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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第三章 地球編
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第67話 止まらぬ脅威! 穿て邪悪の通り道!!

【無人機】

 その名の通り人が操っていない機体の事。

 その優位性として、中に人が乗るスペースを用意しなくてもいい、中にいる人間のことを考慮しなくてもいい、などの点が挙げられる。

 逆に弱点として、外部から人間が操っているのであれば、外部から操るための方法を遮断する。人工知能などがその場で操っているのであれば、その知能を上回る存在には敵わないなどの点が挙げられるだろう。

 鋼と鋼がぶつかり合う音が、かつて日本と呼ばれた国の首都、東京の街に鳴り響き続ける。


「ザンバァァァァ! スパイラルゥゥゥ!! フィストォォォォ!!」


 高速で回転する拳、ソレが空飛ぶ戦闘機に直撃すれば、爆炎と共に貫いていく。


「あら、そこは隙ではありませんわよ!」


 片腕を失っている赤き勇者に向かって、特攻を仕掛けんとばかりに猛スピードで突撃する、別の機体。


 その行動すらわかっていたとばかりに、萌黄色の鉄のドレスに付属する砲口が突き付けられ。


「ザンバァァァァっ! キャノンっ!!」


 麗しき姫君の叫びと共に、消し炭に変えられてゆく。


 では、その姫君の後方から迫る戦車の軍団の攻撃はどうか?


「甘いっ!」


 答えは至極当然、空色の騎士の振るう剣によって、容易く真っ二つにされていく。


 騎士の隙も、隙とはならず三位一体となっての戦闘が繰り広げられてゆく。


 ただの鋼の人形が、英雄たちに敵う筈などありはしない。


 心すら持たない、誰かを愛することも、誰かを信じることも、それどころか戦う理由すら持たない鉄くずが敵う筈などありはしない。




 だがしかし――。


「数が多いっ、魔導力切れ狙いか」


 それでも鋼の軍団は現れ続ける。止まらない、何処から現れるのかも理解できないままに。


「……倒しきるってのは、無理そうね」


 攻撃は当たらなくとも、疲労するのには変わりはない。


 このまま続けていれば、人間である以上限界が来る。エストの言葉はそれ故の諦め。


「どうにかして、出現を止められればいいんだが……アーロ、それらしい場所は見えないか?」

「残念ながら、まるで分からない状態ですわね……お二人だけでしのぎ切れます? であれば探すことに全力を出しますが」


 軽口を叩く余裕は見せつつ、だとしてもどうしようもない状態ではあると告げる。


 木を隠すなら森の中、という訳ではないが視界の中にエクスタームの数が多すぎる。どこに新しい奴が現れたのかが分からないのだ。


「……だとすれば、ここは人だけを助ける……いや、合体か」

「高火力で無理矢理広範囲を一気に叩きのめし続けるってことね?」


 だからこそ、殲滅兵器を殲滅し続ける戦い方が必要となる。


 ならば必要なのは絶対的な力――。


「いくぞ皆!!」





「三身合神!」


 クレアーツィの呼びかけに答えるように、三人の声と心がシンクロする。


 ゴウザンバーをコアとし、ブレイドザンバーを足に、ブラストザンバーを腕にする。


 もはや彼らにとっては慣れ切った合体。


「三位一体!! ゴウザンバートリニティ!!」


 クレアーツィ達が初めて成し遂げた合体形態、ゴウザンバートリニティが地球に推参した瞬間である。




「おいおい、話には聞いていたが本当に合体しやがったぞ!!」


 東京の街にて、まるで空想の中から現れたような、テレビの中の絵空事が現実となった瞬間。レジスタンスの面々が歓声を上げた。


「……男の人、こういうの好きですよね」


 反応を通信越しにではあるが、確かに聞いていた竜希の声が彼らに届く。


 それを受けた彼らの反応は――。


「男だからじゃない、人間だったら男女問わずこうなるに決まっている!」

「むしろこうならない奴は人間じゃねぇ!!」

「地球人ならば当然の反応だろうっ! 合体したんだぞ!?」


 これが極々自然な反応であるとばかりに返事を見せる。


 彼らにとってそれは当たり前であり、そうでない存在こそが異常であるとばかりに抗議の声は上がり続けた。


「……まぁ、私は慣れてますから」


 という竜希の言葉によって収まったものの、彼らにとっては本当にそういうものとして反応していたのだろう。


 実際の所、彼らの視点は竜希自身にも分かっていた。かつて初めてゴウザンバーが戦う姿を見た時のことはよく覚えている。


(……異世界転生したと思ったら、まるでロボットアニメみたいな世界に早変わり……そういう趣味はなかったけど、正直変なテンションは上がっちゃったし)


