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 最終的に教皇様はベクトルの魔法の言葉に驚きつつも、俺たちの協力を了承してくれた。また、ケラーデさんもあの摩訶不思議な展開に戸惑いつつも非常に感謝してくれた。


 まぁ、慣れるまではあんなものだろう。ベクトルの情熱は異常だからな。尚慣れる必要があるのかという質問は受け付けない。


 そうこうして俺たちは教皇様の部屋から失礼して、レックスたちに協力のことを伝えるために冒険者組合へ来ていた。ケラーデさん曰くレックスたちはだいたい冒険者組合にいるそうだ。


「この時間はいつもヒュドラに対する作戦を話し合っているんだ」

「へえ」


 ケラーデさんは組合の廊下を進みつつ俺たちにそう説明する。


 しかし、いつもとは真面目だねぇ。ちゃんと息抜きをしてるのか心配になる。あまり根を詰め過ぎるとよくないからな。もしやその辺りの理由からもレックスの不調が長引いているのかもしれない。知らんけど。


「ここだ」


 ケラーデさんは目的の部屋の扉をノックをして入室した。そして、俺たちもケラーデさんの後に続き入室する。


「昨日ぶりだな」

「頑張ってるねー」


 そう言って俺たちが労いの言葉をかけるとレックスは大いに驚いていた。


 ちょっとしたサプライズのつもりだったが、レックスたちは違ったみたいだ。レックスは固まってるしルーフェちゃんは目を見開いている。そして、エンリちゃんにいたっては立ち上がりかけている。


 そんなに驚くとは思わなかった。落ち着け。


「どうして……」


 驚いているわりに的確な質問だな。その四文字はどれほどの意味が込められているのやら。


 しかし、どうしてと聞かれると困る。話せば長くなるからな。教皇様に呼ばれて未還の魔術の話をしてヒュドラについて相談をした。そして、護衛の依頼を受けたついでにヒュドラ討伐に協力することになった。


 なんというか、長いというか面倒だな。


「レックスも未還の魔術の話は聞いているはずだな?」

「あ、ああ」

「そのことで教皇様とな」

「……それか、わかった。けど、尚更どうしてここに?」


 マジか。それでわかるのか。


 まぁ、この国の人にとって未還の魔術が重要なことであるのは嫌というほど理解はしている。だから、英雄であるレックスが話を聞いていること自体はおかしくない。だが、話の内容まで察するってマジか。レックス凄えな。


 とはいえ、ここに来た目的まではわからないらしい。まだよくわからないといった様子だ。


「教皇様から正式に協力の依頼が出たんだ」


 そこでケラーデさんはレックスに詳しく説明した。レックスの不調。総力戦のこと。それにレックスは反対するだろうということを。


 レックスは説明の最中終始重苦しい表情だったが、落ち着いた様子で話を聞いていた。またそれは他の二名も同じだった。


「そこで教皇様は彼らに正式な依頼を出した」

「そうなのか」


 説明を聞き終えたレックスは少し悔しそうではあったが、心のどこかで安心しているようでもあった。


「昨日はまともな話ができていなかったから、依頼を受けてもらえないんじゃないかと心配していたんだ」

「自覚はあったんだね」

「ああ」


 レックスももの凄く苦笑いをしていることから心配具合がうかがえる。


 まぁ、その心配もほとんど側でしかめっ面のエンリちゃんが原因だけどな。


「けど杞憂だったみたいだ」

「そうだな」


 ヒュドラ討伐の依頼を受ける気は元々あったから、杞憂という言い方も間違いではない。しいて言うならタイミングがよくなかった。


「では、ヒュドラをともに討伐しよう!」

「はい。よろしくお願いします」


 レックスは希望が見えてきたのか明るく声を上げた。そしてその声にベクトルが丁寧に応える。


 しかし、俺とフィオとお嬢は応えることない。護衛の依頼があるからな。


「どうしたんだい?」


 そのことに違和感を覚えたレックスが返事をしなかった俺たちに尋ねる。


「ヒュドラ討伐への協力はベクトルだけよ」

「は?」


 またびっくりしてる。けどまあ、これは俺たちが悪かったかもしれない。言い方がよくなかった。


「どういうことですかね?」

「どうもこうも言った通りよ。私と従魔たちはヒュドラ討伐に参加できない」

「悪いな」

「ごめんね」


 後出しジャンケンみたいで悪いな。


 エンリちゃんのその表情も今は正しい。おそらくレックスたちは俺たち全員が協力するものだと勘違いしたのだろう。だが、蓋を開けてみれば協力者はベクトルただ一人。


 期待を裏切るようなことをしてしまった。


 にもかかわらず、レックスは取り乱すことなく落ち着いてお嬢を見据えていた。流石に英雄様は違うね。


「なぜですか?」

「詳しくは言えないけど、それでもいい?」

「ええ」


 そこで俺たちはようやく席につきレックスたちと向き合った。これからの話し合いが昨日のようなことにならないことを祈るばかりだな。昨日は荒れに荒れたからね。全く。


 わかっているのかね。君のことを言っているんだよ、エンリちゃん。


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