第25話 クレアーツィに女の影!? 甘い香りにご用心!!
【合体】
漢のロマンの一つ。今作においてはゴウザンバーをコアユニットとし、他のザンバーと一つとなること。
基本的に足し算ではなく乗算されるため、それぞれを別の機体として運用するよりも強くなるという強みと、どうしても一つになるため数が減るという弱点を有している。
なお、ゴウザンバートリニティだけでなく、ブレイドザンバーとだけ、ブラストザンバーとだけの合体のパターンも存在している。今後も開発されるであろう全てのザンバーの基礎仕様である。
俺たちがマルチドラゴネットでセンタウルの王都に向かい始めて数日が経過した。
センタウルという国はネルトゥアーレ皇国ほどではないがそれなりに大きな国である。国民というか人種的に走り回るということを楽しむ傾向があるからだとか、国民の足が速くスタミナもあるため他の人種に適した国土よりも広くないと非常に狭いからだとか、いろいろと言われている。しかしながら結局のところこの国は他の国よりも戦争が強かったからこうなっているという極々シンプルな結論がそこにはあった。
そんな国故に王都に到達するにはそれなりに時間がかかる。そして時間がかかるということは食料も多く必要である。そうなると必要なのが補給であり、俺たちはセンタウルの街の一つスキータにたどり着きそのまま食料品などを購入、搬入するついでに一日この町で過ごすこととなった。
これはその一日で起きた事件の話である。おっと、しっかりと名乗ってなかった、俺はクレアーツィ。クレアーツィ・プリーマ。大陸一の機械技師でこの事件の被害者である。
スキータに到着した俺たちはそのままそれぞれの目的をするために行動した。新入りであるエポンはエストたちが対応してくれるのだそうで、女性同士話すことでもあるのだろう。結論だけ言えば俺は一人で行動していた。
「別に寂しくはないんだが、それでも知らない街で一人ってのは……視線が気になるな」
当然の話ではあるがスキータの街にいる人々はセンタウル人ばかりだ、一目見ただけで他所から来た人間だというのが分かる以上、じろじろと視線が向けられるのは仕方がないというのは分かる、だけども分かった他所で気になるものは気になる。
「……寝ぐせとか、ないよな?」
ぽつりとつぶやきつつ、街並みにある鏡などでちらっと確認をする。パッと見たところ変なところがないことを確認する。正直なところ俺は人の顔などというものにそれなりにこだわりがあるわけではない、それでも自分の顔が世間一般的には整っている類だということは自覚している。
まぁ、モテたことなどないし、彼女もいたことはないのだが。
「だめだ、興味のないことでも惨めな気持ちになる」
「あらあらぁ、こんな色男を一人にして……みんな見る目がないのねぇ?」
だからこそこんな風に話しかけてくる人間を俺は当然警戒する。
「……お嬢さん、俺なんかに声をかけてどうなされたんです?」
正直なところ俺の顔を知っているとなるとそこまで多くはない、地元のリューションならばともかく他の国で俺の顔を知っているのは各国の上層部、もしくは機械技師の類だろう。
「あら、色男を見て声をかけたくなったからじゃいけないかしら?」
機械技師特有のしみついた油のニオイがしない、むろん機械技師になりたてだったり、異様なまでにそう言ったニオイが付くことを嫌っているタイプという可能性もあり得るが。そうだとしても確率は低いわけで、ほぼ間違いなく彼女は機械技師ではない。
「いやいや、俺なんぞよりいい男なんて星の数よりもいるだろうさ」
さて、自分の立場というものを考えれば大陸の未来にかかわるタイプの人間だとは自覚している。だからこそ、本職でも何でもないが探偵の真似事をしなければならない。
目の前にいるこの女、少なくともセンタウルの民ではない。どちらかというとリューション、もしくはネルトゥアーレ皇国系の民だ。
「あらあら、どうかなされたのです?」
そんな風に口にしながらこちらに寄りかかってくる。ロングの銀髪に褐色の肌、しかも肌の露出が異様に多い。
「なんつー格好しとるんだ君は」
……これはもしかしなくてもそういうお店への客寄せではなかろうか。いや、別にそう言うのを直接見たわけでも何でもないのだが。
「え、知らないの? 最近流行っているのよ」
……こんな服が流行っているのだとすれば俺はその流行りに乗りたくはない。後ろ指刺されてバカにされてもいい。
「まぁ、それはそれでいいや……何がお望みで?」
「そうねぇ、ちょっと一人で食事をとるのもアレだから、一緒にお食事でもどうかしらぁ?」
食事、エストたちにも食事代は渡しているし、好きに食べてから戻ろうと告げているので問題はない。
「この辺りで当たりのレストランをしってたり?」
「えぇ、もちろん知っているわよ」
彼女曰く、このあたりで前から仕事をしているのだという。なるほど、俺に向けられるような視線が彼女には向いていない。ということはそう言うことなのだろう。
「こんな格好も毎日見てたら慣れるってことか」
「何か言ったかしら?」
「なんでもない、気にするな」
「ふむ、結構いけるな」
「でしょ? センタウルの料理は甘いのが多いんだけどここのは特別に甘いのよ……まるで愛のようにね」
誘われた店に行けば、まぁ想像以上に美味しい店にたどり着いた。代金の方も確認して格安とまでは言えないが、相場よりも明らかに安いと言えるほどだ。
「ふふっ、それで聞きたいのだけれどあなた、何者なのかしら?」
「ただの旅人だよ、国から国にわたっては困ってる人を助けるってね」
「あら、まるでおとぎ話の王子様ね?」
おとぎ話の王子様、と来たか。褒めるにしてももう少しあるのではないだろうかと、そう問いたくなって仕方がない。
「はっはっはっはっ! 冗談きついぜ……俺が王子様って柄かよ」
それこそもっと相応しいポジションというものがある。俺は王子様というよりかは、その王子様を助ける爺のポジションだ。
「あら、いいじゃない、助けを求める人々に手を貸して去っていく王子様、格好よくて……都合がよくて」
「だからだよ、俺は賞賛も名誉もいらない」
「なら、なんのために戦うのかしら?」
「やりたいからやるんだよ」
だからこそ、俺はゴウザンバーと共に戦うのだ。だからこそ勝たねばならない……俺がやりたいのだから。
「あーら、だったら頑張ってみなさいよ……正義のヒーローさん」
食事を終えた俺に対して彼女はそう言って去っていった。ところで一つ気になったことがある。
「俺は戦う人間だなんて名乗ったことは一度もないんだけどな」
つまりは、俺が何らかの形でそう言う人間だと知っていたということだ。おそらくその程度の情報がバレたところで問題がない奴か、演技がものすごくへたくそな奴である。
「……医者にちょっと見てもらうか?」
【クレアーツィの女性関係】
顔は良いのだがモテない。マジでモテない。
主な要因として機械技師特有の油のニオイや、人の事よりも自分の機械技師としての活動を優先することなどがあげられる。
それでも彼のことを嫌うという人もあまりおらず、男性として見られていないのでは?と当人は気にしていたりする。




