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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第一章 ギガントアーク編
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幕間 これまでの話 ずっと先の話

 いつかの日、俺は夢を見た。


 俺の知らないどこか、地面すらない星々の世界。


 そこから来る滅びの群れ。


 それはただの悪夢でしかないわけで、当時ただの子供でしかなかった俺は思いっきり寝小便をした。


 当然のように育ててくれた使用人たちにはいろいろと言われたが……笑い話として流そう。


 大事なのはその夢を何度も何度も見ていたことだ。


 いつもいつもそのどこなのかもわからない場所で滅ぼそうとしてくる化け物に襲われて、気が付いたら目を覚ます。


 ただそれをひたすらに繰り返していた。


 だけどあの日の夢は少し違った、その続きを見たんだ。


 あの日俺は確かにいつもの夢通り滅びにのまれて死んで目覚めるはずだった。




「こいつをくらいやがれェ!!」


 だけど、その滅びを殴り倒す何かを見た。


「大丈夫かっ! ここはこの俺と■■■■に任せて逃げるんだ!」


 彼の語った言葉は俺には理解ができなかった、どこか遠い国の言葉なのか。


 それとも、そもそもあの日の、そして今の俺が、理解していい言葉ではなかったからなのか。


 だとしても、俺はその姿が魂に焼き付けられた。


 そこにあったのは鋼の巨人だ、それも彼だけできなかった。


 彼と共に戦うために、姿形も大きさも何もかもが統一されていない軍団が現れた。


 その一つ一つの姿もはっきりとは見えない、恐らくはあの日の俺が認識してはいけないものだったのかもしれない、そして今もそうなのだろう。


 二つ確かなことはある。


 一つはあの軍団は滅びに抗うために集ったのだろう。


 そうでなければあんな地獄にのこのこと出てくる理由がない。


 たとえ決まっている結末だとしても、それでもと抗う権利位はみんな持っていていいモノなのだから。


 そしてもう一つ、俺は……クレアーツィ・プリーマという男は、あの日の夢のせいで人生の捧げ方を決めてしまったのだろう。


 鋼の巨人を確かに生み出してあの日の彼らと共に戦うのだと決めてしまったのだ。




 なに不自由ない生活、というものを聞いて皆はどう思うのだろうか。


 結局のところ私にはとてもつまらないモノであった。


 努力一つする必要がないとは、逆説的に努力する機会が奪われるという奴だった。


 ……いや、ただの言い訳で努力する機会はなくても作ればよかった。


 それでもあの時の私にはそれをする気にすらならなかった。


 無気力だったという奴だろうか、それとも……何もかもに価値を見出せなかったからだろうか。


 だから私はあの日死んだのだろう、それなりにお金持ちの家に生まれていた私を誘拐して、私を使ってお金を手に入れようとした誘拐犯。


 それに逆らって、自分から心臓を止めたのだ。


 生きることをやめたのだ。



 そして気が付いた時には私は森の中にいた。


 いや、それは嘘だ、その前に私は何かわからない場所にいた。


 そこで私は何人かの人型のそれに声をかけられた。


「今死んだばかりの君にする話じゃないとは思うんだが、君に一つ頼みたいことがある」


 なんという話だ、彼らは死人に働けというのか。


 確かに私は恵まれた生まれをしていた、けれどもノブレス・オブリージュだとかそういう話でも、そこまでのことはさせないだろう。


「誰も知らない、俺たちの兄弟が生まれる前に滅び去ろうとしている」


 はっきりと言って今でも訳が分からない、誰も知らないのにあんたたちの兄弟だとなぜ分かるのだ。


「諦めない心と守りたいものを絶対に守るという優しさ、そういった大事なものを感じるから兄弟だ」


 なんて返してきたもんだから。


「ふふっ」


 おかしくておかしくて笑ってしまった。そして彼らもそれにつられて笑いだす。


「ははっ、生まれてからの一番の笑顔じゃないか?」

「かも、それで私に何をしてほしいの?」


 なんとなく、やりたいことをやらなきゃいけないことを見つけた気がする。


 だからこそ私も自分の意思で問いかけた。


 何をすればいいのかを。


「それは君が決めるんだ」

 彼らはそう告げる、男が、女が、子供が、大人が、老人が。


 例外なくすべてが確かにこちらを見つめながらそう口にした。


 私のしなければならないことは私が決めるんだと。


「……それで、私がその兄弟を殺したとしても?」

「あぁ、それでも確かにその兄弟は生まれられる」


 そう彼らが口にするとともに、私の足元に大きな穴ができた。


 当然の話だが私はその大穴に落ちて行く。


「きっと、辛いことも嫌なこともあるはずだ……だけど、それでも笑って進める未来があると信じてくれ」


 そんな風なことを言われながらも、私はどこまでもどこまでも落ちて……いや、降りて行った。


 自分の意思で歩いて行く……そうして気が付いたら。



 私は森の中にいた、どことも知れない森のなかでずっとずっと歩いていて。


 私を助けに来たのは白馬の王子様じゃなくて、どこかおかしい赤い炎の機械技師だった。


 私の名前は財前寺竜希、こことは違い世界で生まれ一度死んだ女。


 そして二度目の生で世界を救うと決めた女。


 たとえ何が相手であってもこの意志は変わることはないだろう。



 結局の所どこで間違えてしまったのかと言われれば、そんなこと分かるはずがないとしか言えない。


 どこかの馬鹿がやらしたことが原因で大陸に滅びがやってきた。


 だけどそのバカのやらかしはいったいいつどこでしてしまったのだろうか。


 まぁ、そんなことは大事な事じゃない……目覚めるべき魔の鎧は動きを止めた、赤いザンバーの動きが止まった。


 あぁ、鋼の巨人はここで終わってしまうのだろうか。


 できればこうはならない世界があることを望む。

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