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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第三章 地球編
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第66話 ヒーロー対兵器

【軍器尖兵エクスターム】

 ビートゥが用意した新たなる兵器。地球の兵器を無理矢理人型にしたような、実に歪な姿をしている。

 極端なまでに『兵器』、即ち戦争を意識させるその姿は、見るモノに威圧感を与える。

 なお、戦車、戦闘機、ヘリコプターなど様々なモデルがあるものの、全てエクスタームとして扱われ、それぞれの固有の名称などは存在しないとされる。

 それはつまり、個性を発揮する自由がないということで――。

 視界に入る人型のソレ。


 地球(この世界)の兵器群を無理矢理歪ませて造られた、殲滅人形。

 兵隊等とビートゥ・ネルトゥアーレは語ったモノの、そんなまともな代物なはずはない。


 なにせ世界を自分の都合がいい、楽しませるためだけの舞台に変えた存在だ。


 そんな男の語る、兵隊などというものが、正しい意味で兵であると考えられる人間が一人でもいるだろうか?


「……何を仕掛けてくる?」


 上空を支配する鋼の軍団を、ゴウザンバーが睨みつける。

 分からないからこそ後手に回らざるを得ない、それが悪手であると分かっていても。


「クレアーツィっ!」


 そんな中で届く通信、声の主は――。


「エストっ! どうした?」

「竜希から連絡! マルチドラゴネットにできるだけ乗せたって!」


 告げられた内容は、作戦の進捗状況。


 皇国解体作戦、より正確に言えば此度の行動は東京解放作戦とでも言うべきモノ。

 その目的は土地を開放すること以上に、その土地に住む人々を保護することが目的になる。ゴウザンバーの戦いに巻き込まれ人が死ぬという事態を避けるためにも、最優先の目的であった。


 結果として、その第一段階は成功したとの連絡。マルチドラゴネット近辺の人々をどうにかして乗せることに成功したのだと。


 故にこそ、人々の救助が完了した区画へと、敵を引き付けるように移動を開始しようとする各ザンバー。




 されど、その意図を理解したのか、それともそうでないのか……。


「ちぃ、そりゃまぁ攻撃してくるよなぁっ!」


 マギサザンバーほどのスピードはないものの、それでも凄まじい速さで空中からの攻撃を仕掛けてくる敵。


 戦闘機型のエクスタームを、ザンバープロテクトで防ぎながら、クレアーツィは移動を続ける。


「攻撃力だけならば歩いてる奴の方が高かったか?」


 エクスタームの攻撃を受け止めながら、生じているエネルギーなどを即座に計測をし続ける。


 受け止められる攻撃とそうでない攻撃を仕分けしつつ、ザンバーショットの連続射撃で牽制。




 何度と繰り返す防御、移動、攻撃の終わりの見えない円舞曲(ワルツ)。その中でクレアーツィは違和感を感じ取る。


「……ギガントアークほどの性能はない、それは構わないが――」

「マギアウストよりも威圧感、命の力を感じない……でしょ?」


 気が付けば、目的地まで誘い出すこと。それが成功したことに、クレアーツィは気が付いた。


 同じく辿り着いていたエストからの、返ってくるとは思っていなかった、独り言への反応。


 確かに自分自身が考えていた、違和感として想定していたもの。


 それを指摘されたことに、クレアーツィはさらに思考を始める。

 

