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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第二章 転生騎士団編
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第40話 貫け鉄拳! その手が届くその場所へ

【転生者の魔導力】

 例外なく転生者は魔導力量が豊富だという特徴がある。

 大雑把な比較となるが、平均的なネルトゥアーレ大陸の人間の魔導力量を一とした場合、転生者の魔導力量は少なくても百となる。むろん個人差はあるのでより多くの魔導力を秘めている転生者もいる。

 これだけの膨大な魔導力量がなければギガントアークを操ることはできず。ギガントアーク、もしくは同様の機体のパイロットは例外なく転生者であると推測できる。

 舞い踊る桃色の巨人。止まることのないその舞踏は悲劇を演出するためのもの。


「……で、どうやって助けるのよ」

「破壊、はそれだけだとまずいな……普通に死ぬ」


 舞踏を止めるため、クレアーツィとエストは策を練る。今自分たちにできる救う方法を考え続ける。


「……ところで、アーロやエポンはどうした?」

「……最高スピードと魔導力量の問題で私が先行した感じ」

「……なら、アレしとくか」

「アレ?」


 そうして辿り着く解。


 一人納得した様子で頷くクレアーツィを見て、エストは理解できていない様子で問いかける。グリティアン自体の性能はギガントアーク級、それであればゴウザンバーとブレイドザンバーの二機では打倒するのは困難どころでは済まない。それをどうにかできる策があるのかと。


「合体だよ」


 問いかけに対する回答は至極シンプル、あぁ確かにギガントアークを撃破した時はいつも合体形態であるトリニティだった。


「なに言ってんのよ!? 合体できないでしょ!?」


 トリニティだったのだ。ゴウザンバートリニティはゴウザンバーとブレイドザンバー、そしてブラストザンバーの三機合体。


 これの何が問題なのか、言うまでもない。三機合体にも関わらずこの場には二機しかいないのだ。


「だろうな、だから奴らはまるでこの状況を気にしていない」

「いや、マジでできるの!?」

「そりゃまあ、普通にできるけど」


 言わなかったっけ、なんて軽い感じで告げる彼を見て、あぁこいつはと呆れ果てるエスト。当然の話ではあるが、この合体パターンの話など一度もしていない。クレアーツィが一人勝手にしたつもりになっていただけである。


「……勝てるの?」

「勝てるかは知らん、だがな……」


「今回の戦いの目的は勝つこと以上に救うことだろう?」


 クレアーツィの問いかけに、エストはどこか納得した様子で。されどもどこか呆れた様子を見せては告げる。


「ま、やるだけやってみましょうか」


 どうせやらなきゃ成功確率はゼロなのだ。やればどうにかなる可能性があるのであればそれに賭ける。今まで通りの戦いをすればいいのだと。


「よし、行くぞ! 刃影合体!!」


 叫びと共に二機が天高く舞い上がる。合体を防御するために吹き荒れる魔導力の嵐の中で、ブレイドザンバーが四つのパーツに分かれて行く。パーツの一つ一つが確かに結合していけばシルエットが大きく変化していく。まるで刃と一体化したような両腕、脚も鋭利な刃が伸びていては全身すべてが凶器と言った姿。


「ゴウザンバーブレイド! バーンドアップ!!」


 現れた刃の名を高らかに叫ぶ二人。それを見てギガントアークもまた多少の反応を見せる。想定していなかった二体合体の光景。されども手を出すわけにはいかない。裏切者(ピュアグリッター)が殺すからこそ意味があるのだから。


「……お願い、殺してっ!」


 それを理解しているからこそ彼女は懇願する。自分が死ねば皇国の、ビートゥ帝の企みは阻止されるのだから。自分は一度死んでいた存在、それが死んだところで本来あるべき姿に戻るだけなのだからと。


