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散策

「ヒュドラのことか」

「ええ」


 昨日のレックスたちの話だな。なんとなくわかった。


 ヒュドラが関係しているなら装備も整えたくもなるか。あのデカブツだからな。備えあって憂いなしとも言うし。


「とはいえ、昨日は結局なにも決まらなかったよな」

「そうね。でも、どうしてほしいかは理解できたわ」

「まぁな」


 一言で言うと討伐の協力だよな。


 非常にわかりやすいお願いだったが、非常に雑なお願いでもあった。


「昨日はああいう結果に終わったけれど、次は流石にまともな話ができるはずよ」

「昨日はヒュドラ戦の直後でしたからね」


 まぁ、アドレナリンとか出てたのかもな。


 とくにエンリちゃんは本当に酷かった。興奮しすぎで無茶苦茶言ってたに違いない。アドレナリンどばどばだったんだろう。


 そう思えば日をまたぐのもお互いにとってベストな答えだった。


「ということは?」

「協力はするつもりよ」

「そっか」


 昨日も断ってはなかったしな。


 お嬢も最初からまともな話し合いができて、正式な依頼書があればあの時依頼を受けるつもりだったんだろう。


 少なくとも話が拗れるまでは普通に話をしていた。あのままなんの問題もなく話が進んでいれば、快く協力することになっていてもおかしくはなかった。もちろん、もしもの話だから今考えても意味はないが。


「とはいえ、内容次第だけど」

「丸投げされるのは嫌だもんね」

「昨日のあれはきっとエンリさんの暴走でしょうしね」


 間違いなくそうだろう。


 レックスなんて頭を抱えていたからな。妹の暴走は見慣れているとはいえ、許容できるものでもなかったに違いない。だから、少し遅くはあったが静止してくれた。


 それに組合長の言い方からして、レックスも同じようなことをしたことがあるんだろう。それを思い出して頭を抱えたくなったのかもな。


 まぁ、レックスも反省していたから次は普通に話せるはずだ。というか、ぜひそうあってほしい。


「もちろん、もう一度同じことを言われたら断るつもりよ。けどまあ、大丈夫でしょう」

「前向きに検討中ってことか」

「ええ」


 なら、ヒュドラとは少なくとももう一度戦うのか。


 やりたくはないが、やるしかないんだろうな。


 死にはしないとわかっていても、あんなデカい魔物と戦うのは少し怖いからなぁ。そもそもデカいってのがよくない。それだけで迫力があるし圧迫感が凄い。しかもヒュドラは再生があるから非常に面倒くさい。あと再生する時の肉の盛り上がりっぷりがキモい。


 少し考えただけでこの量の不満が出てくる。可能なら二度と戦いたくない。


 しかし、そうはならない。だから、やるなら次の一回で終わらしてやる。


 そう考えるとさっき二人が言っていたことも理解できるか。


「だから、ベクトルの装備を総入れ替えしたのか。確実にやるために」

「概ねそんなところね」

「あんなのと戦うならしっかり準備したいもんね」

「ええ」


 ヒュドラと戦うなら総入れ替えも納得だ。


 俺とフィオは一度経験しているからとくに問題はない。けど、お嬢とベクトルはそうじゃない。なら、準備は完璧に近づけておくべきだ。お嬢は日頃から装備の点検をしていたが、ベクトルはそうもいかなかった。だから、装備を総入れ替えまでして備えた。そりゃ、使い慣れてるのも大切だろうけど、やはり新品の耐久性には劣りそうだからな。


「しかし、前向きに検討中とはちょっと予想外だった」

「どう言う意味よ?」


 もうちょっと辛口な評価が飛び出ると思っていた。


「頼りないから一緒に戦えないとか」

「頭の足りないお坊ちゃんには背中を任せられないとか言って断るかなって」

「貴方たちに私はどう見えてるのよ」


 このやり取りには流石のベクトルも苦笑いだ。


 しかし、ご主人様に聞かれたら答えるのが従魔ってもんだ。ここははっきり言わせてもらおう。


「キツい」

「せっかち」

「もういい」


 歩くペースが上がった。


 これは怒ったか?


 冗談のつもりだったが言いすぎたか?


「お二人とも冗談も程々にしてください」

「私はそこまで嫌な性格してないわ」


 これはやってしまったのかもしれん。


 本人が不快に思ったならもうそれは冗談じゃないからなぁ。


 完全に見誤ってしまった。


 わかったから、肩越しに睨むなよ。


「別に貶すつもりで言ったんじゃないんだよ」

「そうだよ。キツいって言ったのは自分にも厳しいっていうことが言いたかったの」

「せっかちもそうだ。時間の大切さがわかってるってことだしな。悪かったって」


 時は金なりってな。


 しかし、お嬢は振り返ることもなく先へ進んで行く。


 流石に俺もフィオもヤバいと思ってきた。ベクトルも困った顔のままなので、自分たちでどうにかしなければ。


 すると見かねたお嬢が振り返り俺とフィオに忠告をした。


「別にそこまで必死にならなくていいわよ。私がもういいって言ったのはその長い冗談のこと。というか、必死すぎて逆に感じ悪いわね」


 そう言ってお嬢は再び歩き出した。


 しかし、そっちでしたか……。


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