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ここでは……

「で、なんの用なんだ?」


 取り敢えず、黙ってケラーデさんの後に続いているけど、今だに説明がない。


 少しくらいは説明して欲しいんだが。


「すまない。ここでは話せない」

「あっそう」


 歩きながら話せるような内容じゃないらしい。


 もしかしてヒュドラの話か?


 それなら、確かにここではできない。なにも知らない一般人の耳に入れたくはないもんな。もし聞かれたら無駄に心配させてしまうだろうから。


「……しかし、なにも説明しないのは筋が通らないな。とはいえ、やはりここで詳しく説明することはできない。なので、簡潔に言う。話は主に君たちについてだ」


 そう言ってケラーデさんは歩く速度を少し落として俺とフィオを肩越し見る。


「私たち?」

「ああ」


 そういう言い方をされると薄々わかる。


 ここに来る前にこうなる可能性も考えていたしな。


「未還の魔術の話か?」

「そうだ」


 やっぱりな。


 そのうちその時が来るだろうなとは思ってはいた。まぁ、流石に今とは思わなかったが。


 それにこの国にとってはやはり大きい問題なんだろうな。俺が未還の魔術と言った時、ケラーデさんが一瞬だけ申し訳なさそう顔をしたからな。


「いつ知ったんですか?」

「昨日だ。君たちと別れた後に組合長が教えてくださった」

「そうですか」


 あの話し合いの後か。


 あの後に聞いたってことは、さぞかし悲惨な空気になっていただろうな。


 散々言った相手が国にとっての重要人物だったわけだからな。お察ししますよ。


「元々組合経由で教会に報告は上がっていた。しかし、確認は慎重に行っていたそうだ。なにせ内容が内容だからな」

「見ればすぐにわかりそうなもんたけどな」

「私たち目立つからねぇ」


 まぁ、実際に見るのと報告で聞くのとでは違うよな。


 俺たちはかなり特徴的であると自覚している。けど、実際目の当たりにすると戸惑うし混乱するだろう。だから、しっかりとした確認をしたくなる気持ちもわかるし、必要なことなんだろうとも思う。


「にもかかわらず、昨日はあんなことになってしまって……」

「今はいいって」

「昨日のことだしね」

「そうか……」


 こんな道端で申し訳無さそうな雰囲気全開にされても困る。


 俺もフィオも言うほど根に持ってないんだから。それはお嬢やベクトルも同じだろう。


「とにかくだ。私も君たちのことを改めて上に報告させてもらった」

「それで呼び出しされたって?」

「そうなる。すまないがこれ以上ここでは無理だ」

「そうか」


 ついに国のお偉いさんに見つかったのか。なら、呼び出されて当然だな。


 ヒュドラの騒動がなければ、もっと早くに呼び出されていてもおかしくない案件だろうからな。むしろ遅かったくらいだろう。


 これは確かにケラーデさんの言う通りだ。歩きながら説明できる類の話じゃない。もっとちゃんとした会議室っぽいところで話すようなことだ。


「目的地は教会ですよね?」

「ああ」

「よくわかったな、お嬢」


 俺はなにも考えずについて行ってた。


 まぁ、ぼんやりと役所的なところに行くのかなと推測はできるが、教会に行くなんて思いもしなかった。


 やっぱりお嬢はよく考えているなぁ。


「ケラーデさんは教会騎士団に所属しているって言ってたでしょうが」

「その騎士団の上ということはサンルーブ教でそれなりに立場のある方になりますからね。そうなると目的地は立場ある方が居る場所、つまり教会ということです。そして、もう少し具体的にいうなら大聖堂ですね」

「なるほどな」


 言われてみれば、そうだなとしか思えない。


 これはあれだ。お嬢がよく考えているとかではなく、俺がなんにも考えてなかっただけだな。というか、この国の役所的なところって、どう考えても教会だよな。ここは教国なわけだし。


 これはなんともお恥ずかしい。今のやり取りてなんにも考えていないことがバレた。流石に気を抜きすぎたな。


「ということは、俺たちはあそこに向かってるのか」


 そう言った俺の目線の先には大きな建物が見える。あれがベクトルが言った大聖堂と言うものらしい。ここからでもかなり立派だというなのはすぐにわかる。


 あんなのを近くて見たらどうなるやら。いや、まあどうもならないだろうけどな。


「ここからでも迫力あるね」

「そうだなぁ」


 もちろんずっと視界には入っていたが、正直そこまで注目していなかった。


 それは興味がなかったとかではなく、そのうち近くで見ることになるだろうから楽しみにとっておこうと思っていたのだ。せっかくなら近くでじっくり見て楽しみたい。


 なので、こうやって今見てみると遠目からでも圧巻だ。期待しちゃうね。


「みっともないことしないでよ」

「しないしない」

「大丈夫大丈夫」


 今の俺は口がないから全く問題ない。


 だから、大聖堂を近くで見上げて口を半開きにすることもない。いや、逆に口がないからこそ馬鹿みたいに口を開けて見てやろうか。今なら開け放題だ。


 と、そんなくだらないことを考えながら俺たちは大聖堂へ向かった。


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