 何故に命を感じ取れないのか。確かな意味があるはずの違和感の正体を理解するために。


「こっちの技術なら、魔導力……人間が乗っている前提の動力源ではない……だから、人を乗せていないということか?」


 地球の技術については、それこそ隙間時間に勉強をしていたからこそ、根本的に自分たちの知るものとは違うもの、そんな想定も素直に受け入れられる。


「……とは言えっ、納得ができるかはまた別問題か」


 受け入れられるが、その存在に納得はできない。


 クレアーツィの思想として、道具は道具であるべきだというものがある。


 人が作ったものは、使う人間が正しい使い方をしている限りは、人を幸せにするべきである。


 だからこそ、正しい使い方ではない、人々を苦しめる使い方をしたマギアウストを止めたいと考えた。


 だからこそ、彼は兵器を作ることを望まなかった。


 だからこそ、人の手を離れてしまう道具の存在に納得ができない。


「……人工知能、いや……管理する人間がいないだけの自動人形か」


 納得しないなりに出した結論。


「……ま、私たちにとっては正直どうでもいい話よね」

「えぇ、既に人が乗っているマギアウストやギガントアークを、どれだけ破壊してきたか」


 二人にはどうでもいいものとして扱われる。


 だがそれでいい、彼女たちはクレアーツィではないのだから。


 大事にしている視点が変わったとしても問題はない、目指すべき場所は決して変わらないのだから。


 世界の自由と平和、ただそのために戦うと決めたのだから。


「ですので、アレがただの木偶人形……ではなく機械人形だというのであれば」

「それは、いくらでも現れる敵というだけ」


「それを道具だというのであれば、俺は人々を苦しめるためのソレの存在を認めない!!」


 どちらにせよ、叩きのめすための的でしかないのだから。




「それではこちら後方支援に回りますわっ!」


 アーロの言葉と共に、ブラストザンバーは二機の後方に回る。


「それじゃ、私が前衛ね」


 その動きに反応するように、ブレイドザンバーは前に出る。無論ザンバーソードをしっかりと構え直したうえで。


「んで、いつも通り俺が遊撃だなっ!」


 たとえ世界が違っても、生まれた国や思いが異なっていても、目指すゴールだけは同じなのだ。


 だからこそ、戦う世界が異なっていたとしても彼らの戦い方に変化はない。


 どこまでもいつも通りに、自分たちの戦い方を貫き続けるのだから。




「ふむ、人が乗っていないということの意味を理解していないようだな」


 彼らの動きを、モニター越しに見つめるビートゥ。面々が今までと変わっていないと解すれば、そう口にする。


「……さて、乗っている人間を考慮しないでいい、そんな兵士の恐ろしさを理解してみたまえ」


 まるで他人事のように、ビートゥは口にしながらモニターを見つめる。


 片手には菓子、もう片方にはジュースなどと娯楽作品を楽しむためだけの振る舞いを続けている。

 そんな存在が、世界を支配しているのだ。




「ちぃっ、さっきまでと違って本気になったってこと!?」


 先ほどまでの誘導に従っていたものとは違う動き。


 今までもギガントアークを筆頭に、物凄いスピードの機体との戦いは経験してきた。


 それらと比較すれば、エクスタームの動きはそう速いモノではない。


「っ、いつもと違うというのは面倒ですわねっ!!」


 だが、動き方が異質なのだ。彼らにとっての常識からは到底考えられない動き方をする。


 まさしく異常なる存在。


「直角に曲がるというのは、ギガントアークなんかで見てましたが……向いている方向と移動の方向が完全にかみ合っていませんわねっ!」


 まさしく操る人間がいない、視覚情報に頼らないが故の異質な動き。


 一人称(個人)ではなく、三人称視点(神の視点)で操られる代物。それが敵を殲滅するためだけに扱われる。


「だが、それでもっ!」


 異質ではある、故に戦いにくい相手ではある。


 だが、それだけなのだ。


「俺たちにこんな手品が通じるかっ!」


 確かに予測するのは難しい、それ故に攻撃も当てにくいかもしれない。さらに言えば乗り込む人間がいない故に、動かす人間に対する影響などは考慮しなくてもいいかもしれない。


 だが、それはちょっとした小細工にすぎない。


 そしてタネがバレた手品など、よほどの腕前でなければ、人々を驚かすことはできはしない。


「ザンバァァァ!! インパクトッ!!」


 故に、強烈な一撃が叩き込まれ、爆散するという末路は、火を見るよりも明らか。


「ファネッリ流剣術! サントゥアーリオっ!! エルドラード!!」


 黄金の軌跡を残し駆け抜ける吹雪と、振るわれる斬撃により叩き伏せられ。


「ザンバーバリスタッ!」


 吹き荒れる魔導の矢の嵐によって、撃ち落されてゆく。


「ザンバァァァァァッ!」


 なればこそ、この戦場は機械人形にとってなんと語るか?


 答えはただ一つ――。


「インフェルノォォォォォォッッ!!」


 地獄だ。


 自らの持つ優位性すら、大したことはないと突き付けられる。


 世界を支配する勝利者が、むしろ倒されるだけの雑兵に成り下がった瞬間だ。


 人々を虐げる邪悪の前に、英雄が立ちふさがったのだ。


 なればこそ、少なくともこの戦場においての勝利は、この瞬間約束された。

【エクスタームの正体】

 従来の作中兵器とは異なり、人が登場していない無人機である。

 それ故に、乗り込んでいる人間では認識ができない、そんなモノすら考慮した動きを自由自在に行う。

 しかしながら、それもバレてしまえば、それを考慮した動きをすればいいだけ。

 歴戦の勇者となっている現在のクレアーツィ達には通用していなかった。

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最新作『絡繰武勝叢雲』連載中 こちらも面白格好いいぜ!! https://ncode.syosetu.com/n3777hj/
― 新着の感想 ―
[一言] こんなものが……ゴウザンバーに通じるかあああああ!! って叫びたくなるような無双シーンですが、これで終わってくれるとは思えないのがビートゥクオリティ。
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