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魔鎧戦記ゴウザンバー  作者: 藍戸優紀
第一章 ギガントアーク編
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第17話 第三のザンバー!王女様のために建造せよ

【クレアーツィの魔導具開発の方針】

 その場その場で作りたいものを作るという、ある意味で無計画な考え方をしている。

 生活の中で困ったことがあればそれを解決するものを作る、位の方針はあったような気がしないでもないが、それならゴウザンバーを作る理由がない。というのがクレアーツィ自身の立場。

 子供たちの元を離れ、そのままそれらしい観光名所を巡って一日を費やしたクレアーツィ一行。

 彼らは現在マルチドラゴネット内にある、クレアーツィの研究室にいた。


「さて、第三のザンバーの開発テーマは遠距離戦、及び後方支援型のザンバーとなる」

「この私の専用のザンバー、それ相応の武装は用意していただけるのですわよね」


 にやりと笑うアーロの問いかけに、クレアーツィも当然と返答する。


「自衛のための近距離用カスタムされたザンバーショットが二丁」


 そう言いながら設計図を開いてはザンバーショットが描かれている部分を指さしていく。


「後は弓、銃、砲の全てに問題がなく扱えるんだったよな?」

「えぇ、少なくともこの国では一番ですわ」


 自信満々に語るアーロを見ては、クレアーツィはならば良しとばかりに笑みを見せる。


「先ず両肩に搭載されているのがザンバーキャノン、魔導石に流す魔導力のバランスで放たれる魔導弾も性能が変わる、その辺りは感覚で覚えてくれ」


 そう言って告げられた武装、設計図には理論上の最大射程なんかも記されており、前々から何からの形で作り出し搭載する気満々だったことが分かる代物で。


「で、これが手持ち武装のザンバーバリスタ、強力な弓矢だな」

「あら、態々弓矢にするということは―――」

「あぁ、矢は魔導力を採用している、もちろんこれも魔導力のバランスで――」

「性能が変わるのですわね」


 納得した様子で首を縦に振りながらアーロは問い返す。


「同時に複数の敵を攻撃する、矢を分裂させるなどしろということなのでしょう?」

「できるならやって欲しいね」


 と、問に対してクレアーツィは答える。できないなら仕方ないけどできるならやって欲しいことだと。そしてその上でできるのだろうと視線で告げていて。


「あら、できないなんて言ってませんわよ?」


 それに対してできて当然だとアーロは返答して見せていた。そんな会話を見ては不満そうな顔を見せていたのが一人。


「クレアーツィ、どうして私のブレイドザンバーは武装がザンバーソードだけなのよ!?」


 それこそ、つい最近自分の愛機を手にしたエストであった。武装の量の差に不満を隠せない様子でクレアーツィに詰め寄って。


「いや、お前の要望全てに答えたら他の武器積めねぇんだもん」


 と、真顔でそう突きつけられることになってしまっていた。


「な、ど、どういうことよ!?」

「機動力を重視したから下手に重くできない。だけど魔導石の適正の問題で魔導力をそのまま攻撃に転用する武器にお前は対応してない。結果武器を積むことはできても意味がない。デッドウェイトにしかならない」


 正論であった、まごうことなき正論であった。使えない武器を装備しても意味がないことは誰にだって分かる話であった。

「それでもいいなら適当に何か搭載してもいいぞ、使いにくくなるだけだけどな」


 苦笑いしながら、お前の要望なら無理してでも叶えてやるぞとばかりに、クレアーツィはエストに笑みを向けていた。エストはその姿を見て泣きたくなったが我慢した。騎士団長だから我慢したし、竜希が見ているから我慢した。立場も見ている人もいなければ泣いていた。


「ふむふむ、他にもいろいろと装備があると、いろいろと試してみるのがよさそうですわね」

「ん、実際の所俺もこの手の射撃武装って武装を作るのはあんまりしてなかったからなぁ。……バスターショットはその第一号なんだが、その分性能もしょっぱくてな……。もともと兵器系は俺のメインの分野じゃなかったのもあるんだけど」


 その発言を聞いて竜希は非常に驚いた。彼女にとってクレアーツィと言えばゴウザンバーなどのザンバーの生みの親であり、皇国のマギアウストの元々の設計をしていた人物なのだから。


「クレアーツィさん、もともとどんなの作ってたんですか?」


 故に純粋な疑問からの問いかけをすることになり。


「魔導力を注ぐと一カ月ほど虫とか小動物が家に入らなくなるような魔導具が一番の売れ筋商品だ」


 ただの便利商品がとびだしていた。


「あぁ、あとは軍で使われてるのですと通信機ですわね。紐づけしあった物同士でしか使えませんけど」

「下手に悪口言ってるのが当の本人にバレたらいらんことになるからな」


 その後も出るわ出るわの発明品、しかしながらその話を聞いていた彼女からすると。


(ファンタジー世界なのに前世の日本みたいな生活できてるのはそう言うことだったか!?)


 それはもう現代日本の便利な生活の必需品って感じの道具が大量に提供されていたのである。都合がいいファンタジーかと思ったら、現代の生活をファンタジーで再現されてるような感覚であった。


「で、どうしてゴウザンバーとか作ったんですか?」


 だからこそ気になった、良くも悪くも現実的な発明品を作っていた人が急にスーパーロボットを作り出した理由が。


「なんとなく」


 理由が理由じゃなかった、こんなもんを理由にされても誰も納得しない。頭を抱えたくなったものの、もう考えるのをやめて受け入れることにした。


 なぜならば深く考えたところで本当に理由などないのだと、そう言うタイプの人間だと察していたから。クレアーツィにとって、もともと作っていたものもゴウザンバーもやりたいから作ったモノにすぎないのだ。だから他のモノもそうなのだろうと理解できたのだ。


「……だからこそ、そのなんとなくで皆を幸せにできる世界のままであってほしかったなぁ」

【第三のザンバー】

 クレアーツィが開発しているアーロ専用のザンバー。

 設計思想は完全なる遠距離戦特化、後方からの支援と砲撃戦のための機体。

 非常にクレアーツィ自身の作ってきたものとは違う故に苦戦を強いられている模様。

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