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呼び出し

 ちょっとしたひと悶着があったものの自体はひとまず収束した。


 まだ納得できないところはあるがそこはまあ後で話し合いだ。


「とりあえず、捕まえたけどこの後はどうするんだよ」

「どうしますか?」


 俺たちは無事に刺客を生け捕りにし護衛としての仕事をこなした。なので、お嬢にこいつらをどうするか聞いてみた。しかし、今回はいつもと違って決定権はお嬢にない。そこでお嬢は教皇様に確認を取る。


「警備の者が来るはずなので、その者たちに引き渡してください」

「わかりました」


 警備の者がいるはずってことはこいつら警備の目を掻い潜って来たのか。確かに今にして思えば教皇様の周りが無防備ってことはないだろう。当然だ。にもかかわらず、そこを突破して来たこいつらは余程の手練だったのかもしれない。そう考えると生け捕りを成功させた俺たちって結構凄いのかもな。


 とはいえ、戦闘中にこの傭兵は気になることを言っていた。その確認もできることなら今取っておきたい。


「これで戦争はなしになるんだよな?」

「どうかしらね」


 おいおい、これで戦争が起きたらやるせないぞ。せっかく頑張ってこいつらを生け捕りにしたのに取り越し苦労の骨折り損じゃあ納得できない。


 なのに傭兵は押さえつけられたままの姿勢で悟ったように俺に語りかけてくる。


「遅いか早いかの違いだ」

「どっちみち戦争は起きるのかよ」

「そりゃな」


 なんだよそれ。俺たちの苦労を返してくれ。まぁ、俺は大したことしていないけど、戦争なんてされちゃあ後味が最悪だ。そこのところを教皇様もなんか言ってほしいね。


 しかし、傭兵はこちらの心境など気にせず話を続ける。


「俺も南が荒れていたから傭兵として飯が食えていたくらいだしな」


 床に押さえつけられながら自慢気に語られてもな。


「そいつも戦場で拾ったくらいだ。まぁ、そいつは手先が器用だから使い道も連れてく意味もあったが、そうじゃないやつは野垂れ死ぬ。大人も子供もな」

「そりゃ酷いな」

「場所にもよるがな」


 薄々わかってはいたが、これはどうしようもなさそうだな。どうせならすっきりした気分で終わりたかったが無理らしい。どうやら南との戦争は避けられないみたいだ。


 まぁ、南ってのもどこかよくわからないし、戦争は良くないだろうくらいの気持ちで考えていたから極論をいうとどうでもいい。避けられるなら避けさせてあげたかったという感じだ。


「だから、こうして遠路はるばるやって来てもっと荒らそうと思ったんだが、結果はこの様だ」

「もっと慎重に動くべきだった……」

「ヒュドラがいたおかげで、英雄様も手一杯になると思ったんだけどなぁ」

「反省会してんじゃねえよ」


 二人仲良く何話してるんだか。今更そんなことしても意味もない。どうせ捕まって終わりだ。教皇様を殺そうとしたんだからその後も処刑とかだろ。


「教皇様!」


 ようやく警備の者が来たようだ。気づかれずに侵入されていたのに気づけたことに感心すべきか、あっさり侵入されていたことに呆れるべきかわからない警備さんが血相かえて執務室に入って来た。


「この者たちを牢へ」


 しかし、教皇様は落ち着いた様子で警備兵に指示を出す。そうして傭兵たちは連れていかれた。


 そして、この日の護衛は終わった。一応日が暮れるまで護衛は続けたがその後は何も起きることはなかった。因みに冒険者組合へ帰る途中は色々な意味でサンセンタは賑やかだった。教会は刺客の処理について。外はヒュドラ討伐に喜んで。一日でこの国は沢山の出来事を処理しなければならない。良くも悪くも忙しそうだ。


 あとレックスたちは治療中らしい。大きな怪我はなかったそうだが、やはり負担は大きかったようだ。外の騒がしさを他所に一日安静を言いつけられたと聞いた。


 そして、俺たちは一日を終えた。


 ◆◆◆


 翌日、何故かまた教皇様に呼ばれた。


「護衛はもういいって聞いたけどな」

「そうね」


 俺たちはケラーデさんを先頭に以前通った教会の廊下をまた進む。このルートは教皇様と初めて会った部屋に続く廊下だ。また何か話してもするのだろうか。


 そして、導かれるままに部屋に入ると教皇様とレックスたちが先に待っていた。


「何度も呼び出して申し訳ありません」

「いえ」


 お嬢は教皇様の言葉に軽く頭を下げて席につく。


「レックスたちもお疲れ様」

「ありがとうございます」


 俺たちもヒュドラ討伐の祝いを込めて言葉をかける。すると各々軽く頭を下げた。


「皆さん昨日はお疲れ様でした」


 そして、教皇様が総括をするかの様に全員に言葉をかけた。また教皇様は全員が揃ったのを確認して話し出す。


「今日は皆さんに聞いていただきたいお話があります」

「お話、ですか」

「ようはただの雑談か?」

「そんなところです」


 俺が元も子もない質問をすると教皇様は穏やかに微笑み肯定してくれた。


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