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会議は踊る、されど進まず

 なんとも気まずい雰囲気になってしまった。


 ひとまずお嬢たちは杖や剣といった得物をテーブルの側に置いて腰を落ち着けることに。またケラーデさんも俺たちのもとから離れてレックスの方に移動する。これで話す準備は整った。レックスたちもお嬢の説明を待っている。


 しかし、お嬢はなんと説明するつもりなのか。教皇様からは護衛について軽い口止めをされた。というのも、教皇様に『レックスにはヒュドラに集中してほしいのです』と言われたのだ。そう言われると事細かく説明はできない。もちろん、それでレックスの気が散るようなら言ってもいいと言われているが、その匙加減は俺たちには難しい。


 お嬢はどうするんだろうか。


「一言で言うなら、別件ね」

「別件、か」

「ええ」


 無難な答えだ。あと簡潔でわかりやすい。


 それに別件といえば深くは聞きづらい。なにせ俺たちは冒険者なのだから。レックスたちとは関係のない依頼を受けることもある。なら、当然詳しい説明なんてできるはずがない。信用に関わるからな。


 なので、レックスも深くは追及できないと思ったのか黙り込む。しかし、エンリちゃんは納得いってないらしい。


「別件とはなんですか?」

「言えない」


 個人情報とかあるしさ。


「どこでなにをするんですか?」

「だから、言えないって言っているでしょう」


 プライバシー無視かな?


「巫山戯ないでっ!」


 いや、沸点低いな。二回のやり取りでキレるなよ。もうちょっと我慢なさい。こういうのはせめて三回は待つものなんだよ。


「別に巫山戯てないわ」

「巫山戯ているに決まってる! 協力すると言っておきながら、出す戦力はたったの人一人! それでなにが変わるって言うのよ!」

「僕一人ではご不満ですか?」

「当たり前でしょう!」


 カッカしすぎだ。それにベクトルに失礼だろ。よくもまあそんな面と向かって喧嘩を売るものだな。逆に感心するわ。


 とはいえ、当のベクトルはどこ吹く風といった様子。全く気にしていないらしい。流石はベクトルだ。うちの鋼メンタルはその程度の精神攻撃には屈しない。もしダメージを与えたいのならベクトル特攻であるお嬢を装備しなさい。確定クリティカル入るぞ。


 まぁ、それはともかく。


「今ヒュドラ以上の問題はないはず! なら、別件など後回しにしてこちらに全力で協力するべき! 出し惜しみしているとしか思えない!」

「してないしてない」


 いやいや、睨むなよ。別にふざけているわけじゃない。


 ベクトルは結構な戦力になるはずだ。俺とフィオが現れるまではベクトルが前衛を務めていたんだからな。それこそお嬢と二人だけで戦闘が問題ないレベルでこなせるほどだ。そんなベクトルが戦力にならないはずがない。


 しかし、エンリちゃんにそれは伝わる様子はない。今も非常に興奮している。エンリちゃんには是非とも落ち着いてほしいものだ。もう昨日の二の舞いに成りかけている。


「エンリ、詳しくは言えないが別件は教皇様が出したものだ。蔑ろにしていいものじゃない」

「勝手にっ!」


 ああ、せっかくケラーデさんが軽いネタバレをしてまで宥めてくれたのに効果はいまひとつのようだ。また別のお怒りスイッチを押してしまったらしい。エンリちゃんの顔が真っ赤になってる。


 しかし、ここで英雄様が声を上げた。


「ケラーデ、決まったことなのか?」

「ああ」

「わかった」


 この短いやり取りでレックスは納得したらしい。そうなるとエンリちゃんも渋々ながら納得したようだ。お兄様を無視して怒り続けることはエンリちゃん的にもよくないのだろう。


 ここでようやく部屋の雰囲気が落ち着いた。これで少しはまともな話ができるだろう。まだ話さなければいけないことは沢山あるからな。


「お話はわかりました。しかし、質問があります」

「なにかしら」


 ここに来て今まで大人しかったルーフェちゃんが質問をする。


 まぁ、ルーフェちゃんならエンリちゃんみたいに同じ質問を繰り返すことはないだろう。それに終始落ち着いて話を聞いていたようだから、おかしな質問をすることもなさそうだ。きっとある程度は教皇様の意志も汲んでいるに違いない。安心して聞くことができる。


「ベクトルさんは大丈夫なのですか?」

「大丈夫、とは?」


 しかし、ルーフェちゃんの質問はあまりにも要領を得ないものだった。ベクトルも質問の意図がよくわからず聞き返してしまっている。


「失礼だとは思いますが、実力の方は……」

「ああ」


 なるほど。そういうことか。それは確かに気になるな。


 それにルーフェちゃんにベクトルを馬鹿にしてる感じはみられない。どちらかというと凄く心配してるし申し訳なさそうにもしている。別にそこまで気にする必要はない。当たり前の疑問だろう。


「僕は全く問題ないと考えています」

「なにを根拠に」


 またエンリちゃんが突っかかって来た。普通に聞けないのかね。流石にしつこいぞ。段々鬱陶しくなってきた。


「逆になにが駄目なんだよ」

「はぁ?」

「ひふへほぉ?」


 そんなに激論を交わしたいなら受けて立ちますけどねえ? 癇癪玉ガールさんよぉ?


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