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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第一章 ギガントアーク編
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第23話 消えた村の謎! センタウルへの道

【ザンバーバーニング】

 ゴウザンバートリニティの持つ特殊能力とでもいうべき力。

 魔導力をトリニティの全身に限界まで流し込むことで、本来発揮できないほどの破壊力を求めるための暴走状態一歩手前のソレ。

 これを瞬間的に発動することで、通常時の数倍から数十倍まで性能を向上させることが可能とクレアーツィは推測している。

 また、全身を魔導力が覆うことにより多少の攻撃であれば防ぐことができるバリアのような働きが発生している。

 ただし、当然それ相応のリスクがあり、最悪自爆する。

「まぁ、俺たちは空を行けるからすいすいと進めるが、本来なら結構な距離なんだよなぁ」


 クレアーツィたちの旅路は順調と言えた、本来数カ月はかかるような距離であっても、数日で向かうことができる。マルチドラゴネットの性能はいかんなく発揮されていた。


「とはいえ、大きいから目立つ以上気を付けないとなのよねぇ」


 それもまた当然であった、遮蔽物のない空。非常に大きな空飛ぶ船など現在このマルチドラゴネットしか存在しない。大陸一の国家であるネルトゥアーレ皇国の軍にもこんなものは存在しないのだ。故にネルトゥアーレ皇国からすれば一目見ればわかる的である。攻撃されないのは三機のザンバーの性能が広く知れ渡っているからであろう。マギアウスト単機ではもう勝ち目はないのだと。故に攻撃を仕掛けられるのであれば、それ相応の数で攻めてくるものだろうと予測されていた。


「……あの、アーロさん、私の気のせいですかね?」


 そんなある意味では穏やかな旅の途中、竜希は何かに気が付いた様子でモニターのある一点を指さす。そこには確かに森の中から黒い煙が上がっていたのだ。


「アレは……狼煙にしてはただ燃えてるだけにしか見えませんわね……クレアーツィさん」

「あぁ、もうセンタウルには入ってる……何かが起きてるかもしれない、行くぞ」


 何かが起きているかもしれない、ただそれだけで彼らが行動する理由になる。結局のところ何もないのならそれが一番いい。だけど何かがあるのなら確認しておかないと後々自分たちを苦しめることになるかもしれないのだから。



 結局のところそこに在ったのは黒であった。焼けて炭となった建物や家具、そして人がそこにはあった。ただしその人だった炭の姿を見て竜希はどこか違和感を感じていた。


「あの、この方たちは――」

「センタウルの民は四つ足だ、馬のようなその肉体を持ちながらもすぐれた知性を持つ人々だ」


 当然の話だが、その話を聞いて竜希は驚きを隠せなかった。いいとか悪いといった話ではない、こういった別の種族でありながら同じ人間として扱われる人々がいるということを。


(前世で言えばケンタウロスとかそういう感じの人たちがここには住んでいたんだ)


 などと自身の知識と照らし合わせながら、この異常な状態でも自分を見失わないように、マイペースを貫こうとしていた。場の空気をまともに受け止めていればあまりにも酷い惨状に心が壊れてしまう、そんな気がしてしまっていたから。

 そしてそんな中であることに気が付いていた。


(フォストの人は耳がとがってて長生きってことはエルフみたいな感じの人たちの国なんだ)


 そうなってくると他の国はどうなのだろうかと気になってしまうのは当然であった。知らないことを知りたい、つまりは好奇心というものはある意味で人間らしさの一つである。故に軽く問いかけた。


「他の国の人たちはどんな人がいるんですか?」

「リザーディアだとトカゲみたいな人だな、鱗が全身を覆ってて」


 そんな具合で、この惨状に参っていた面々が口々にいろいろな国の人たちの話をする。それは多種多様な人種というかもう別種のソレであって。


(思っていた以上にファンタジーの異種族とかそういうのがいっぱいいるんだなぁ)


 なんて気の抜けた感じで思ってしまうのも仕方ない程度には、好奇心をくすぐるというかもう一周回って冷静になってしまっていた。

 そうして立ち去ろうとした彼らの耳に何かが向かってくる足音が聞こえた。


「クレアーツィ、竜希のことは任せるわよ」


 そう言って先頭に立つのは騎士団長であり、生身での戦いであればこの場で最強のエスト。宝剣をその手にしながらやってくる気配に向かって剣を向けていた。


「とはいえ、何が来ても対応しないといけませんわね」


 その後ろにいるのがアーロ、スリングショットをその手にエストを後方支援する形で耳を澄ませ他に何かが現れないかと身構える。


「騎士とは言え、その辺りはただの凡人の俺が頑張らなくてもいいようにしてくれよ」


 苦笑いしながら、竜希を抱きかかえながらそう告げる。この場では下から数えたほうが早い強さの彼にとってこの状況は仕方がないモノであり、適材適所という奴だと考えていた。この場ですべきなのはマルチドラゴネットに帰還しゴウザンバーで戻ってくる。それが一番安全なのだと。


「村を焼いてまだ足りないのかぁぁ!!」



「なんとっ! うわさに聞いたあのゴウザンバーの!」


 結論だけ言えば彼らの警戒は非常に無駄なものであった。

 やってきたのは一人のセンタウルの民の少女、黄褐色の髪の色、そして人間の腰から下にあるのは栗毛の馬の首から下という、ある意味では異様とも取れる姿。


(あぁ、やっぱケンタウロスだわ)


 などと想像していた通りの姿であったと、どこか内心では嬉しい竜希であった。


「と、申し遅れました私はエポン、この村のただ一人の生き残りです」


 そしてそれと同様に想像通りの最低な事実もまた突き付けられることとなった。

【ネルトゥアーレ大陸の人々】

 それぞれの国にはそれぞれ異なった人種の人々が住んでいする。我々の感覚で言えばフォストの民はエルフのような、センタウルの民はケンタウロスの様な姿をしている。他にも多種多様な人種が住んでいるものの、基本的には人種が混ざり合った国というのは少ない。ネルトゥアーレ皇国がその数少ない例外の一つである。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] まだ二人ですが転生者が二人とも前世の名前名乗ってるんですが、これが転移者ではなく転生者だというのなら前世の記憶思い出したら今の記憶が塗りつぶされてしまうパターンなのか、最初からこの世界…
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