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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第二章 転生騎士団編
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第42話 今こそ決戦の時 結成せよザンバー軍団!

【ザンバーテンペストストーム】

 ゴウザンバーテンペストの最大の一撃。

 超スピードでの突進と共に手に持っている武器で連続攻撃を繰り出し続けるというシンプルなもの。

 ただし魔導具、特にザンバーの合体形態の出力は掛け算で上昇していくため、その一撃全てが桁違いなまでに上昇している。

 フェーダを舞台にした激戦はクレアーツィたちの勝利に終わった。


 その勝利を祝うように、フェーダの民たちは飲めや騒げや大騒ぎ。ちょっとしたお祭りまで始まっていた


「……これが、この国の本来の姿なんだね」

「あぁ、フェーダの民は難しいことを考えずに楽しいことを楽しむ一族だ」


 その光景を見て未来は表情を曇らせ、自らの為した罪というものを自覚する。けれども隣に立つ男はまるで気にしていない様子で見つめ。


「だからこそ彼らは本質を見る、皇国の人間だから怯えていたけれど、君そのものに怯えていた奴はいない」

「……だから?」

「君が悪い奴だなんて思ってる人はもういない。ならば君がすべきことは?」


 彼女が、星川未来が、ピュアグリッターがどのような存在なのか分かっているからこその問い。


「……皆の夢と希望と愛を取り戻す」


 答えるのは自身の使命、たとえ世界が違っても、たとえ隣に立つ人たちが変わっても。彼女がすることは決して変わらない。


「それがピュアグリッターが生きる意味、私が立ち上がる理由だもん」




 クレアーツィはその後彼女と一時的に分かれ、夜空を見上げていた。ただ一人、静かになる時間が欲しかったのだ。


 まぁ、それ以上に考えたくない仕事が多すぎるということもあったのだが。




「ほぉ、こんな所にいるとはなぁ」


 だからこそ、こちらに声をかけてくる存在に視線を向ける。


「……何の用だ? こちとら疲れててゆっくりしてたいんだけど」


 視線の先にいた、青い髪にモヒカン派手な棘付きの肩パッド。筋骨隆々のその男を見てはクレアーツィはどこか納得した様子を見せる。


「……ヒヤツハの人がわざわざ何の用? かなり離れてるだろ」


 男はヒヤツハと呼ばれる国の民。彼らの国で流行のファッションがこれであった。


「まずヒヤツハはつい先日滅んでな」


 彼の言葉にクレアーツィは凍り付く。向かう順番を間違えたのではないか、多くの人間を救えたのではないか。


「ははっ、そう自分一人で全部背負うな」


「俺たちが弱かったから負けただけだ、それまでお前に持っていかれたら俺たちヒヤツハの民全員への侮辱となる」


 だからこそ、彼の言葉を重く受け止める。


「で、それを伝えるためだけか? だったら少し待てば情報がすぐに流れたろ」


「あぁ、本題は各国の王からの連絡だ」


「ザンバー軍団を結成する」


 その言葉に目を丸くする。前々から計画していたがどうしたのかと。


「各国の優秀な機械技師たちにザンバーを作らせている……フォストの王に渡していたんだろ、あの段階で用意していた設計図の全て」




「……ということはできたか」


「あぁ、お前のザンバーには劣るが、それでも数が揃おうとしてる」


「決戦は近いのかねぇ」


「近い方がいいだろ、戦争が終わればマシな世の中にはなる……とは思える」


 ヒヤツハの男にクレアーツィは軽く答え続ける。戦争が起きていれば平和ではない、けれども戦争がなくても平和かと言えばそうとも限らない。

 世の中悪人なんてのは腐るほどいるし、ろくでもない事なんてそれこそ嫌になるほどに起きる。


 なんなら戦後のほうが酷いなんてのも歴史の中で何度も何度も繰り返されてきた。考えたくないけれども考えなければならない最悪の可能性。


「まぁ、それこそ皇国が勝てば平和な世界にはなるんじゃねぇかなぁ」

「ろくな世界にはならないだろうけどな」

「だろうなぁ」


 最悪しかない選択肢と、最悪の可能性もある選択肢、どちらを選ぶかなど決まっている話。


「無駄でも無意味でもやらないと……なぁ」


 どちらにせよ、平和で幸せな未来などというものを守るには、一人のヒーローではなく世界中の皆が力を合わせねばならない。クレアーツィ一人が頭を抱えて悩んだところでいいことは何もない。


「……だからこそ、俺にできることを……だな」


 自分がすべきことを理解すれば即座に行動を開始する。決断の早いのがクレアーツィの良いところである。


「それで集合地点は?」


 だからこそ向かうべき場所がどこなのかを理解しなければならない。


「……最前線、今なら……グランディア砦だ」


 それだけを伝えれば去っていく男、彼の言葉からクレアーツィは理解する。


 これから恐らく最前線はもっと後退することになると。


 それほどまでにマギアウストは、ザンバーを、抵抗する力を持たない人間にとっては脅威なのだ。


 そしてそのマギアウストを大きく上回る力を持つギガントアークですら量産され軍団として運用されている。


 対応できるのはゴウザンバートリニティ以上の力を発揮できる合体形態のみ。


 はっきりと言えば勝ち目など皆無に等しいと思わせる戦力差。正直なところマギアウストならともかく、ギガントアークの性能を量産しているという事実には困惑を隠せない。


「……さて、アレが誰でも使える代物として量産されているなら、マギアウストを使うのは人間という資源の無駄だ」


 より良い装備を末端にまで配備すればそれだけ戦力としては万全なものとなる。コストの問題……というのが現実的な意見ではあるものの、何かが違う。結局ギガントアークを作る方が結果的にコストもかからない。


「……未来が知ってたりしないかなぁ」




「あぁ、うん、知ってるよ?」


 マルチドラゴネットに戻ったクレアーツィの問いかけに、さも当然の様に答える未来。


 彼女の軽い返事にクレアーツィはすっ転び、すさまじい勢いで脳天を床にぶつける。


「か、軽いにもほどがあるぞおい!?」


 未来の発言に顔を真っ赤にしては騒ぎ出すクレアーツィ。彼の様子を見てここまでの反応がされるとは思ってなかったとばかりに未来は茫然としていた。

【ヒヤツハ】

 ネルトゥアーレ大陸に存在する小国。

 一部では蛮族などと呼ばれることもある国。国民の多くが屈強な肉体をしており、優秀な戦士が生まれやすいことで有名。

 なお何故か知らないが昔から肩パッドとモヒカンが流行っており、そういった風貌というだけでヒヤツハの人だとすぐに判断できる。最近の流行は肩パッドにトゲを付けること。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  一部では蛮族などと呼ばれることもある国。国民の多くが屈強な肉体をしており、優秀な施栓氏が生まれやすいことで有名。  なお何故か知らないが昔からカタパッドとモヒカンが流行っており、そう…
[一言] >ヒヤツハの人々 自動車が発明されたら見ものですね。 バギーとか凶悪にデコった大型車が流行りそう。
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