 だからこそ、自分がロボットアニメを見る側から、ロボットアニメに登場する側に変わったことが。


「ま、乗る側だからねぇ……あっちの人でもテンションは上がるか……ってことは、やっぱり合体したらテンション上がるのが人間ってこと?」


 などと一人、マルチドラゴネットの中でくだらないことを考えていた。




「ザンバァァァァっ! シュゥゥゥゥタァァァッ!!」


 巨大なる弓の形をしたソレを振るえば、両端の鋭い刃によって断ち切られていく。


「それでは、こちらは魔導力量を注ぎ込むことだけしていますのでっ、戦闘そのものはお二人に任せますわよ!」


 誰よりも目のいいアーロが、直接目視することで敵の出現する場所を探る。


 レーダーでは数が多すぎて捕捉できないが故の、無理やりにも程があるアナログな対応。


 だがそれで構わないのだ、彼らはそれを為すことができる能力があるのだから。


「さーてと、それじゃ暴れるわよっ!!」


 エストの言葉とともに、一歩踏み出せば敵陣のど真ん中へ飛び込む。


 腕を振るえば一気に敵を切り裂き、射貫いてゆく。


 本来の担当が行っていないがゆえに、外す射撃も増えてしまっているものの、格闘戦闘の多彩さで補ってゆく。




 戦闘が始まって既に数時間が経過した、それでもなお減る様子の見えないエクスタームの軍勢。


 既に何十、いや何百と打破してきたことだろうか。その全てが無意味にして無価値、無力な者の無駄な足掻き。


 突き付けられた非常なる現実。レジスタンスの面々の救助作戦がいくら加速したとしても、土地の奪還が難しいのだと見せつけられる。


「さぁ、こちらは無限……いつまで続けていられるかな?」


 ビートゥの声が響き渡れば、レジスタンスの士気も打ち砕かれようとする。


 いかに英雄がいたとしても、減らない数の暴力というものには敵わない。




「無限に決まってんだろ、糞野郎」


 否、断じて否。


「すみません、でも……ようやく見つけましたわ」


 英雄とは普通の人間ではできない事を為す者。


 ヒーローがここにいて、ただのくだらない現実がかなうはずがない。


「それで、座標は?」

「大雑把に見積もって……旧東京都庁……あぁ、これからは旧ではなくなるのでただの東京都庁ですわ」


 アーロの告げた言葉とともに、ゴウザンバートリニティは視線を東京都庁へとむける。


 敵の根源がそこに在るのだ、ならばこそ勇者は跳ぶ。


「座標調整っ! 照準はアーロに任せるっ!」


 天高く跳べば、地に降りる時間を減らすためにバーニアを吹かす。


「照準セット! ターゲットの弱点は……そこっ!」


 狙いを定め終えれば、三人の持つ魔導力の全てを、トリニティに流し込む。


 最大出力、限界を超えた先。見えない何かを破壊するという、まるで幽霊を殴り倒すような話。


「……今、我らの思いを重ね!」


 それこそ無理難題にもほどがある話である。


「不可能すらも可能に変える!」


 だがしかし、だがしかしだ。


「邪悪の野望を穿つために!!」


 それがやらない理由には決してならない――。


「ザンバァァァァ!!」


 諦める理由にはならない。


「バァァァニィング!!」


 地獄の炎をその身に纏い、人々から自由と平和を奪い去った悪意へと跳ぶ。


「ザンバァァァァァァ!! シュゥゥゥゥティィィィングッ!!」


 人々の祈りを背負い、絵空事のスーパーヒーローが流星に変われば。


「スタァァァァァァァッ!!!」


 人々の願いは届き、ヒーローは不可能すらも可能に変える。


 爆炎を背に受けながら、地上に向けて落ちる。


 今確かに英雄たちが、勝利への一歩を踏み出し始めたのだ。誰もが笑いあえる希望の未来へと。


 地に降り立てば、そのまま鋼の勇者は飛びかかり薙ぎ払っていく。通信が途絶した故か、混乱の中にあるエクスタームという鉄くずの後処理をするだけのこと。


 そんなことを彼らが手間取ることなどありはしないだろう。

【ヒーロー】

 普通の人間を上回る能力などを有し、人々に有益なことをする者。主に男性を指し、女性の場合はヒロインと呼ぶことが多い。

 至極当然のことながら、普通の人間では到底為しえないことを為す存在である。

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