「残念だけどその願いは聞けないな!」

「事情は知らないけどこいつが助けるって言ってるのなら助けるのよ!」


 だとしても死を望む懇願を受け入れるクレアーツィたちでは断じてない。ただただこの世界に夢と希望を見せるため、その為にヒーローとなろうなどと決めた者たちだ。そんな彼らが―。


「……それに泣いてる女の子を助けるのはヒーローとしても!」

「騎士としても当然のことっ!!」


 涙を流す少女を見放すことなどできるだろう? いやできない。


「……さてと、啖呵を切ったわいいけどどうするの?」

「安心しろ、策はある……ピュアグリッター! 自分の身を護る魔法を唱えてくれ!」


 言われた言葉を聞いては、自分の身を護るための守護の魔法を自身にかけるピュアグリッター。


「……エストは魔導力を流すことだけに意識を割いてくれ……特に斬の魔導石に入るようにな!」

「……あぁ、そういうことっ!」


 エストも、クレアーツィがなにをしようとしているのか、それを察した様で言われた通り指示に従って魔導力を流し込み始める。それによって両腕の刃に力がこもり青く光り輝き始める。


「さーて、最大出力は劣るが一発! ザンバァァァァ!!」


 突き出した両の手の掌底を合わせ指を絡ませるゴウザンバーブレイド。両腕の刃も刃先が重なっていく。


「スパイラルゥゥゥゥゥ!!」


 エストの叫びと絡まった両の手が回転を始める。刃の部分も相まってまるでドリルかのように。


「フィストォォォォォ!!」


 拳という名のドリルが解き放たれれば、当然狙う先はグリティアンただ一つ。


「ふっ、あんなことを言って殺すのだな!」

(しかし、まぁ当然か……夢も希望もありはしない、ただただ生きるためにはこいつを殺さねばならんのだからな)


 罵声を浴びせつつも内心では仕方のない行動だと理解は示す。それほどまでに絶望的な、夢も希望もありはしない状況。だとしてもだ。


「はははっ、殺す? いや違うね!! 救うんだよ!!」


 グリティアンの動きも停止。それはクレアーツィが、自分が助けると述べた少女を殺すという結末を世界にさらすための記録映像の撮影に切り替えたということを示す。無論動きを止めたグリティアンなど的にすぎず。的を外すほどクレアーツィもエストもへっぽこではない。


 故に当然グリティアンには命中する。超スピードで発生する回転によってグリティアンの装甲が削り始める。むろんそのまま突き進もうとすれば徐々にではあるもののダメージは拡大していく。


 このままいけば中にいるグリティアンを、そして中にいる囚われの少女すら貫通していただろう。


「……ふー、制御完了」


 そう、そのまま突き進めばの話である。


 ザンバースパイラルフィストはグリティアンに突き刺さり。


 動きを止めたのだ。


「……さぁ、その手につかまれ!!」

「は、はいっ!」


 一人の少女に突き刺さる寸前で止まったのだ。


「なっ、なにっ、どういうことだっ!?」

「射出した拳の推進装置に注ぎ込まれていた魔導力が……戻る分を残して空になった……簡単な話だろう?」


 にやりと笑ったまま敵の疑問にも素直に答えるクレアーツィ。しかしながら余裕を持った振る舞いをしているが。


(よかったぁぁぁぁぁぁっ!! ジャストっ! ジャスト魔導力ぅ!! 計算が合っててよかったぁ!)


 内心はがくがくブルブル。ぎりぎりの計算が成功していたことに歓喜していた。


「さてと……胸糞悪いことしてくれた礼、返させてもらうわよ」

【ゴウザンバーブレイド】

 ゴウザンバーとブレイドザンバーが合体した形態。

 全身が刃となっているかのような鋭利な姿が特徴。実際の所全てがという訳ではないものの強力な切れ味を誇る部位が多い。

 なお、この形態からも分かる通り、実は二機合体も可能である。これはブラストザンバーなど他のザンバーも同様。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大抵は装甲ひっぺがして救出がよく見るパターンですが、手加減ロケットパンチで救い出すのは新鮮ですね!
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