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 俺は話を続けているうちに気づいてしまった。


 どうやら俺はこの傭兵のお気に入りになってしまったということを。


 控えめに言って嬉しくない。早くそのお気に入り登録外してくれ。


「従魔ってことは聞いたが、具体的にどういう部類の魔物なんだ?」

「どういう部類って言われてもなぁ」

「説明が難しいねぇ」


 さっきからずっとこの調子だ。


 鬱陶しいったらありゃしない。そのうち空はどうして青いのか聞いてきそうな勢いだ。お前は好奇心旺盛なお子様か。


 だいたい赤の他人のこの傭兵にどこまで言っていいのか俺たちは判断がつかない。ゴーレムだと言えば、他の疑問点が浮かび上がってくるだろうからな。どうやって喋ってるのかやどういう性能なのかとか。そして、最後にどうやって作ったか。


 そうなると非常に面倒になってくる。言えるはずがないからな。


「私の従魔がそんなに気になりますか?」

「そりゃ、早々お目にかかれるもんでもねえからな」

「では、私が答えましょう。彼等よりはわかりやすく説明できますから」


 ようやく代わってくれた。


 ちょうど困っていたタイミングだったから非常に助かる。


 流石はご主人様だよ。頼りになるね。


 しかし、困らなかったら代わってくれなかった……?


 いや、よそう。せっかく助かったんだからな。


 今はお嬢に任せて気楽な時間を満喫しよう。


「そうか。なら、さっきの質問なんだが」

「部類でしたね。それは秘密です」


 そう、教えません。


 残念だったな。何でもかんでも教えてもらえると思うなよ。少しは自分で考えなさい。


「答えてくれるんじゃなかったのか?」

「全てにお答えするとは言ってませんよ」


 その通りだ。こっちにもプライバシーってもんがあるんだよ。そういうのを気にしないデリカシー皆無野郎は嫌われるぞ。


 それに結構言えないことが多いんだよ。ズケズケ聞くな。


 すると傭兵はお嬢の答えが気に入らなかったのか少しムッとした。しかし、すぐに納得したのか表情を先程までの上機嫌なものへ戻した。


「まぁ、確かにそうだな。一目見ただけでただの魔物じゃないことはわかる。そりゃ、言えないこともあるわな」

「ええ」

「じゃあ、どこで手懐けたんだ?」


 まだ聞くのかよ。


 そんなこと聞いてももうゲットできません。俺たちは幻のアレです。ゲットする前にセーブしておかないといけないタイプのアレです。パッケージにデカデカと載っている幻のアレです。


 因みに俺は絶対に捕まえることができるマスターなボールですぐに終わらせるタイプでした。


「場所は廃都市です。わかりますか?」

「ああ、あそこか。あそこにはなにもなかったと思ってたが、そうでもなかったのか」

「流石にもう彼等ほどの刺激はないでしょうけど、今なら行ってみると楽しいことになってると思いますよ」

「ほう、それは気になるな」


 話題がいい感じにすり替わってるな。


 流石はお嬢だな。俺が話していた時より遥かに上手い。初めからそうしてくれたら良かったのに。


 すると今度は子供の方が俺たちの方にやって来た。


「……それなに?」

「これは風を発生させる道具だって」

「ふーん」


 傭兵が連れていた子供はおもむろに近づき一つの道具を手に取る。そして、フィオがさっき店主から聞いた説明を子供にした。


 大人同士だけが話をしていたから暇だったのかもなと、俺が呑気に考えていると突然突風が発生した。


 油断していた俺は一瞬だけ風の影響を受けて、台の一部を少しだけ削ってしまった。


 やっちまった。


「ちょっと、危ないでしょ」

「悪い、油断してた」


 しっかりお嬢に怒られたよ。


 突風を発生させたのは子供っぽいが油断していたのは事実だからな。


 ここはあまんじて受け入れる。


「店主さん、やっぱりこれって弁償か?」

「えっ、いやその程度でしたら問題ありません」


 段々声が小さくなっていくから心配してしまうが、どうやら問題ないらしい。削ったところも台のごく一部だったので、不幸中の幸いといったところか。


「しかし、今のはうちのが起こしたことだ。詫びにその道具は俺が買い取る」

「ごめんなさい」

「そういうことでしたら、尚の事問題ありません」


 それを聞いた店主が嬉しそうにしている。きっと本当に問題ないんだろうな。


 それにもしかするとあの道具は売れ残りだったのかもしれない。それならちょっとしたハプニングがあったとはいえ在庫処理ができて嬉しいだろうな。


「あんたらも悪かったな」

「いえ」

「少しいいだろうか?」


 すると意外なことに店先にケラーデさんが現れた。


「構いませんが、どうかしましたか?」

「少しな」

「……わかりました」


 どうやらここでは言えないらしい。


 なんだろうな?


「そちらは?」


 ケラーデさんが傭兵を見て尋ねる。


 さっきまで俺たちが話していたところを見てたらしい。


「知らない人だ」

「ああ」


 知り合いですらない。


 傭兵の方も同意したので間違いない。


「そうか。では、ついて来てくれ」

「はい」

「じゃあな」

「ああ」


 そう言って、俺たちはケラーデさんの後をついて行くために店を出た。


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