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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第一章 ギガントアーク編
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第28話 戦乙女の決死戦! 目覚めよ勇者!!

【ブレイドザンバーの最高速度】

 ブレイドザンバーの最高走行速度はマッハを軽く超える。

 さらには、ブレイドザンバーの氷の魔導石を限界まで駆使することができれば、まるでスケートのように地を滑り、走行速度を上回るスピードすら可能となる。

「っ、今までの相手よりもへたくそなせいで読みにくいですわねっ!」

「その癖、たまにいつものレベルの奴らがいるせいで油断もできないっ!」


 迫るマギアウストの軍勢の中。ブレイドザンバーが縦横無尽に駆け巡り、その剣で敵を一気に切り裂いて行く。そしてそこに生じる隙を埋めるようにブラストザンバーの砲火がマギアウストを的確に射貫いて行った。それでもなお立ちはだかるその有様を見て、嫌になるとばかりにエストはその剣を振るう速度を加速させていく。


「奴らをここに張り付かせろ! そうすれば時間稼ぎにはなる! ダーミラ様の創り出した絶対的好機! ここで失うわけにはいかんっ!」

「あー、もうっ! そんなに死にたいの!?」


 そしてその中で彼女は確かに理解する、目の前に立ちはだかる奴らは命を捨てる覚悟できている。なぜだ、死んでも構わないと絶対に死ぬけれども構わないは違う。


「我らは戦場に出ることすらなく勝利するはずだったのだ。戦場に出る機会をくれた貴様らへの感謝の礼!」

「な、この方々は何をっ――」

「そしてその戦場での勝利への道を開いていただいたダーミラ様のために、我らの命などあまりにも安すぎる位よっ!!」


 故にエストは彼らの思いなど理解できない、彼女は死にたくないのだから。生きるためにブレイドザンバーに乗り戦っている。未来のために立ち上がったのだから。


 故にアーロは理解したくない、彼女は死ぬことが許されないのだから。彼女は次代のフォストを統べる者。戦場に出ているのも当人のやりたいことであること以上に、英雄となることでの拍付けの面が強い。だからこそ死んでしまっては何の意味もないのだから。


「だったらお望み通り、勝手に死になさい!!」

「私たちの生きるために戦う命、貴方方のような生きることを諦めた命で買うなどひどい侮辱にもほどがありますわっ!!」


 そして理解できないからこそ彼女らは今まで以上に苛烈にマギアウストを打倒していく。その命の使い方に価値を見出さず、価値のない物だと扱うからこそ容赦の必要がなくなるのだから。


「ザンバァァァァァっ! ソォォォォォッド!!」

「ザンバァァァァァっ! バリスタァァァァァッ!!」


 故にここで終わらせるとばかりに魔導力を限界まで引き出し、その力を解き放つ。


「スパァァァァダっ! テンペストォォォォォ!!」


 ブレイドザンバーが音すらも置き去りにして地を駆けまわり、超スピードにてザンバーソードを何度も何度も叩きつける。そのその威容嵐の如く。


「ディストラクションっ! スプレェェェェェェッド!!」

 ブラストザンバーから放たれる一本の魔導矢、それが次の瞬間倍に、さらに次の瞬間さらに倍にこれを繰り返しては視界に入る敵全てを正確に何本も貫いて行く。それまさしく、滅びゆく者への最後の花のようで。



「ふぅ、全滅……したけれども、時間稼ぎは成功ね」


 その光景を見ていたダーミラは、にやりと笑みを浮かべる。アレは確かに一度負けたがそれは三位一体などというふざけた現象の結果。では、それが崩された今、アレが暴れればどうなるかなど決まっているわけで。



 ズシンと、大地に何かが当たる音がした。マギアウストの大半を蹴散らした二人は確かにそれを聞き、嫌な予感を感じ。それの存在を思い出した。


「……よりによって、こいつがまた出てくるのっ……」

「えぇ、皇国にも腕がいい機械技師がいるとは知っていましたが修復の速度早すぎません?」


 二人はそれに対して悪態をつく、現れたそれが強いことを理解しているから。できることならもう二度と相対などしたくなかったのだから。


「ふん、本物の主人公は一度敗れたとしても何度でも立ち上がるんだ!」


 禍々しき、その巨人こそ。


「正しきものを救う箱舟、ギガントアークは何度でも蘇るっ!」


 ギガントアーク、再出撃の時が来たのであった。



「ザンバァァァァァ!! キィィィィック」


 そしてその再出撃に全力で水を差すようにその顔面に強烈な跳び蹴りがさく裂した。


「えっ、いやあのっ!?」


 その存在にアーロは困惑を隠せないでいた。この場に現れる存在をまるで想定していなかったからだ。


「いや、そんなはずあるわけがっ!?」


 ダーミラはそれを見て理解を拒んだ、自分の手で戦場に現れないようにしっかりと仕込んだのだ。その仕込みが完全に無駄であったなどと突き付けられて、はいそうですかと受け入れられる人間などほとんどいないのだから。


「くっ、忌々しいなぁっ! 貴様はぁっ!」


 庄司はその存在を見て怒りを爆発させる。前回の敗走の最大の要因がそれであったのだから。だからこそ、今度は確実に殺すと決意する。


「遅いわよ、まったく」


 エストはそれを見て、にやりと笑みを浮かべる。最初からやってくると分かっていたかのように。 それほどまでにソレを信用しているのだから。


「悪い悪い、こんなこともあろうかとってしたはいいモノの、効果が想定より悪くてさ……ってか、ここで出てこれた分だけ褒めてほしいぐらいだ」


 だからこそ、彼女の扱いに彼はそう答える。軽い調子で語る彼はここから全力で応えるとばかりに力を込めて。


「やいやいやいっ! ネルトゥアーレ!!」


 赤き巨人がギガントアーク、そしてその奥にいるであろう自身の敵に向かって人差し指を突き付ける。


「この俺が恐ろしかったのは分かるが、卑怯な手を使っても俺は倒せないぜっ!」


 そう、現れた彼の名は――。


「このゴウザンバーとクレアーツィ・プリーマのある限り、お前たちに勝利はないっ!」


 今一人の勇者が死の淵から生還し、ここに目覚めたのだから。

【こんなこともあろうかと】

 文字通りこんなこともあろうかと、ということでアイテムを駆使すること。

 クレアーツィは、思いついたらとりあえず作るという、ノリと勢いで魔導具を開発する癖があり、これがいろいろと役に立つものだったり、立たないものだったりする。

 そしてクレアーツィの研究室にはそういったものが大量に転がっている。 なおクレアーツィは自分が作ったモノであれば、一目見ただけでそれがどういったものかを即座に無駄に高度な部分まで説明することができる。

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