第30話 行けゴウザンバートリニティ! 未来のために!!
【クレアーツィの日常】
基本的に放っておくと研究室にこもっては各ザンバーの改良などが行われ続けている。
それ故に気が付くと新しい武装が作成されているなどということも発生することがある。
「出し惜しみだとっ、貴様っ!」
クレアーツィの言葉に庄司は怒りを滲ませる。一度敗走させられたあの時ですら全力ではなかったというのか。
「ふざけるなっ! 主人公が負けていいわけないんだよっ!」
それ故に庄司は自身の持つ魔導力を限界まで爆発させる。それはもはや、火山の噴火ですら子供の玩具に見えるほど。もはや超新星爆発と見紛うほどの膨大なエネルギーであった。それと共に虚空から無数の砲門が展開される。その数なんと百八! その全てがゴウザンバートリニティに狙いを定めていた。
「……竜希っ! マルチドラゴネットからエネルギーの送信を頼む!」
その言葉とともに上空に一つの影、そうそれこそが出し惜しみ無しの真の意味。
「クレアーツィさん、時間があるからってセンタウル入る前に改造終わらせたんだもの」
にこりと笑いながら、一人口にする竜希。モニターの先には悠然と立つ鋼の勇者の姿。
「こちら竜希っ! ゴウザンバートリニティに私の魔導力を注ぎ込みますっ!!」
その言葉と共にマルチドラゴネットに展開される、今まで存在していなかった砲。そこからゴウザンバートリニティ目掛けて魔導力が解き放たれる。その一撃は大地を割った。その一撃は空を割いた。そして生じた土煙によってゴウザンバートリニティがいた場所は何も見えなくなる。もはや今のそれで消し飛んだかのように。
「っ、俺以上の魔導力量だとっ!?」
そのエネルギー量を見た庄司は困惑を、いや恐怖を隠せない。自身の強さはギガントアークの性能と共に、それを支えるだけの膨大な魔導力量が支えるモノ。むろん多少の努力はあるが、根本的には才能、転生特典に支えられている。それを上回るものの存在は――。
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
彼の心に大きなダメージを与える。自分の強さを上回るそれに対して。
「ふざけてないさ、お前は一人でも」
「私たちは力を合わせる仲間がいるんだもの、それに」
「勝つのが主人公なら私たちが主人公ですわっ!!」
その言葉とともに土煙が消し飛び、その中から鋼の巨人の姿があらわれる。赤、青、緑のいつもの三色の姿ではない。全身を黄金に輝かせるゴウザンバートリニティの姿が、確かにそこにはあった。
「ザンバーグロォォォォリィィィ!!」
その威容は、今までのゴウザンバートリニティをはるかに上回るエネルギー量であることを優に示している。それ故に庄司は実行する。
「何をする気か知らんが、させるものかぁぁぁぁぁぁっ!」
百八の砲門全てから、一撃で都市が消滅するだけの破壊力の魔導光が解き放されて行く。この場でその存在を消し去るために。
「ザンバープロテクトっっ!!」
そしてそのすべてを受け止めるために、巨大な障壁が展開される。全方位から叩き込まれる無数の滅びの光を、しかしほんの少しも動くことなく、全て無力化してはギガントアークを睨みつける。
「あ、あれだけやって……だとっ!?」
その光景に庄司は困惑と恐怖を隠せない。それ故に行動することすらできない。
「エスト、アーロっ! 全力だぁっ!!」
そしてその隙を逃さないほど、クレアーツィらは愚かではない。
「ブレイドパーツ、出力限界値を突破っ!」
ザンバーの限界、それは一人の人間が引き出せるであろう範囲での話。それ故に不可能を超えるほどの出力ということは、それほどまでの超パワーを指し示す。人を超えた存在へと至る者として。
「ブラストパーツ、照準セットっ! アレの弱点を正確にロックしましたわっ!」
そしてその全てをただ一点に叩き込む。最も弱いところを、ただ正確に撃ち貫くために。
「トリニティそのものを一撃に変えるっ!」
その言葉とともに、余剰エネルギーを使い天高く飛翔する。そしてそのまま太陽を背に受け、ただひたすらに加速しギガントアークへと向かう。
初速の段階でその速度は容易くマッハを超越する。当然のようにその初速すら置き去りにし止まることなく加速を続ける。最短最速の点と点をつなぐ一直線。ザンバーシューターを前方に構え突撃する。
「ザンバァァァァァァッ!!」
クレアーツィ、エスト、アーロの三人の心が一つとなったザンバー、それこそがゴウザンバートリニティである。
「シュゥゥゥゥゥティングゥッ!!」
それでは、そこに竜希の心まで一つにすればどうなるのであろうか?
「スタァァァァァァァァァッ!!!」
答えは簡単、ゴウザンバートリニティは一筋の流星となり、ギガントアークをぶち抜いたのだ。
「あっ、えっ……俺は――」
大地に降り立ったゴウザンバートリニティ、その身が持っていたエネルギーはギガントアークを貫いてもまだまだ足りず、地面に大きな穴を作り、そのど真ん中で膝をついた。
「俺は……転生者でっ―」
そうしてゆらりと、再び両の足に力を込め立ち上がれば、振り返り背後にあったそれを見つめる。
「主人公だったはずだっ! 俺は俺は――」
断末魔と共に激しい爆発にのまれた黒き巨人の姿を。
「……マギアウストの反応は――」
「クレアーツィさん、ありませんよっ!」
今ので最後だ、そう理解した3人はそのまま分離、そしてそのまま格納されて行く三機のザンバーたち。
「……うっそでしょ、アレを真正面から打ち砕くというの!?」
そして一人ダーミラ将軍はこの戦場で起きた出来事の理解を拒むように頭を抱えざるを得なかった。数でも、策でも、正面からの戦闘でも打ち砕く存在。
「アレは本当にスーパーロボットなのね」
【ザンバーシューティングスター】
ゴウザンバートリニティの放つ必殺技。
その巨体そのものを一つの弾丸へと変え、敵に超スピードで突撃。 その中に宿している全エネルギーを敵にそのまま叩きつけるという荒業である。
しかし、これを放つにはクレアーツィ、エスト、アーロだけでなく、竜の魔導力をも必要とする。




