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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第二章 転生騎士団編
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幕間 幕は下りた

 この戦争が始まって何人の人間が死んだだろうか、何百万人、いや何千万人と死んだ。


 正直な話、俺たちが死ぬのはもう分かっている話だ。時間稼ぎにもなりはしない。


 家族も恋人も皆死んだ、仲間たちも皆死んだ。


 マギアウストの鋼の体に俺たちの剣も魔導具も通用しなかった。それでも戦わなければならない。


 守るべきものも何も残っていなかったとしても、それでもアレが勝利する世界なんてものは俺は望まない。




 それは一方的な虐殺だった。


 はっきりと言えばこの世界に転生した時、俺は何かがおかしいと思った。


 いや、それこそよくある転生モノってのからはそう大きく外れてなかったと思う。


 転生者特有の魔導力量の多さってのは圧倒的で、軍で使われてる一般向けのマギアウストとはけた外れの性能のギガントアーク。


 しかも一人一人異なる転生特典によって、大きな特徴も出ている。


 正直言えば無双し、勝利し続けるというのは確かに楽しいモノだ。


 多くの人々に賞賛されているのも実に嬉しい、しかもどうやらそれぞれの性別というか性的な好みに合わせられているらしい。それはもう実に嬉しい。


 だけれどもだ、ただただ一方的に知性ある命を殺していくだけのこの行為が正しいのだろうか。


 ……分からない、俺にはもう分からない。ただ一方的に殺すだけの俺たちの行いが後世どう罵られることになるかなど分かりたくもない。


 確か既に一人敵側に裏切った奴がいたんだとか。なんともいい判断をしたんだろう、負けたとしても後の世の人間はそいつを英雄だと崇めるだろう。


 それに比べて、勝っても負けても糞野郎の烙印を押される。あいつらは理解しているのか?


 一時の高揚感に浸って、未来永劫鬼畜にも劣る賊の称号を与えられるという事実が。


 俺たちは転生者、しかしこの世界での親がいたか? 友を作る時間があったか? 答えは当然存在しなかっただ。


 何者かに今の俺たちの状況は仕組まれている。


 いや、何者かなど誰か分かっている。


 そう、俺たちが仕えることになった―。


「ふむ、勘がいい奴が一人いたか」


「がふっ!?」


 背後から何者かに俺の体が貫かれた!?


 床は真っ赤に地で染まる。しかも俺の転生特典を無視して!?


「知っているぞ? 即死だったか……あぁ、不死身であろうとも問答無用で殺すのだったな」


 俺に敵意を向けたものに自動で発動するそれが発動していない? 俺を傷つけたものに発動するそれが発動していない? どういうことだ。


「簡単だ、その程度で私に通用すると思っていたのか?」


「ぐっ……」


 だめだ、まともにしゃべれない……毒か?体もしびれて……というか、痛みでまともに行動すらできない。


「ふっ、転生特典が通用していないのがおかしいと思っているようだが、なにもおかしくはない」


「くれてやった側が、自分を害する可能性のあるものを渡すと思っているのか?」


 くれてやった? 神様に直接もらった……っ!?


「さて、ではそろそろゲームの駒の分際で、プレイヤーにあれこれと勝手なことをする物は交換せねばならんな」


 貴様っ、まさかこの世界のか―。




 さて、現実逃避の時間は楽しかったか? 名も忘れた愚かな命よ。


 気が付かなければ、お前は幸せでいられたのだ。


 幾千、幾億と栄光を手にし続ける。


 絶対的な勝利者という立場から落ちることもな。


 しかし、思っていたよりも賢い愚者も多いモノだ。


 この戦争ではすでに数百人を超える人数、我が手で消しているではないか。


 これは想定と―。


「完全に一致しているではないか」


 やはり我が思惑から外れる者はいないか。


「さて、夢物語の幕は下りた、現実逃避の時間は終わりだ」


 それは誰にとっても変わらない。ただ一つ最初から現実を見ている私を除いてはな。





 グランディア砦の陥落の報せは大陸中に轟いた。


 ネルトゥアーレ大陸最大の難攻不落の要塞が一時間も経過せぬうちに消滅した、ただそれだけの事実がこの戦争の異常さを物語っていた。


 砦に集っていた連合軍の兵士、数万人の命が潰えた。




 またその翌日、無抵抗を貫いた平和国家ピースランドの消滅が告げられた。


 物理的に領土全てが消滅し、かつて存在した場所は海になっているという。


 戦うことを放棄した命に生きる未来などないのだろう。




 新たに連合国の集合地点に定められたのは死の世界と呼ばれる地、かつてこの地で何度も凄惨な戦争が起きたとされる場所。


 その地に集うということは、これから待つ戦争がかつての戦争と同じような被害を産むことになると告げているかのようで。




「オーライ! オーライ!」


「大陸一の機械技師だけにこの戦争の命運を預けるのは間違ってるよなぁ!」


「だからお嬢も行動に出たんでしょうが」


「それに家の旦那も動き出したのよなぁ」


 とある場所にある機械技師たちの工房、喧騒の中でも彼らは手を止めず無数の巨人たちを生み出していた。


 それらはまさしくゴウザンバーと見紛う姿、されどその姿は燃える炎の赤ではない。


 兵器然としたカラーリングのソレは連合軍の兵士たちに届けられる最後の希望。


 量産型ザンバー、マルチザンバーと呼ばれるそれであった。

L田深愚さんが提案していただいたマルチザンバーを、量産型ザンバーの名称として正式に採用させていただきました。


ありがとうございます。

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[一言] ひゃああ!? 採用ありがとうございますううううう!!
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