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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第一章 ギガントアーク編
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第29話 激突ギガントアーク! 全てを賭けて

【ザンバーキック】

 各ザンバーによる蹴り。

 それ以上でもそれ以下でもない、しかしながらその性能から放たれるソレは、当たりどころがよければマギアウストを撃墜することも可能なほどの破壊力を誇る。とは言え、狙ってそれが発生することはめったにない。

「エスト、アーロ! 三身合神!」

「分かったわっ!」

「お任せくださいましっ!」


 クレアーツィの叫びと共に、合体へと移行する。


「合体などさせるものっ……ちぃっ! 考えているかっ!」


 合体を阻止せんとギガントアークが攻勢に入ろうとして動きを止める。彼の視界の先にあったのは激しい魔導力の嵐が吹き荒れる光景であった。

 そんなものに腕を突っ込めば嵐にのまれて大きなダメージを受ける。ギガントアークならば耐えられるかもしれない、だけど耐えられるだけでしかない。無論ただのマギアウストが突っ込めばひとたまりもなく爆発とともに破壊されてしてしまうだろう程のエネルギー量だ。

 当然のことだが射撃兵装も無力化される。魔導力の嵐とはそれだけで強大な壁となる。それを貫けるほどの破壊力など真面に運用することすら難しいモノだ。生きようとする命の力とはそれほどに強大なのである。



「三位一体!」

「完全超越!」

「ゴウザンバートリニティ!」


 嵐が止むとともにその中から現れるのは当然のごとくゴウザンバートリニティ! ギガントアークを既に一度打ち破った勇者の姿。


「一つ聞こう、クレアーツィ。貴様なぜここにいる」


 それは庄司最大の疑問であった。クレアーツィが毒を盛られたというのは、ネルトゥアーレ皇国軍でそれなりの立場にいるモノからすれば周知の事実。にもかかわらずクレアーツィはゴウザンバーに乗りこの戦場に現れたのだ。疑問に思わない方がおかしい。


「こんなこともあろうかと、作っておいた毒素除去魔導具、それを使ったのさ」


 そしてどうどうとクレアーツィはそう宣言する。自身が作った魔導具によって毒を無効化したのだと。


「なっ、貴様そんなものがあるのかっ!?」


 無論庄司はあまりにもふざけたものが出てきたことに困惑を隠せないでいた。


「ま、命を狙われる側だって自覚はあるからな、死ななければ大体どうにかなるっ!」

「いや、私もそんなトンデモ魔導具は初耳なんだけど!?」

「というか、それはいち早く大陸全土に普及させるべき代物では!?」


 そして当然の話しながら、エストやアーロもクレアーツィの発明に困惑を隠せない。あまりにも便利すぎる魔導具だ、これをいつ作ったのかと疑問を浮かべて。


「そりゃまぁ、ずっと前……ゴウザンバー以前に偶然できたけど、いまだに再現ができねぇとんでもだっ!」


 なんて胸を張るものの首から上は明らかに問題作だと自覚しているそれ。同じものがもう作れないという事実はそれほどまでに機械技師である彼にとっては大問題なのだ。


(だからこそ、これに頼らないでいいようにしないとなぁ)


 故に一つの決意を固めつつ、クレアーツィは構える。


「ま、疑問には答えた、始めようぜギガントアーク……もう二度とその面見なくていいようにコテンパンにしてやるさ」

「ふん、そのセリフは貴様に返してやるっ!」


 両社の短い会話の直後、二機はそのまま駆け出し激突する。力勝負で優勢なのはゴウザンバートリニティであった。しかし――。


「ギガトールカノンっ!」


 その次の瞬間、ギガントアークの頭部に強力な魔導砲が生成され、そこから強力な一撃が解き放たれる。力比べの形になっている以上、回避することはできず。


「ちぃっ!」


 そのままゴウザンバートリニティは吹き飛ばされて行く。


「まだだ終わらんぞっ!」


 ダメージを負いながらも立ち上がろうとする姿を見て、なお追撃せんとするギガントアーク。その言葉とともに両腕に強力な重力場が生成され、それをゴウザンバートリニティに叩きつける。


「超重ハリケーン!!」


 そのまますさまじいまでのエネルギーがゴウザンバートリニティに直撃、そのエネルギーにより立ち上がることすらできないでいて。


「このままとどめを刺してやるっ!!」


 右腕を突き出して打ち砕かんと迫るギガントアーク。そしてその右腕が振るわれ―。


「デウス・マヌス・フランジット!!」


 ゴウザンバートリニティを粉砕せんとし――。


「ザンバァァァァッ」

「ブリザァァァァァッド!!」


 その腕が凍結し動きが止まった。


 突如としてギガントアークの腕が凍り付いたことに庄司は困惑するものの即座に思考を切り替える。


(こちらのような即席ではなく最初から搭載されていたということか……大陸一というのは伊達ではないな)


 発生した事象は実にシンプル、動けない状態で使える武装によってゴウザンバートリニティが、ギガントアークを凍らせた。分かってしまえば、何ということはない。ただそういう武装で攻撃されたというだけの話でしかない。


「とはいえ、腕だけで済んだ……いや、腕だけしかダメだったということか」


 その瞬間には即座に距離を取るギガントアーク。その判断が正しかったとばかりにソレが元あった場所目掛けて大剣が振り下ろされていた。


「動きを止めて一撃で仕留めようとか確実に殺しに来てたな」

「ま、前回同様全てが必殺の技ってことよね」


 だからこそこちらも一撃一撃にすべてを込めねばならない、長期戦をすればするだけ苦しい戦いになるのはこちらもそうなのだから。

 可能である限りの短期決戦。既に一度クレアーツィが意識を失うという形で戦闘を中止せざるを得なかったという事例があったのだから。


「出し惜しみは無しでぶっ潰すぞっ!」

【ザンバーブリザード(真)】

 ゴウザンバートリニティの放つ武装の一つ。

 エストの持つ氷の魔導石適正と、アーロの持つ風の魔導石適正の複合によって放たれる強烈な吹雪。

 その威力はマギアウストを凍り付かせることによって、破壊することが可能なほど。

 ブレイドザンバー単独で行ったアレとは違い、これは本当に存在する武装である。

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