ大陸で誰もが知る騎士として」


 未来はそう口にして、軽く会釈をする。確かにこの時の彼女は、魔法の国の魔法煌姫(マジックプリンセス)ピュアグリッターとして、一人の騎士に応対する。


 それにだ、たとえ一度罪を犯しただけで、未来永劫の罪を背負わねばならないのなら、改心するものなど現れるはずもない。


 なにせ、善行を為しても悪党の汚名をそそぐことはできないのだから、改心しても得はない。


 だからこそ、罪を犯しても許される者が必要だ、魔法の国のお姫様であった未来は、確かにそう考えていた。


「だからまずは、レジスタンスの皆と一緒に、クレアーツィ達の出迎えの準備をしよう」


 にこりと、太陽のような笑みを浮かべ、エポンに向かって手を伸ばす。





 確かにエポンの、センタウルの民の姿は地球人にとって奇妙に映った。


 だがそれだけだ、少し彼女と触れ合えば、彼女も今を生きる人間であると誰しもが理解した。


「ま、日本人は良くも悪くも、古今東西常識はずれなモノにはなれてるなんて聞いてたからなぁ」

「どこの国も同じだろ」


 国籍もバラバラな彼らは、軽口をたたきながら軽いパーティーの準備をする。


 その中には当然、二人の姿もあった。


「お姉ちゃんっ! 魔法っ! 見せて!!」


 一人の少女は、未来の下に駆け寄りそう強請る。


 幼い少女にとって、未来の、というよりかはピュアグリッターの姿は、テレビの中のスーパーヒロインそのものだったのだろう。


 竜希の世界で、実際にアニメとして放送されていた、なんて話を聞いた未来にとって、少女の反応も納得のいくものであった。


「ふふっ、それじゃあ……お花を出そっか」


 などと笑みを向けてそう告げれば、軽くステッキを振って見せる。もちろんいつも通り魔法の呪文も忘れない。


 するとどうだろう、瞬時に無数の花々が咲き誇るではないか。


 その光景を見れば、少女は満面の笑みを浮かべ大喜びしてみせる。


「……大丈夫なの? 魔法の源は――」

「大丈夫、この世界でも、夢と希望と愛は力を取り戻そうとしているから」


 彼女がそう告げるとともに、上空から何かが、いやマルチドラゴネットが近づく音が聞こえてくる。


 英雄たちの凱旋であった。

【ヘリコプター型エクスターム】

 他のエクスタームと同様に、無理やり人型に歪めたような姿をしているのが特徴。

 戦車型と比べれば防御力が、戦闘機型と比べればスピードに劣っている。

 ただし、攻撃力は戦車型と戦闘機型の間ほど、さらに空中で停止することができるという強みがある。

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[一言] 過去なんかクソ喰らえ! 明日に向って走れ!!
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